憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫

桜桃-サクランボ-

文字の大きさ
85 / 246
革命

自由

しおりを挟む
 よしっ。体力、チャージ完了。今日は紫苑さんに話をするところから始めるとしようか。
 闇命君は俺の肩で寛いでいるけど、もうこれは日常茶飯事になっているから問題無し。

 琴平達と合流し、紫苑さんの元へと向かおうとした時、なぜか前方から慌てた様子で夏楓が走ってきた。しかも、手には大量の資料を手にして……。

 …………嫌な予感。

「闇命様!! 紫苑さんから任されていた資料を整理していたのですが、気になるものが!」
「えっと、なに?」

 肩で息をし、俺に資料を渡してくる。久しぶりの再会がこんな感じだなんて……。もっと、違う会い方をしたかった。

「えっと……。これって、七人ミサキ?」

 一枚目には、大きく七人の男性が描かれている。
 姿は、お坊さんが着ているような服に、笠を被っている。手には錫杖が握られ、森の道を進んでいるように見えるな。

「これがどうしたの?」
「はい。この七人ミサキが最近活発に動いているようで、入れ替わりが短期間で何度も行われているようです」

 七人ミサキって、確か災害や溺死、事故などで命を失った人間の死霊なんだっけ。そんで、一人が成仏すると、一人が加わる。入れ替わりって……?

『七人ミサキは、出会うと高熱を出し死んでしまう。その際に入れ替わるんだよ。死んでしまうと、七人ミサキの一人は成仏し、後方にその死んでしまった死霊が加わる。だから、七人ミサキの人数はずっと変わらない』
「あ、おはよう闇命君。説明ありがとう」

 その七人ミサキが活発に活動を開始したという事は、その分人が死んでしまうという事か。それは、ほっとけない。けど、今は他の事にも手を伸ばしているし、同時に行動を起こすのには無理がある。

 早く漆家について解決し、七人ミサキの方に行こう。

『全てに手を伸ばし続けるつもり?』
「やると言ったらやるよ。七人ミサキは、件より危険性が高い。ほっとけないよ」
『違う陰陽寮に頼むとかあるでしょ』
「でも、ここに来た依頼でしょ? なら、少しは情報を集めてからじゃないと駄目だと思うんだ。それに、こうやって色んな物に手を伸ばしていたら、その分様々な情報を手に入れる事が出来るし、俺達も成長出来る。革命を起こす為には、そういう事も大事だと思うんだ」

 まぁ、無理しすぎるとどれも中途半端になるから、一つ一つ解決していく予定だけど。

「革命、ですか? 闇命様、もしかして……」
『一度諦めたけどね。もう一度、今度はこいつも加わったし、やってみる事にしたんだ。夏楓ではどうする? 今の話でわかるように、結構無茶ぶりが多いし、馬鹿の相手しながらだから大変になる。無理強いはしないよ』
「誰が馬鹿だこら」

 はぁ。まぁ、いいんだけどさぁ。別に……。
 夏楓はどうするだろうか。闇命君が言った通り、これからは今まで以上に大変だろう。
 女性を巻き込むのは少し気がかりだけど、協力してくれるのならそれに越した事はない。

「もちろん、協力させていただきます。闇命様に仕える者として、必ずお役に立ってみせます」

 優しい笑みを浮かべ、胸に手を置き宣言してくれた。

『そう。それなら、今度は途中で投げ出さないように気をつけて進もう』
「はい!!」

 すっごく嬉しそうだな。でも、俺も嬉しい。これは、俺の人望じゃなくて、闇命君のだけど。それでも、俺の意思に協調してくれたような気がして、気分が跳ね上がる。すごいなぁ、闇命君。

『僕だけじゃないよ』
「え、何が?」

 いきなりなんだ?

「優夏さんも、これからもよろしくお願いいたします。貴方が加わってくれて、心が少し楽になります。一度、諦めてしまっているので……」
「え、あ、いや。俺は特に……。ただ、やりたいからやるだけだよ。それに、友人を助けたいって気持ちもある。俺の勝手な行動に巻き込んでしまっているだけ……だから……」

 こう考えると、俺って何の役にも立ててないけど、口先は一丁前だなぁ。力がないくせに、無理難題を琴平や紅音、夏楓や闇命君に押し付けている。この体も、闇命君の力だし、俺ってなんのために転生してきたのか、分からなくなるなぁ。

「優夏さん。貴方のその気持ちが私達を救っているのです。”助けたい”と思うのは簡単です。ですが、それを実行するのはとても難しいこと。それをしようとしている貴方について行きたいと思うのは当然です。誰でも、心が暖かい方には、付いていきたいものでしょ?」

 ふふっと笑いながら、夏楓が言ってくれた。

 心が暖かい方にはついて行きたい……か。確かに、そうだな。
 俺が心暖かいかは分からないけど、その気持ちはわかるわ。心が冷たい人になんて、ついて行きたくないよな。

「ありがとう、夏楓」
「はい!」

 とりあえず、七人ミサキは漆家について解決したら調べるとして、今は紫苑さんに話をしに行こう。

 ☆

「相変わらずですね……」
「やぁ、待っていたよ。さぁ、座って」

 貴方が座っている箇所しか畳が見えていませんけどね。どうやって座ろうか。綺麗そうな半紙や筆などを避けて座るか……。巫女さんの仕事を増やさないでくださいよ。

「漆家についてはもう陰陽助から話を聞いているよ。大変だったみたいだね、お疲れ様」
「あ、話が早いですね。ありがとうございます」
「それで、こちらはこちらでもう話しを進めてある。時間が無いだろうから、直ぐに準備を整えよう」

 え、話は進めてる? 準備? なんの話??

「陰陽助の話を元に、陰陽頭には話をつけてある。君達四人は、もう安倍家を出られるよ。ただ、戻ってくる事が難しくなってしまったけれど、それは自由と引き換えとして仕方がない。大目に見てくれると助かる」
「え、自由と引き換えに? と、言う事は、俺達はもうこの安倍家にいなくても良いと?」
「そういう事になる。陰陽頭は納得していないけれど、了承してくれた。君達はもう自由にどこへでも行ける。ただし、安倍家の支援とかは期待しないように」
「あ、ありがとうございます!!!」

 やった、自由を手に入れた。それだけで大収穫だ。でも、どうやったのだろうか。それを問いかけようとしても、紫苑さんの事だから上手くかわされるんだろうなぁ。

 闇命君も驚いているけど、すぐに話を続け、今後どうして行くか話しあった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。 故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。 一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。 「もう遅い」と。 これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

処理中です...