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暴走と涙
幸せな時間
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ん……、いったた…………。気を失っていたのか? ここはどこだ、どのくらい時間が経った。
「…………闇の中…………だな、きっと」
暗くて周りが見えないとかではないな。俺自身を見る事が出来るし、異空間に放り込まれたのか。
地面はある、壁とかは触ることが出来ないから判断が出来ないな。広さとか、何が潜んでいるのかもわからない。
「靖弥はどこに…………」
「ここだ」
「うわお!?!? う、ううう後ろに立つなよ!!」
「わ、悪かった…………」
「いや、別にいいんだけどさぁ」
後ろにいきなり現れた靖弥、真顔で俺を見下ろしてくる。身長差があるから仕方がないけど、なんとなくむかつく。
「ねぇ、ここの空間は何。あと、今の靖弥は普通に俺が知っている靖弥なの? しっかりと話を聞くことは出来る? 話せる?」
「質問は一つにしろ、なにから答えればいいのかわからん」
これは、俺の知らない靖弥なのかな。転生する前の靖弥だったら普通に話してくれていた。
「じゃぁ、まずは、ここの空間はなに?」
「ここは道満様が作りだした異空間。夢の中と同じと考えればいい」
「夢の中?」
「あぁ、なにか罠などがあるわけではない。ここから抜け出せないだけだ」
「それはそれで嫌なんだが!?」
ここから抜け出す事が出来ないって、そんなの絶対に嫌だ。早くここから出る方法を考えないと。
「あとの質問はなんだったか」
「今の靖弥は、転生前の俺を知っている靖弥なの? しっかりと話せる?」
「今話していると思うが?」
「そうだけど、そうじゃない。もしかして、靖弥はここから俺を出さないように見張り役として一緒に落とされたのかな」
「それはない」
「なんで?」
「…………………お前、上で話していた内容を忘れたのか? 気が抜ける…………」
頭を抱えて靖弥は何かを言っている。なんか、馬鹿にされた気分なんだけど、なんだよ、気が抜けるって。俺は真面目に話しているんだけど。
って、ちょっと待って? なんか、雰囲気が変わった? 柔らかい雰囲気になったような気がする、もしかして今までは演技をしていたのか?
「靖弥」
「なに?」
「俺のフルネーム、わかるか? 闇命君の方ではなく、俺の方」
「…………お前の名前は牧野優夏、俺と同い年で同じクラス。よく、一緒にお昼を喰っていたのが記憶に残っている。俺にとっては、本当に大事な、一番の親友だった人」
…………―――――っ。全て、当たってる。俺達は同じクラスだった。一緒にお昼を食べて、話して。俺にとっても、一番の親友だ。
「靖弥!!!!」
「うわっ、ちょ、抱き着くな!!!」
思いっきり靖弥の腰に抱き着いてしまった。嬉しすぎて、体が勝手に動いた。それくらい、嬉しんだよ、靖弥。
「靖弥!! 今まで、なにしてたんだよ。俺にも気づかないふりしてさ、一回目なんて俺の事を殺そうとしてきやがって!! めっちゃ大変だったんだからな!! それに、何が、なんで…………」
「……………………ごめん、優夏。本当に、ごめん」
腰に抱き着いている俺の頭を撫でてきた、この姿だから子ども扱いされているのか。でも、俺も嬉しいから、何も言わない。
やっと、やっとなんだ。やっと、俺は友人の手を、握ることが出来る。こんなにも、幸せなのか、嬉しいのか。
「…………優夏、今の俺ではなく、現世の俺を信じてくれて、ありがとう」
「当たり前だろ。それに、聞いたぞ。靖弥、お前鼠姿の闇命君を助けてくれたことがあったんだろ? それで確信したんだ、靖弥はやっぱり靖弥なんだって」
「助けたわけではない、俺が殺生をしたくなかっただけだ。俺が、やりたくなかったから、やらなかっただけ。助けたとか、そんな大層な物じゃない」
見上げると、靖弥が俺から顔を逸らしていた。何もない空間を見ながら、ポツポツと言っている。
「…………それでも、助けられたのは事実だ。俺は、その事に感謝している」
靖弥から体を離し、零れ落ちていた涙を拭き見上げる。靖弥も、そっぽを見ていた目線を俺に向き直した。
「これからはずっと一緒だぞ、もう離さないからな!!」
靖弥の手を掴み宣言、するとなぜか靖弥は噴き出すように笑い出した。なんぞよ。
「お前、こんなに素直だったか? 子供の身体に入っているからか知らんが、精神年齢が幼くなっているぞ?」
「え、マジ? それはちょっと困るんだが」
「まじまじ。まぁ、いいや。ひとまずここから出る方法を考えないといけないな、何かいい方法はあるか?」
「お前がわからんのに、俺がわかると思うか?」
「だよなー、知ってたわ」
「なら聞くんじゃねぇよ」
俺の言葉にケラケラと笑う靖弥。まったく、笑い事ではないと思うんだけど。
