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初めてのVRMMO4
ゲームの仕様で、パーティーを結成しないとキャラクターの名前とレベルは表示されないようになっていた。
それはプレイヤー同士での些細ないざこざを起こらなくすることと、ゲームシステム上の処理速度の面でも、名前などの細かい情報を表示しない方が効率がいいという両方の利点があるからだ。
星は「はあ……」と間が抜けたように返事をする。
理解が追い付かず、完全に置いてけぼり状態の星に微笑み掛けた。
「とりあえずPT組みましょう。そうすれば、レベルと名前が分かるしね!」
「へぇ~」
「ほら、分かったなら早く【YES】を押して」
「は、はい!」
彼女に急かされるように言われ、星が慌ててコマンドの【YES】の方の画面を指で突いた。
すると、自分の右上側に小さく彼女の名前とレベルが表示される。
「えっ? エミルLv100?」
「へぇ~。星ちゃんね。ほんとにLv1なんだ」
「ほ、ほしじゃなくて、せいです……」
星は不機嫌そうに少し頬を膨らませながら、彼女の言葉を訂正する。
まあ、名前を間違われれば当然と言えば当然だが、星が自分の名前を気に入っていることも原因だったかもしれない。
「ご、ごめん。星ちゃんね! 覚えた。うん! すっごく可愛い名前ね!」
エミルはそう言って誤魔化すように、にっこりと微笑んで見せた。
星は不機嫌そうな顔をしながら、そっぽを向くと「お世辞なんていいんです。どうせ変な名前ですから」と小さく頬を膨らませて憎まれ口を叩くと、完全にふてくされてしまった。
「そ、そうだ! 星ちゃん。武器は何がいいかな?」
「……武器?」
ご機嫌斜めになった星を見て、エミルはなんとかこの状況を打開しようと咄嗟に話を切り替える。
「普通のMMORPGでは魔法とかがあるんだけど、このゲームはちょっと特殊で、プレイヤーの最初から覚えているスキルで決まると言ってもいいわ」
「スキル……?」
ゲーム初心者の星に専門用語を使っても分かるわけもなく。星は難しい顔をしながら、ただただ首を傾げている。
しかし、困っているのは星だけではなく、ゲーム用語が通用しない相手にエミル本人もたじたじの様子で――。
「そっか……えっと、スキルというか技術や身体能力で強さが決まるって言ったら分かる?」
「技術? テクニック……ですか?」
「そう! それ!」
エミルは手をパンッと叩くと、笑顔で説明を続ける。
「このゲームではリアルに少しでも戦闘を近付ける為に、あえて魔法や銃などの高火力な遠距離系の攻撃をキャンセルしてるの。基本はスキルというものは、武器強化か肉体強化の2種類しかないわ。そこで重要なのが、武器の選択『剣』『弓』『体術』の3種類。他にも色々あるけど既存のショップで買えるのはこれくらいね。まあ、まずは見てもらった方が早いかな?」
説明を聞いて難しい顔をしている星に、エミルは微笑みを浮かべると、腰に差している長めの剣を引き抜いた。
それはプレイヤー同士での些細ないざこざを起こらなくすることと、ゲームシステム上の処理速度の面でも、名前などの細かい情報を表示しない方が効率がいいという両方の利点があるからだ。
星は「はあ……」と間が抜けたように返事をする。
理解が追い付かず、完全に置いてけぼり状態の星に微笑み掛けた。
「とりあえずPT組みましょう。そうすれば、レベルと名前が分かるしね!」
「へぇ~」
「ほら、分かったなら早く【YES】を押して」
「は、はい!」
彼女に急かされるように言われ、星が慌ててコマンドの【YES】の方の画面を指で突いた。
すると、自分の右上側に小さく彼女の名前とレベルが表示される。
「えっ? エミルLv100?」
「へぇ~。星ちゃんね。ほんとにLv1なんだ」
「ほ、ほしじゃなくて、せいです……」
星は不機嫌そうに少し頬を膨らませながら、彼女の言葉を訂正する。
まあ、名前を間違われれば当然と言えば当然だが、星が自分の名前を気に入っていることも原因だったかもしれない。
「ご、ごめん。星ちゃんね! 覚えた。うん! すっごく可愛い名前ね!」
エミルはそう言って誤魔化すように、にっこりと微笑んで見せた。
星は不機嫌そうな顔をしながら、そっぽを向くと「お世辞なんていいんです。どうせ変な名前ですから」と小さく頬を膨らませて憎まれ口を叩くと、完全にふてくされてしまった。
「そ、そうだ! 星ちゃん。武器は何がいいかな?」
「……武器?」
ご機嫌斜めになった星を見て、エミルはなんとかこの状況を打開しようと咄嗟に話を切り替える。
「普通のMMORPGでは魔法とかがあるんだけど、このゲームはちょっと特殊で、プレイヤーの最初から覚えているスキルで決まると言ってもいいわ」
「スキル……?」
ゲーム初心者の星に専門用語を使っても分かるわけもなく。星は難しい顔をしながら、ただただ首を傾げている。
しかし、困っているのは星だけではなく、ゲーム用語が通用しない相手にエミル本人もたじたじの様子で――。
「そっか……えっと、スキルというか技術や身体能力で強さが決まるって言ったら分かる?」
「技術? テクニック……ですか?」
「そう! それ!」
エミルは手をパンッと叩くと、笑顔で説明を続ける。
「このゲームではリアルに少しでも戦闘を近付ける為に、あえて魔法や銃などの高火力な遠距離系の攻撃をキャンセルしてるの。基本はスキルというものは、武器強化か肉体強化の2種類しかないわ。そこで重要なのが、武器の選択『剣』『弓』『体術』の3種類。他にも色々あるけど既存のショップで買えるのはこれくらいね。まあ、まずは見てもらった方が早いかな?」
説明を聞いて難しい顔をしている星に、エミルは微笑みを浮かべると、腰に差している長めの剣を引き抜いた。
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