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第五章 ファーマメント
第234話 この世界にお約束など必要ないんだよ
アンジュは唖然とし、アンジェロは笑みを浮かべながら手をパンパンと叩き、近づいてきた。
「お見事だよぉ~。管理者と行動していたから少し疑っていたけど、やっぱり君はそういう人だよねぇ~」
「見てたんじゃないのかよ」
「見てたよぉ~。でも、姉さんが認めなくてねぇ。だから、ちょっと小細工をさせてもらったのぉ~」
ヘラヘラすんな。ほんと腹立つ。
──あ?
アンジュがアンジェロの隣へ移動してきた。
「試験をしていた訳ではないけれど、貴方達のこと、少しだけわかったわ」
「それならよかった」
本当に良かった。
これでやっと解放される。まどろっこしい事を考えやがって。
「んで、俺達の事がわかったお前らに聞きたいんだが、いいよな?」
「何でしょう」
「お前が力のコントロール出来ないのは、俺達をここに引き留めるための演技だろう? だから、本当の実力を教えてほしい。見えない刃以外に何が出来るんだ?」
聞くと、二人はなぜか顔を見合わせ、目を丸くした。
なんだ、その反応。
「先ほどから見せているじゃない」
「いや、だから。本来の実力を聞いてるんだが?」
「だから、見せているじゃない」
?????
「まさか、今までのがお前らの出来る最大か?」
「そうよ」
「…………ちなみにだが、力のコントロールは出来るんだよな?」
「…………」
あれ?
アンジュが顔を逸らした。
気まずそう。
「え、ま、まさか……」
「さ、さっき見たじゃない……」
…………コントロール出来ないのは演技でもなんでもなく、素だったらしい。
それは流石に動揺する。仕方ないけど。
「戦闘でも役に立ちそうにないね。得意なこと聞いてもらってもいい? 知里」
「あれ、日本語が通じる相手なんだけどなぁ。通訳必要なんだ」
アマリアはもう自分の立場を理解し、二度手間覚悟でそんなことを言ってきた。
アマリアは嫌われている。
俺が通訳。
はぁ……だるっ。
「なぁ、何か得意なこととかないのか?」
「…………」
無言。
ないのか?
なぁ、ないのか?
嘘だろう?
なら、どうやって俺に手を貸すつもりだったんだ。
アンジュが何も言わないままいると、アンジェロが前に出た。
「僕達が出来る事は確かに少ないけど~、手は貸したいんだぁ~」
「だから、どうやって助けてくれるんだよ」
それをさっきから聞いてる。
早く教えてくれ。
「そうだなぁ~。ファーマメントにある物なら自由に貸せるかな。あと、普段は行き来出来ないけど、連れて行くことも可能だよぉ~。管理者より長い時代を生きたアンヘル族の情報、気にならない~?」
「めっさ気になるわ、それ。え、管理者より長く生きてる? マジ?」
「うん。それとねぇ~。君達が最初に会ったファーマメントの王族生まれの皇子、クラウド様が君に力を貸してくれるなら、王様とも話せると思うよぉ~」
まじか、それはいいな。
管理者が存在する前から生きているアンヘル族の話が聞けるのは嬉しい。
管理者について何かわかるかもしれない。
情報は最大の武器。
ウズルイフの件で嫌というほど知った。
「まぁ、得はありそうってわかってよかった」
これ以上ここで話していても意味はない。
俺達は場所を移そうと、アンヘル族二人と共に地上を歩いていた。
いつの間にかグランド国から抜け出され、工場跡地に連れ込まれていたらしい。
閉じ込められていたのは、在庫などを管理していた倉庫。
まったく……。
俺達の本質を見抜くために、こんな面倒な所へ連れ込みやがって。
まぁ、終わったことを今さら言っても疲れるだけだ。
気持ちを落ち着かせるため空を見上げると、珍しく雨雲が青空を包み込み始めていた。
「雨の臭いがするね」
「そうだな、一雨きそうだし、早く戻りたい。……ほとぼりが冷めてるといいなぁ~」
「そうだね。オスクリタ海底に戻ろうか」
ここの近くにワープ出来る場所はないのか?
