163 / 729
連載
絶望or絶望
しおりを挟む
「いえ、頭をあげてください。レインさんには助けられましたから」
言いながら倉野は微笑む。
するとリヴィエールも釣られるように微笑んだ。
「騎士レインは良き仲間を得たようですね。私も長らく国軍大将をしておりますが、何の見返りもなく命をかけてくれる人間が一体何人いるのかわかりません。それで騎士レイン、こちらの女性は?」
リヴィエールに問いかけられたレインはノエルの表情を窺いながら紹介する。
「こちらも同じ飛行船に同乗していた者です。彼女はフリーの傭兵をしております。名はノエル、彼女もまた私に協力してくれています」
そう紹介されたノエルは軽く会釈をした。
「ノエル・マスタングと申します」
「それでは挨拶はこれくらいにしましょうか。それで、お話とは一体?」
ノエルが名乗り終えたのを確認したリヴィエールは、突然真剣な表情で問いかける。
空気が一気に張り詰め、避けては通れない出来事が目の前にあるのだと思い出させた。
一呼吸おいて倉野は口を開く。
「レインさん・・・・・・僕はレインさんを止めにきたんです」
「ど、どういうことだい、クラノ」
倉野の口から飛び出した言葉に驚くレイン。
即座に倉野は言葉を続けた。
「ノエルさんから聞きました。第四王子ルシアルさんが屋敷の倒壊に巻き込まれてしまったこと・・・・・・そして、全ての悲劇を終わらせるために王位継承権争いを終わらせたいと」
「ああ、そうだよ。新たな王が決まるまでこの悲しみは続く。ジュウザ様殺害の黒幕がノワール家だと分かっているのだから、残っているルージュ家の血を継いだ王子のどちらかが王になるべきだ」
「それを止めにきたんです」
倉野はそう言いながらまっすぐレインの目を見つめる。
それを聞いていたリヴィエールが小さく頷き、言葉を挟んだ。
「なるほど。やはり、私が辿り着いた答えとクラノ殿が出した答えは同じのようですね」
「え?」
思わず聞き返す倉野。
しかし、リヴィエールは構わずに話を続けた。
「王位継承権争いを終わらせるために、と騎士レインは残った二つの選択肢から選んだ。どちらが絶望であるか、どちらが希望であるか・・・・・・そう考えたはずです。ジュウザ様殺害の黒幕であるノワール家が王家となれば絶望するしかない。そうでないルージュ家が王家となれば希望がある。しかし、この選択肢は間違っております」
リヴィエールの言葉を聞いたレインは首を傾げる。
「それはどういうことですか?」
「貴方の選択肢は両方が絶望だったというわけですよ。どちらも毒・・・・・・どちらもこの国を終わらせる終末の鐘なのです」
まるで言葉をレインの心に植え付けるようにリヴィエールはそう言い放った。
そんな言葉を聞いたレインはとある答えにたどり着く。
「まさか・・・・・・」
言いながら倉野は微笑む。
するとリヴィエールも釣られるように微笑んだ。
「騎士レインは良き仲間を得たようですね。私も長らく国軍大将をしておりますが、何の見返りもなく命をかけてくれる人間が一体何人いるのかわかりません。それで騎士レイン、こちらの女性は?」
リヴィエールに問いかけられたレインはノエルの表情を窺いながら紹介する。
「こちらも同じ飛行船に同乗していた者です。彼女はフリーの傭兵をしております。名はノエル、彼女もまた私に協力してくれています」
そう紹介されたノエルは軽く会釈をした。
「ノエル・マスタングと申します」
「それでは挨拶はこれくらいにしましょうか。それで、お話とは一体?」
ノエルが名乗り終えたのを確認したリヴィエールは、突然真剣な表情で問いかける。
空気が一気に張り詰め、避けては通れない出来事が目の前にあるのだと思い出させた。
一呼吸おいて倉野は口を開く。
「レインさん・・・・・・僕はレインさんを止めにきたんです」
「ど、どういうことだい、クラノ」
倉野の口から飛び出した言葉に驚くレイン。
即座に倉野は言葉を続けた。
「ノエルさんから聞きました。第四王子ルシアルさんが屋敷の倒壊に巻き込まれてしまったこと・・・・・・そして、全ての悲劇を終わらせるために王位継承権争いを終わらせたいと」
「ああ、そうだよ。新たな王が決まるまでこの悲しみは続く。ジュウザ様殺害の黒幕がノワール家だと分かっているのだから、残っているルージュ家の血を継いだ王子のどちらかが王になるべきだ」
「それを止めにきたんです」
倉野はそう言いながらまっすぐレインの目を見つめる。
それを聞いていたリヴィエールが小さく頷き、言葉を挟んだ。
「なるほど。やはり、私が辿り着いた答えとクラノ殿が出した答えは同じのようですね」
「え?」
思わず聞き返す倉野。
しかし、リヴィエールは構わずに話を続けた。
「王位継承権争いを終わらせるために、と騎士レインは残った二つの選択肢から選んだ。どちらが絶望であるか、どちらが希望であるか・・・・・・そう考えたはずです。ジュウザ様殺害の黒幕であるノワール家が王家となれば絶望するしかない。そうでないルージュ家が王家となれば希望がある。しかし、この選択肢は間違っております」
リヴィエールの言葉を聞いたレインは首を傾げる。
「それはどういうことですか?」
「貴方の選択肢は両方が絶望だったというわけですよ。どちらも毒・・・・・・どちらもこの国を終わらせる終末の鐘なのです」
まるで言葉をレインの心に植え付けるようにリヴィエールはそう言い放った。
そんな言葉を聞いたレインはとある答えにたどり着く。
「まさか・・・・・・」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,848
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。