けど、今はいいか。やっと、友人が戻ってきてくれたんだ。今はこの幸せをかみしめたい。
「考えてんのか、優夏」
「今から考える!!」
「…………闇の中…………だな、きっと」
暗くて周りが見えないとかではないな。俺自身を見る事が出来るし、異空間に放り込まれたのか。
地面はある、壁とかは触ることが出来ないから判断が出来ないな。広さとか、何が潜んでいるのかもわからない。
「靖弥はどこに…………」
「ここだ」
「うわお!?!? う、ううう後ろに立つなよ!!」
「わ、悪かった…………」
「いや、別にいいんだけどさぁ」
後ろにいきなり現れた靖弥、真顔で俺を見下ろしてくる。身長差があるから仕方がないけど、なんとなくむかつく。
「ねぇ、ここの空間は何。あと、今の靖弥は普通に俺が知っている靖弥なの? しっかりと話を聞くことは出来る? 話せる?」
「質問は一つにしろ、なにから答えればいいのかわからん」
これは、俺の知らない靖弥なのかな。転生する前の靖弥だったら普通に話してくれていた。
「じゃぁ、まずは、ここの空間はなに?」
「ここは道満様が作りだした異空間。夢の中と同じと考えればいい」
「夢の中?」
「あぁ、なにか罠などがあるわけではない。ここから抜け出せないだけだ」
「それはそれで嫌なんだが!?」
ここから抜け出す事が出来ないって、そんなの絶対に嫌だ。早くここから出る方法を考えないと。
「あとの質問はなんだったか」
「今の靖弥は、転生前の俺を知っている靖弥なの? しっかりと話せる?」
「今話していると思うが?」
「そうだけど、そうじゃない。もしかして、靖弥はここから俺を出さないように見張り役として一緒に落とされたのかな」
「それはない」
「なんで?」
「…………………お前、上で話していた内容を忘れたのか? 気が抜ける…………」
頭を抱えて靖弥は何かを言っている。なんか、馬鹿にされた気分なんだけど、なんだよ、気が抜けるって。俺は真面目に話しているんだけど。
って、ちょっと待って? なんか、雰囲気が変わった? 柔らかい雰囲気になったような気がする、もしかして今までは演技をしていたのか?
「靖弥」
「なに?」
「俺のフルネーム、わかるか? 闇命君の方ではなく、俺の方」
「…………お前の名前は牧野優夏、俺と同い年で同じクラス。よく、一緒にお昼を喰っていたのが記憶に残っている。俺にとっては、本当に大事な、一番の親友だった人」
…………―――――っ。全て、当たってる。俺達は同じクラスだった。一緒にお昼を食べて、話して。俺にとっても、一番の親友だ。
「靖弥!!!!」
「うわっ、ちょ、抱き着くな!!!」
思いっきり靖弥の腰に抱き着いてしまった。嬉しすぎて、体が勝手に動いた。それくらい、嬉しんだよ、靖弥。
「靖弥!! 今まで、なにしてたんだよ。俺にも気づかないふりしてさ、一回目なんて俺の事を殺そうとしてきやがって!! めっちゃ大変だったんだからな!! それに、何が、なんで…………」
「……………………ごめん、優夏。本当に、ごめん」
腰に抱き着いている俺の頭を撫でてきた、この姿だから子ども扱いされているのか。でも、俺も嬉しいから、何も言わない。
やっと、やっとなんだ。やっと、俺は友人の手を、握ることが出来る。こんなにも、幸せなのか、嬉しいのか。
「…………優夏、今の俺ではなく、現世の俺を信じてくれて、ありがとう」
「当たり前だろ。それに、聞いたぞ。靖弥、お前鼠姿の闇命君を助けてくれたことがあったんだろ? それで確信したんだ、靖弥はやっぱり靖弥なんだって」
「助けたわけではない、俺が殺生をしたくなかっただけだ。俺が、やりたくなかったから、やらなかっただけ。助けたとか、そんな大層な物じゃない」
見上げると、靖弥が俺から顔を逸らしていた。何もない空間を見ながら、ポツポツと言っている。
「…………それでも、助けられたのは事実だ。俺は、その事に感謝している」
靖弥から体を離し、零れ落ちていた涙を拭き見上げる。靖弥も、そっぽを見ていた目線を俺に向き直した。
「これからはずっと一緒だぞ、もう離さないからな!!」
靖弥の手を掴み宣言、するとなぜか靖弥は噴き出すように笑い出した。なんぞよ。
「お前、こんなに素直だったか? 子供の身体に入っているからか知らんが、精神年齢が幼くなっているぞ?」
「え、マジ? それはちょっと困るんだが」
「まじまじ。まぁ、いいや。ひとまずここから出る方法を考えないといけないな、何かいい方法はあるか?」
「お前がわからんのに、俺がわかると思うか?」
「だよなー、知ってたわ」
「なら聞くんじゃねぇよ」
俺の言葉にケラケラと笑う靖弥。まったく、笑い事ではないと思うんだけど。
けど、今はいいか。やっと、友人が戻ってきてくれたんだ。今はこの幸せをかみしめたい。
「考えてんのか、優夏」
「今から考える!!」
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