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第22話 必要な悩み事
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「――――え?」
「この子たちがいると、私はさみしくありません。一人じゃないんですよぉ~。だから、一人で部屋にいても、一人じゃないと感じられるのです~」
また目がハートになり、マネキンに頬釣りをしている。
そんな彼女を見て、スイは言葉を失った。
「私が大喜びしたからなのか、他の方もマネキンの頭をくれるようになって。今では、部屋にあふれんばかりのマネキンの頭が増えたのですよぉ~。本当に幸せで溜まりませんよぉ~」
「私の愛しのマネキンさんー!!」と、力いっぱいに抱きしめる。
スイはもう、苦笑いを浮かべるしか出来ず、言葉が出ない。
――――ろくろ首さんの過去は悲しかったけど、その改善がなんでマネキン!? 両親は何を考えているの!?
普通に人形やぬいぐるみでは駄目だったのかと、スイは頭を抱えてしまった。
「ひっひっひっ。これが、この部屋にマネキンが溢れている理由なのですよぉ~。だから、勘弁してくださいね~」
「は、はい」
もう、何も言わないのが一番とスイは考え、頷いた。
「では、もうそろそろ本題に入りましょ~。なにかお悩みですかぁ~?」
「あっ」
スイは本題などすっかり忘れてしまい、ろくろ首の言葉でハッとなった。
「ひっひっひっ、話が逸れすぎてしまいましたねぇ~。お悩みお聞かせ願えますかぁ?」
「え、えぇっと。ろくろ首さんの話が濃すぎて私の話なんてちっぽけな気がしますが……」
自分の悩みなど小さすぎて話すのが恥ずかしいと思ってしまったスイだが、ろくろ首は首を横に振った。
「人の悩みに、小さいとか大きいはありません。貴方は悩みを抱え、苦しんでいる。その悩みを、私が少しでも軽くしたいのです。どんな話でも大丈夫です。聞きたいですよぉ~、ひっひっひっ」
ろくろ首の言葉に、スイは目をかすかに開く。
悩みに大きさはない、言われて初めて気づく。
スイは目を伏せ、自身の膝に置かれている拳を見た。
「――――私、全然旅館のために働けないんです」
一度口にしてしまえば、もう止められない。
スイの抱えていた悩みが、口から零れ落ちる。
「私の両親が働いていた時は、少しのトラブルは簡単に解決できていたと聞きました。それだけでなく、誰よりも先回りして、トラブルが起きる前に、すでに解決していたと。私には、出来ません」
スイの言葉を、ろくろ首は何も言わずに聞き続けた。
「最近のトラブルは、私が力不足で怒ってしまった事。そのため、天狗様も仕事を自分で抱えてしまい、休む暇なく働いています。私にいつも下がるように言うのも、私が仕事できないからだと言うのはわかっているんです。何かしたいのに、何も出来ない。私は本当に、この旅館に必要なのでしょうか」
下唇を噛み、スイは涙が出そうになるのをこらえる。
ここで泣いては駄目。泣く権利すらない。
それでも、今まで抱えていた悩みを吐き出したことで、涙まで一緒に零れ落ちそうになる。
「なるほどぉ~。その気持ち、すごく大事でございます」
「え? 大事?」
思わず顔を上げ、ろくろ首を見た。
「はい。その悔しさ、苦しさは人を強くし、今以上に成長させます。今できないと思っている事は、一か月、二か月。もしかしたら一年、二年かかってしまうかもしれませんが、必ずできるようになります。逆に、悩みがない人は、同じ年月を過ごしても、なにも成長できません。貴方は今、成長の時なだけです。なので、大いに悩み、大いに泣きなさい。人間は、そうして成長していくのですよ」
ろくろ首の言葉は、悩みの解決策でも無ければ、ただ肯定しているだけのようにも感じる。
けれど、今のスイからしたら、今のろくろ首の言葉は、救いの言葉だった。
悩みを抱え、解決策のないままから回っているのかもしれないと言う不安。
それを抱えていたスイは、ろくろ首に肯定されたようにも感じ、不安が少しながらも解消された。
いや、これが逆に今のスイにとっては、励ましの言葉にもなる。
変に励まされたり、解決策を出されていたら、それにまたしても悩んでいたかもしれない。
「解決策は、そのうちあなたの中に現れます。それまで、いつもみたいに一生懸命働いてください」
「はい!! あの、ありがとうございます!!」
「いえいえ~。少しでもお役に立てて良かったです」
スイは出されたお茶を飲み、ろくろ首の部屋を後にした。
襖を閉じた瞬間に、中から「マネキンさん達ぃぃぃいいいい!!」と言う声が聞こえたような気がしたが、スイは気のせいだと自分に言い聞かせる。
廊下を歩いていると、胸辺りがホカホカしているのに気づく。
自然と笑みが零れ、ウキウキしながら部屋へと戻ろうとした時、スイは思い出した。
「あっ、ろくろ首さんに両親について聞くの忘れてた」
今回は悩み相談だけで終わってしまった。
だが、今頃マネキンさん達と戯れているであろうろくろ首の部屋に戻るのはいたたまれない。
そう思い、スイは苦笑いを浮かべながら部屋へと戻った。
「この子たちがいると、私はさみしくありません。一人じゃないんですよぉ~。だから、一人で部屋にいても、一人じゃないと感じられるのです~」
また目がハートになり、マネキンに頬釣りをしている。
そんな彼女を見て、スイは言葉を失った。
「私が大喜びしたからなのか、他の方もマネキンの頭をくれるようになって。今では、部屋にあふれんばかりのマネキンの頭が増えたのですよぉ~。本当に幸せで溜まりませんよぉ~」
「私の愛しのマネキンさんー!!」と、力いっぱいに抱きしめる。
スイはもう、苦笑いを浮かべるしか出来ず、言葉が出ない。
――――ろくろ首さんの過去は悲しかったけど、その改善がなんでマネキン!? 両親は何を考えているの!?
