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連載
フォルテとレイン
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フォルテの隙を突くために倉野は初動を見せずにスキル神速で時間を置き去りにし、彼の背後へと回った。
スキル神速を発動した倉野には世界の時間が停止したかのように感じる。
それは倉野の速度と世界の速度に差が生まれるからだ。
停止した世界でフォルテの背後を取った倉野は、その後頭部目掛けて上段蹴りを繰り出す。
そのままフォルテの意識を刈り取る。
倉野はそう想定していた。しかしその攻撃は阻まれたのである。
「ぐっ・・・・・・」
蹴りを繰り出した右足に強烈な痛みが走り、倉野は苦痛の声を漏らした。
その瞬間、痛みによって意識を散らしてしまった倉野。
それによりスキル神速が解除されてしまった。
即座に後方に飛び、倉野はフォルテとの距離を取る。
足音で気づいたのか、フォルテはすぐに振り返り倉野に視線を向けた。
「知っているはずだ。俺のスキルは読心・・・・・・お前が何をするのか、そして何を恐れているのかを読めば、どのような攻撃も当たらない」
そう言い放つフォルテに倉野が言い返す。
「だとしても、あの速度で動く僕に合わせるなんて不可能だ」
「可能だからこうなっている」
さらに言い返すフォルテの言葉に倉野は黙ってしまった。
少し離れた場所でノエルが呟く。
「一体何が起きたのよ」
「おそらく、倉野がスキルを発動させたんだ。超高速で動くスキルだろうね。だが、フォルテはそれを読んでいたのさ。事前に展開した魔法の壁・・・・・・見たところファイヤーウォールで倉野の攻撃を防いだんじゃないかな」
そう解説するレイン。
倉野の蹴りが防がれた瞬間、一瞬火花のようなものが見えたところから推測したのだろう。
レインの推測は正しく、それによって倉野の攻撃は防がれていた。
「スキル神速を発動する前に僕の行動がわかっていたって言うのか」
足に残る痛みを感じながら倉野はそう言い放つ。
するとフォルテは小さく口角を上げて、口を開いた。
「ああ、そうだ。俺のスキル読心は広範囲かつ深い。クラノ、お前は俺を見た瞬間に短時間で倒さなければならないと考えた。そうしなければ王子たちを助けることはできないからな。そして短時間で倒せるのは自分だけだと思ったお前は倒し方を考え始めた。その中で最も早く確実に倒す方法がスキル神速の発動。超高速移動で背後を取ってから意識を奪う攻撃を考えついたんだ」
自分の頭の中を言い当てられた倉野は頬に汗が流れ落ちる感触に気づく。
立ちはだかる壁の大きさに恐怖している自分に気づいた。
しかし、フォルテの言葉はまだ続く。
「だが、その作戦を思いつくと同時にお前は失敗も思い出したはずだ。ゼロという男のことをな」
そう言い放つフォルテの言葉に心臓が止まりそうになる倉野。
しっかりと思い出していたわけではないが、ゼロという男と戦った際のことはずっと心に残っていた。
ゼロは白の創世という組織に所属しいている男である。彼は倉野と同じくスキル説明を所持していた。
倉野とゼロが対峙した際、スキル説明により倉野の行動を先読みしたゼロは魔法で壁を作ったのである。
魔法を通り抜けられるのは魔法だけ、というレオポルトの言葉通り倉野の拳は防がれただ痛みを感じるばかりだった。
その時の記憶を読み取ったフォルテはそのようにしたのだと理解した倉野。
「そこまで・・・・・・」
一瞬でそこまで読み取ったのか、と驚く倉野に対しフォルテは更なる言葉を放つ。
「一瞬でそこまで読み取ったのか、と思ったな。違うさ。その前からお前たちの声は聞こえていた。転移魔法によって転移してきた瞬間に俺のスキルの範囲内に入っている。お前たちが王子たちの防衛のために転移してきたことがわかった俺は仕方なく次の行動に移った。屋敷に火を放ったのはそのためだ。本当はノワール家に王子たちを始末させるつもりだったんだがな」
そう話すフォルテにレインが怒りを露わにした。
「ふざけるな。何様のつもりだよ。高みからの物言い・・・・・・まるで俺たちがお前の手の中にいるように!」
「いるのさ、この手の中にな。心を読むっていうのはそういうことだ。何を考えようが俺はその先を行く。どう足掻こうとな。そしてお前はこう言ったな、高みからの物言い、と。・・・・・・聞くが、いつから俺とお前は同じ場所に立っていたんだ。最初から俺の足元にいただろう」
