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それぞれの思いを飲み込む夜
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話を終えた一同はアルダリンの好意に甘え、十六夜の馬亭に部屋を用意してもらいそのまま宿泊することにした。
それぞれの思いを抱えたまま、エスエ帝国での夜を過ごしていく。
だが、疲れからだろうか、倉野はあっという間に眠りに落ちていった。
そして倉野は翌朝、頭も体も羽のように軽い状態で目を覚ます。昨夜の疲れも嘘のようだ。
いつものようにツクネと挨拶を交わし、部屋を出るとちょうどリオネの声が聞こえてくる。どうやら隣の部屋の前で話をしているようだ。
倉野が宿泊した部屋はノーベンバー商会が契約しているものであり、その都合上隣の部屋にはアルダリンが宿泊している。つまりリオネの話し相手はアルダリンである。
護衛の仕事について話しているようで、リオネがアルダリンにこう問いかけていた。
「本当にいいんですか?」
「ええ、本日この十六夜の馬亭から出ることはありませんからな。この中に危険はありませんし、我がノーベンバー商会の従業員も合流する予定です。打ち合わせや今後についての会議を行うので、むしろ別行動していただいた方がいいのですよ。よって本日はご自由に過ごしてくだされ」
そう答えるアルダリン。護衛として雇われているリオネは常にアルダリンのそばにいる必要がある。しかし、依頼者が希望するのならば一旦別行動をするのも護衛の仕事と言えよう。商会内での会議には部外秘の内容もあるはずだ。
それを察したリオネは申し訳なさそうに頷く。
「分かりました。それではまた明日ですね」
「ええ、もちろん本日分の依頼料もお支払いしますのでご安心を。それに明日はまたマッティーノ・・・・・・いえ、エメロードとの商談があります。その時には同行していただきたいのでよろしくお願いしますぞ」
微笑みながらアルダリンが語りかけた。そこで話が終わったことを察した倉野が声をかける。
「おはようございます。リオネさん、アルダリンさん」
声に反応したアルダリンが手を挙げた。
「ほっほっほ、クラノさんおはようございます。よく眠れましたかな」
「はい。こんな豪華な場所に泊まらせていただき感謝しています」
「ほっほっほ、どうせ空き部屋ですからな。いくらでも使用してください。他のところに泊まるくらいならばここが一番過ごしやすいはずですよ。それにクラノさんやノエルさんがいてくれればリオネさんも嬉しいでしょうから」
アルダリンは言いながらリオネに視線を送る。視線を受けたリオネは微笑みながらこう答えた。
「おはようございます、クラノさん。でも、クラノさんにもご都合がありますから」
すると倉野は何も考えずに言葉を返す。
「いえ、特に予定も決まってません。もしアルダリンさんさえ良ければ、ご好意に甘えさせてください」
「ほっほっほ、ぜひそうしてください。十六夜の馬亭には言っておきますから、いつでも戻って来てくだされ。おお、もうそろそろ我が商会の者が合流する頃合いですな、資料をまとめなければならないので、失礼しますぞ」
そう言ってアルダリンは部屋の中に戻っていった。
廊下に残された倉野とリオネはお互いに見つめ合い、数秒沈黙する。リオネは倉野がこちらの世界に来て、最初に出会った女性。そして倉野が強くなるきっかけをくれた女性。リオネにとって倉野は命がけで自分を守ってくれた男性。心から信頼できる数少ない男性だ。
そしてこの瞬間、倉野が最初の街を出てから初めて二人きりになったのである。何を話そうか、何から話そうか、と黙って見つめ合ってしまうのも無理はない。
それぞれの思いを抱えたまま、エスエ帝国での夜を過ごしていく。
だが、疲れからだろうか、倉野はあっという間に眠りに落ちていった。
そして倉野は翌朝、頭も体も羽のように軽い状態で目を覚ます。昨夜の疲れも嘘のようだ。
いつものようにツクネと挨拶を交わし、部屋を出るとちょうどリオネの声が聞こえてくる。どうやら隣の部屋の前で話をしているようだ。
倉野が宿泊した部屋はノーベンバー商会が契約しているものであり、その都合上隣の部屋にはアルダリンが宿泊している。つまりリオネの話し相手はアルダリンである。
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「本当にいいんですか?」
「ええ、本日この十六夜の馬亭から出ることはありませんからな。この中に危険はありませんし、我がノーベンバー商会の従業員も合流する予定です。打ち合わせや今後についての会議を行うので、むしろ別行動していただいた方がいいのですよ。よって本日はご自由に過ごしてくだされ」
そう答えるアルダリン。護衛として雇われているリオネは常にアルダリンのそばにいる必要がある。しかし、依頼者が希望するのならば一旦別行動をするのも護衛の仕事と言えよう。商会内での会議には部外秘の内容もあるはずだ。
それを察したリオネは申し訳なさそうに頷く。
「分かりました。それではまた明日ですね」
「ええ、もちろん本日分の依頼料もお支払いしますのでご安心を。それに明日はまたマッティーノ・・・・・・いえ、エメロードとの商談があります。その時には同行していただきたいのでよろしくお願いしますぞ」
微笑みながらアルダリンが語りかけた。そこで話が終わったことを察した倉野が声をかける。
「おはようございます。リオネさん、アルダリンさん」
声に反応したアルダリンが手を挙げた。
「ほっほっほ、クラノさんおはようございます。よく眠れましたかな」
「はい。こんな豪華な場所に泊まらせていただき感謝しています」
「ほっほっほ、どうせ空き部屋ですからな。いくらでも使用してください。他のところに泊まるくらいならばここが一番過ごしやすいはずですよ。それにクラノさんやノエルさんがいてくれればリオネさんも嬉しいでしょうから」
アルダリンは言いながらリオネに視線を送る。視線を受けたリオネは微笑みながらこう答えた。
「おはようございます、クラノさん。でも、クラノさんにもご都合がありますから」
すると倉野は何も考えずに言葉を返す。
「いえ、特に予定も決まってません。もしアルダリンさんさえ良ければ、ご好意に甘えさせてください」
「ほっほっほ、ぜひそうしてください。十六夜の馬亭には言っておきますから、いつでも戻って来てくだされ。おお、もうそろそろ我が商会の者が合流する頃合いですな、資料をまとめなければならないので、失礼しますぞ」
そう言ってアルダリンは部屋の中に戻っていった。
廊下に残された倉野とリオネはお互いに見つめ合い、数秒沈黙する。リオネは倉野がこちらの世界に来て、最初に出会った女性。そして倉野が強くなるきっかけをくれた女性。リオネにとって倉野は命がけで自分を守ってくれた男性。心から信頼できる数少ない男性だ。
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