普通に人形やぬいぐるみでは駄目だったのかと、スイは頭を抱えてしまった。
「ひっひっひっ。これが、この部屋にマネキンが溢れている理由なのですよぉ~。だから、勘弁してくださいね~」
「は、はい」
もう、何も言わないのが一番とスイは考え、頷いた。
「では、もうそろそろ本題に入りましょ~。なにかお悩みですかぁ~?」
「あっ」
スイは本題などすっかり忘れてしまい、ろくろ首の言葉でハッとなった。
「ひっひっひっ、話が逸れすぎてしまいましたねぇ~。お悩みお聞かせ願えますかぁ?」
「え、えぇっと。ろくろ首さんの話が濃すぎて私の話なんてちっぽけな気がしますが……」
自分の悩みなど小さすぎて話すのが恥ずかしいと思ってしまったスイだが、ろくろ首は首を横に振った。
「人の悩みに、小さいとか大きいはありません。貴方は悩みを抱え、苦しんでいる。その悩みを、私が少しでも軽くしたいのです。どんな話でも大丈夫です。聞きたいですよぉ~、ひっひっひっ」
ろくろ首の言葉に、スイは目をかすかに開く。
悩みに大きさはない、言われて初めて気づく。
スイは目を伏せ、自身の膝に置かれている拳を見た。
「――――私、全然旅館のために働けないんです」
一度口にしてしまえば、もう止められない。
スイの抱えていた悩みが、口から零れ落ちる。
「私の両親が働いていた時は、少しのトラブルは簡単に解決できていたと聞きました。それだけでなく、誰よりも先回りして、トラブルが起きる前に、すでに解決していたと。私には、出来ません」
スイの言葉を、ろくろ首は何も言わずに聞き続けた。
「最近のトラブルは、私が力不足で怒ってしまった事。そのため、天狗様も仕事を自分で抱えてしまい、休む暇なく働いています。私にいつも下がるように言うのも、私が仕事できないからだと言うのはわかっているんです。何かしたいのに、何も出来ない。私は本当に、この旅館に必要なのでしょうか」
下唇を噛み、スイは涙が出そうになるのをこらえる。
ここで泣いては駄目。泣く権利すらない。
それでも、今まで抱えていた悩みを吐き出したことで、涙まで一緒に零れ落ちそうになる。
「なるほどぉ~。その気持ち、すごく大事でございます」
「え? 大事?」
思わず顔を上げ、ろくろ首を見た。
「はい。その悔しさ、苦しさは人を強くし、今以上に成長させます。今できないと思っている事は、一か月、二か月。もしかしたら一年、二年かかってしまうかもしれませんが、必ずできるようになります。逆に、悩みがない人は、同じ年月を過ごしても、なにも成長できません。貴方は今、成長の時なだけです。なので、大いに悩み、大いに泣きなさい。人間は、そうして成長していくのですよ」
ろくろ首の言葉は、悩みの解決策でも無ければ、ただ肯定しているだけのようにも感じる。
けれど、今のスイからしたら、今のろくろ首の言葉は、救いの言葉だった。
悩みを抱え、解決策のないままから回っているのかもしれないと言う不安。
それを抱えていたスイは、ろくろ首に肯定されたようにも感じ、不安が少しながらも解消された。
いや、これが逆に今のスイにとっては、励ましの言葉にもなる。
変に励まされたり、解決策を出されていたら、それにまたしても悩んでいたかもしれない。
「解決策は、そのうちあなたの中に現れます。それまで、いつもみたいに一生懸命働いてください」
「はい!! あの、ありがとうございます!!」
「いえいえ~。少しでもお役に立てて良かったです」
スイは出されたお茶を飲み、ろくろ首の部屋を後にした。
襖を閉じた瞬間に、中から「マネキンさん達ぃぃぃいいいい!!」と言う声が聞こえたような気がしたが、スイは気のせいだと自分に言い聞かせる。
廊下を歩いていると、胸辺りがホカホカしているのに気づく。
自然と笑みが零れ、ウキウキしながら部屋へと戻ろうとした時、スイは思い出した。
「あっ、ろくろ首さんに両親について聞くの忘れてた」
今回は悩み相談だけで終わってしまった。
だが、今頃マネキンさん達と戯れているであろうろくろ首の部屋に戻るのはいたたまれない。
そう思い、スイは苦笑いを浮かべながら部屋へと戻った。
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