地図はいつもアルカが持ってるし、俺は持っていない。
「なぁ、お前らはどうやって俺とアマリアをグランド国から運び出したんだ?」
「姿を消して運び出したんだよぉ~」
ん?
姿を消して?
「お前らは出来るかもしれねぇが……それって、俺達も一緒に消したってことか?」
「君達は姿を消したというより~、気配を消したんだよねぇ~」
んん?
気配を消した?
「気配を消して、周りの人に認識されないようにしたの~。目にも止まらないようになってるから、人間の脳は君達に気づかなぁい。触れられたら終わりだけどねぇ~」
あぁ、そういうことか。
物理的に姿を消すんじゃなく、認識させないようにしたのか。
「それはアンジェロの魔法か?」
「そうだよぉ~」
へぇ。
アンジュは出来ないことが多そうだが、アンジェロは出来ることが多いんだな。
だから二人で行動してんのかねぇ~。
しらんけど。
――――ポタッ
「――――あ」
「あ」
頬に水滴。
上を向くと――……
――――ザァァァァァアァアア
「……………………お約束」
「慌てないんだ」
「慌てても仕方ないのと、もうお約束すぎて慌てる心を失った」
雨、大量に降ってきた。
工場跡地だし、どこかで雨宿りしてから戻るか。
――――ガシッ
「――――あれ」
「ん?」
俺はアンジュ、アマリアはアンジェロに抱えられた。
というか、米俵みたいな持ち方。
…………嫌な予感。
「早く行かなければなりませんものね」
「そうだねぇ~。自慢の翼を披露する時が来たねぇ~」
「「え?」」
俺とアマリアに質問する暇も与えず、二人は白い翼を広げたかと思うと――……
「っ!? ぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああ」
空気が!! 圧が!!
いきなり飛ぶんじゃねぇぇぇぇええええ!
「お見事だよぉ~。管理者と行動していたから少し疑っていたけど、やっぱり君はそういう人だよねぇ~」
「見てたんじゃないのかよ」
「見てたよぉ~。でも、姉さんが認めなくてねぇ。だから、ちょっと小細工をさせてもらったのぉ~」
ヘラヘラすんな。ほんと腹立つ。
──あ?
アンジュがアンジェロの隣へ移動してきた。
「試験をしていた訳ではないけれど、貴方達のこと、少しだけわかったわ」
「それならよかった」
本当に良かった。
これでやっと解放される。まどろっこしい事を考えやがって。
「んで、俺達の事がわかったお前らに聞きたいんだが、いいよな?」
「何でしょう」
「お前が力のコントロール出来ないのは、俺達をここに引き留めるための演技だろう? だから、本当の実力を教えてほしい。見えない刃以外に何が出来るんだ?」
聞くと、二人はなぜか顔を見合わせ、目を丸くした。
なんだ、その反応。
「先ほどから見せているじゃない」
「いや、だから。本来の実力を聞いてるんだが?」
「だから、見せているじゃない」
?????
「まさか、今までのがお前らの出来る最大か?」
「そうよ」
「…………ちなみにだが、力のコントロールは出来るんだよな?」
「…………」
あれ?
アンジュが顔を逸らした。
気まずそう。
「え、ま、まさか……」
「さ、さっき見たじゃない……」
…………コントロール出来ないのは演技でもなんでもなく、素だったらしい。
それは流石に動揺する。仕方ないけど。
「戦闘でも役に立ちそうにないね。得意なこと聞いてもらってもいい? 知里」
「あれ、日本語が通じる相手なんだけどなぁ。通訳必要なんだ」
アマリアはもう自分の立場を理解し、二度手間覚悟でそんなことを言ってきた。
アマリアは嫌われている。
俺が通訳。
はぁ……だるっ。
「なぁ、何か得意なこととかないのか?」
「…………」
無言。
ないのか?