「フォルテェ!」
沸騰した湯が溢れ出したかのようにレインが叫ぶ。
スキル神速を発動した倉野には世界の時間が停止したかのように感じる。
それは倉野の速度と世界の速度に差が生まれるからだ。
停止した世界でフォルテの背後を取った倉野は、その後頭部目掛けて上段蹴りを繰り出す。
そのままフォルテの意識を刈り取る。
倉野はそう想定していた。しかしその攻撃は阻まれたのである。
「ぐっ・・・・・・」
蹴りを繰り出した右足に強烈な痛みが走り、倉野は苦痛の声を漏らした。
その瞬間、痛みによって意識を散らしてしまった倉野。
それによりスキル神速が解除されてしまった。
即座に後方に飛び、倉野はフォルテとの距離を取る。
足音で気づいたのか、フォルテはすぐに振り返り倉野に視線を向けた。
「知っているはずだ。俺のスキルは読心・・・・・・お前が何をするのか、そして何を恐れているのかを読めば、どのような攻撃も当たらない」
そう言い放つフォルテに倉野が言い返す。
「だとしても、あの速度で動く僕に合わせるなんて不可能だ」
「可能だからこうなっている」
さらに言い返すフォルテの言葉に倉野は黙ってしまった。
少し離れた場所でノエルが呟く。
「一体何が起きたのよ」
「おそらく、倉野がスキルを発動させたんだ。超高速で動くスキルだろうね。だが、フォルテはそれを読んでいたのさ。事前に展開した魔法の壁・・・・・・見たところファイヤーウォールで倉野の攻撃を防いだんじゃないかな」
そう解説するレイン。
倉野の蹴りが防がれた瞬間、一瞬火花のようなものが見えたところから推測したのだろう。
レインの推測は正しく、それによって倉野の攻撃は防がれていた。
「スキル神速を発動する前に僕の行動がわかっていたって言うのか」
足に残る痛みを感じながら倉野はそう言い放つ。
するとフォルテは小さく口角を上げて、口を開いた。
「ああ、そうだ。俺のスキル読心は広範囲かつ深い。クラノ、お前は俺を見た瞬間に短時間で倒さなければならないと考えた。そうしなければ王子たちを助けることはできないからな。そして短時間で倒せるのは自分だけだと思ったお前は倒し方を考え始めた。その中で最も早く確実に倒す方法がスキル神速の発動。超高速移動で背後を取ってから意識を奪う攻撃を考えついたんだ」
自分の頭の中を言い当てられた倉野は頬に汗が流れ落ちる感触に気づく。
立ちはだかる壁の大きさに恐怖している自分に気づいた。
しかし、フォルテの言葉はまだ続く。
「だが、その作戦を思いつくと同時にお前は失敗も思い出したはずだ。ゼロという男のことをな」
そう言い放つフォルテの言葉に心臓が止まりそうになる倉野。
しっかりと思い出していたわけではないが、ゼロという男と戦った際のことはずっと心に残っていた。
ゼロは白の創世という組織に所属しいている男である。彼は倉野と同じくスキル説明を所持していた。
倉野とゼロが対峙した際、スキル説明により倉野の行動を先読みしたゼロは魔法で壁を作ったのである。
魔法を通り抜けられるのは魔法だけ、というレオポルトの言葉通り倉野の拳は防がれただ痛みを感じるばかりだった。
その時の記憶を読み取ったフォルテはそのようにしたのだと理解した倉野。
「そこまで・・・・・・」
一瞬でそこまで読み取ったのか、と驚く倉野に対しフォルテは更なる言葉を放つ。
「一瞬でそこまで読み取ったのか、と思ったな。違うさ。その前からお前たちの声は聞こえていた。転移魔法によって転移してきた瞬間に俺のスキルの範囲内に入っている。お前たちが王子たちの防衛のために転移してきたことがわかった俺は仕方なく次の行動に移った。屋敷に火を放ったのはそのためだ。本当はノワール家に王子たちを始末させるつもりだったんだがな」
そう話すフォルテにレインが怒りを露わにした。
「ふざけるな。何様のつもりだよ。高みからの物言い・・・・・・まるで俺たちがお前の手の中にいるように!」
「いるのさ、この手の中にな。心を読むっていうのはそういうことだ。何を考えようが俺はその先を行く。どう足掻こうとな。そしてお前はこう言ったな、高みからの物言い、と。・・・・・・聞くが、いつから俺とお前は同じ場所に立っていたんだ。最初から俺の足元にいただろう」
「フォルテェ!」
沸騰した湯が溢れ出したかのようにレインが叫ぶ。
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