異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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結界の解錠

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 自分に向けられた声と指に首を傾げた倉野だったが、すぐにその意図に気付いた。

「ああ、そうですね」
「そうよ。この結界の鍵を調べて」

 そう言い放つノエル。

「検索サイトじゃないんですから」
「検索サイト?」
「いえ、何でもないです」

 倉野は軽く苦笑しながらノエルにそう話し、スキル説明を発動しようとする。

「スキル説明発動。対象はヴェンデッタの宝物庫の」

 そこまで倉野が言葉にした瞬間に頭の中にイスベルグの声が響いた。

「おい、クラノ」

 いきなり声をかけられた倉野は驚きから一瞬体を痙攣させる。

「な、何ですか。びっくりした」
「油断しているからだ」
「そりゃ、いきなり頭の中に声が響いたらびっくりするでしょう」
「呆然として気づけば何十年と過ぎてしまうぞ」
「過ぎませんよ。そんなドラゴン基準で話さないでくださいよ。で、何ですか?」

 イスベルグの話にそう返答してから倉野は話を進めた。
 するとイスベルグは少し不満そうに答える。

「なんか、私の扱いが雑になってないか?」
「なってないですよ。で、何ですか」
「そういうところだ。まぁいい、鍵ならばそこの優男が持っている」

 そう言われた倉野はレインに視線を送った。
 倉野の視線を感じたレインは首を傾げる。

「どうしたんだい、クラノ。イスベルグと会話している様だが」
「えっと、鍵ならレインさんが持っているらしいです」

 倉野がイスベルグの言葉を伝えるとレインは自分の体を順番に軽く叩いた。

「俺が持ってる。いや何も持っていないよ。剣とこれくらいだ」

 そう言いながらレインが取り出したのはジュアルから受け取った、宝物庫の住所を書いた紙切れである。
 まるで結界にかざす様に掲げるとその紙切れが一瞬だけ薄く発光した。

「まさか」

 これまでの経験からその光が何らかの魔法反応であると気付いた倉野は、すぐに宝物庫の扉に触れる。
 先ほどまでならば倉野の手は弾かれていたはずだ。
 だが、すんなりと扉に触れることができた倉野。

「さ、触れましたよ!」
「これが鍵だったのか」

 驚きながら紙切れを眺めるレイン。
 リークからの信頼の証であった紙切れに微笑んでから再びポケットに仕舞い込んだ。

「結界問題は解決したわね。さぁ、入りましょう」

 そう言いながら倉野の背中を押すノエル。
 押された倉野はすぐに扉を開いた。
 開けた瞬間に独特な埃とカビが混ざった様な臭いが押し寄せてくる。
 真っ暗な宝物庫の中。
 周囲を警戒しながら三人は足を踏み入れた。
 レインにかけられたライトの魔法により照らされるとその部屋が思っていたよりも狭いことが分かる。
 石造りの壁に囲まれたその空間にはいくつかの大きな木箱が乱雑に置かれていた。

「思っていたより地味ね。金貨とか宝石とかが盛り沢山なのを想像していたけれど」

 そう言いながらノエルは木箱の中を覗き込む。
 すると、いくつかの金貨と小さな宝石が底の方にあるのが見える。
 だが、宝物庫というには少なすぎる量だった。
 不満そうに口を開くノエル。

「確かにあったけど、宝物庫というよりはへそくりじゃない?」

 ノエルの言葉を聞いた倉野とレインも覗き込む。
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