なぁ、ないのか?
嘘だろう?
なら、どうやって俺に手を貸すつもりだったんだ。
アンジュが何も言わないままいると、アンジェロが前に出た。
「僕達が出来る事は確かに少ないけど~、手は貸したいんだぁ~」
「だから、どうやって助けてくれるんだよ」
それをさっきから聞いてる。
早く教えてくれ。
「そうだなぁ~。ファーマメントにある物なら自由に貸せるかな。あと、普段は行き来出来ないけど、連れて行くことも可能だよぉ~。管理者より長い時代を生きたアンヘル族の情報、気にならない~?」
「めっさ気になるわ、それ。え、管理者より長く生きてる? マジ?」
「うん。それとねぇ~。君達が最初に会ったファーマメントの王族生まれの皇子、クラウド様が君に力を貸してくれるなら、王様とも話せると思うよぉ~」
まじか、それはいいな。
管理者が存在する前から生きているアンヘル族の話が聞けるのは嬉しい。
管理者について何かわかるかもしれない。
情報は最大の武器。
ウズルイフの件で嫌というほど知った。
「まぁ、得はありそうってわかってよかった」
これ以上ここで話していても意味はない。
俺達は場所を移そうと、アンヘル族二人と共に地上を歩いていた。
いつの間にかグランド国から抜け出され、工場跡地に連れ込まれていたらしい。
閉じ込められていたのは、在庫などを管理していた倉庫。
まったく……。
俺達の本質を見抜くために、こんな面倒な所へ連れ込みやがって。
まぁ、終わったことを今さら言っても疲れるだけだ。
気持ちを落ち着かせるため空を見上げると、珍しく雨雲が青空を包み込み始めていた。
「雨の臭いがするね」
「そうだな、一雨きそうだし、早く戻りたい。……ほとぼりが冷めてるといいなぁ~」
「そうだね。オスクリタ海底に戻ろうか」
ここの近くにワープ出来る場所はないのか?
地図はいつもアルカが持ってるし、俺は持っていない。
「なぁ、お前らはどうやって俺とアマリアをグランド国から運び出したんだ?」
「姿を消して運び出したんだよぉ~」
ん?
姿を消して?
「お前らは出来るかもしれねぇが……それって、俺達も一緒に消したってことか?」
「君達は姿を消したというより~、気配を消したんだよねぇ~」
んん?
気配を消した?
「気配を消して、周りの人に認識されないようにしたの~。目にも止まらないようになってるから、人間の脳は君達に気づかなぁい。触れられたら終わりだけどねぇ~」
あぁ、そういうことか。
物理的に姿を消すんじゃなく、認識させないようにしたのか。
「それはアンジェロの魔法か?」
「そうだよぉ~」
へぇ。
アンジュは出来ないことが多そうだが、アンジェロは出来ることが多いんだな。
だから二人で行動してんのかねぇ~。
しらんけど。
――――ポタッ
「――――あ」
「あ」
頬に水滴。
上を向くと――……
――――ザァァァァァアァアア
「……………………お約束」
「慌てないんだ」
「慌てても仕方ないのと、もうお約束すぎて慌てる心を失った」
雨、大量に降ってきた。
工場跡地だし、どこかで雨宿りしてから戻るか。
――――ガシッ
「――――あれ」
「ん?」
俺はアンジュ、アマリアはアンジェロに抱えられた。
というか、米俵みたいな持ち方。
…………嫌な予感。
「早く行かなければなりませんものね」
「そうだねぇ~。自慢の翼を披露する時が来たねぇ~」
「「え?」」
俺とアマリアに質問する暇も与えず、二人は白い翼を広げたかと思うと――……
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