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連載
出会い〜レイチェル編〜
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自分と倉野の出会いを話し終えたリオネはレイチェルにも同じ質問をぶつける。
「そういうレイチェルさんはどのような出会い方をされたんですか?
問いかけられたレイチェルは当時のことを思い出すように優しく語った。
「忘れもしません。私は今までに三度、クラノ様に救っていただいております。その一度目に私はクラノ様に出会いました。その当時、私の父が原因不明の病に犯されておりまして、私はその病から逃れるために帝都を離れていたのです。私が帝都を離れているうちに父ではなく兄たちが次々と不審な死を遂げました。それを知った私は急いで帝都に向かう・・・・・・もちろん護衛の者をつけて。しかし、その途中で多くのならず者に襲われてしまったのです。私を守るために次々に倒れていく護衛たち。死を覚悟しました・・・・・・ですがそんな時、閃光のように現れ、救ってくださったのがクラノ様だったのです。まるで雷に打たれたような衝撃でした」
語りながら倉野の顔を見つめるレイチェル。そこから先を語りはしなかったが、おそらくクラノとの日々を思い返しているのだろう。もちろんレイチェルにとって辛いことも多かった。だが、その辛さのそばにはいつも倉野がいたのである。どんな辛さからも倉野が救ってくれた。
そんなレイチェルの言葉と表情から心中を察したリオネはその気持ちが軽いものではないと感じ取る。
自分と同じように絶望から救ってくれたクラノを好きになってしまったのだと・・・・・・愛してしまったのだと。
お互いに出会いを話し合ったリオネとレイチェルは似た境遇に親近感を感じ始めていた。
「そうだったんですね。本気で・・・・・・」
深くは語らずにリオネがそう呟く。倉野にその言葉の意味はわからなかったがレイチェルは理解したように頷き答えた。
「ええ、もちろんです。そんなリオネさんも軽い気持ちではないのですね」
「はい。レイチェルさんと同じです・・・・・・こういうことだったんですね。立場や生まれた世界は関係ない・・・・・・理解しました」
先ほどまで牽制しあっていたのが嘘のように爽やかな微笑みを向け合うリオネとレイチェル。
同じ人間を愛したという共通点を認め合えたのだろう。
その上でレイチェルがリオネにこう言い放った。
「お互いに恨みっこなしですよ」
「もちろんです」
語り合う二人が何を言っているのか倉野だけが理解できずにいる。そんな状況眺めていたノエルがシラムに話しかけた。
「どうやら落ち着いたようね。でもクラノは何の話か分かっていなさそうだわ」
「鈍感とは罪ですな」
「本当ね。変なところは鋭いくせに、気付かないのかしら。あの溶けそうな熱い二つの熱視線」
そんな話をしているうちに四人を乗せたフォンガ車は庶民街を抜け貴族街に入る。外の景色は明らかに豪華な建物ばかりになっていった。初めて貴族街に足を踏み入れたリオネが驚いたように息を漏らした。
「うわー、貴族街ってこんな感じなんですね。家の一つ一つが美術品みたいでまるで異世界です」
「そういうレイチェルさんはどのような出会い方をされたんですか?
問いかけられたレイチェルは当時のことを思い出すように優しく語った。
「忘れもしません。私は今までに三度、クラノ様に救っていただいております。その一度目に私はクラノ様に出会いました。その当時、私の父が原因不明の病に犯されておりまして、私はその病から逃れるために帝都を離れていたのです。私が帝都を離れているうちに父ではなく兄たちが次々と不審な死を遂げました。それを知った私は急いで帝都に向かう・・・・・・もちろん護衛の者をつけて。しかし、その途中で多くのならず者に襲われてしまったのです。私を守るために次々に倒れていく護衛たち。死を覚悟しました・・・・・・ですがそんな時、閃光のように現れ、救ってくださったのがクラノ様だったのです。まるで雷に打たれたような衝撃でした」
語りながら倉野の顔を見つめるレイチェル。そこから先を語りはしなかったが、おそらくクラノとの日々を思い返しているのだろう。もちろんレイチェルにとって辛いことも多かった。だが、その辛さのそばにはいつも倉野がいたのである。どんな辛さからも倉野が救ってくれた。
そんなレイチェルの言葉と表情から心中を察したリオネはその気持ちが軽いものではないと感じ取る。
自分と同じように絶望から救ってくれたクラノを好きになってしまったのだと・・・・・・愛してしまったのだと。
お互いに出会いを話し合ったリオネとレイチェルは似た境遇に親近感を感じ始めていた。
「そうだったんですね。本気で・・・・・・」
深くは語らずにリオネがそう呟く。倉野にその言葉の意味はわからなかったがレイチェルは理解したように頷き答えた。
「ええ、もちろんです。そんなリオネさんも軽い気持ちではないのですね」
「はい。レイチェルさんと同じです・・・・・・こういうことだったんですね。立場や生まれた世界は関係ない・・・・・・理解しました」
先ほどまで牽制しあっていたのが嘘のように爽やかな微笑みを向け合うリオネとレイチェル。
同じ人間を愛したという共通点を認め合えたのだろう。
その上でレイチェルがリオネにこう言い放った。
「お互いに恨みっこなしですよ」
「もちろんです」
語り合う二人が何を言っているのか倉野だけが理解できずにいる。そんな状況眺めていたノエルがシラムに話しかけた。
「どうやら落ち着いたようね。でもクラノは何の話か分かっていなさそうだわ」
「鈍感とは罪ですな」
「本当ね。変なところは鋭いくせに、気付かないのかしら。あの溶けそうな熱い二つの熱視線」
そんな話をしているうちに四人を乗せたフォンガ車は庶民街を抜け貴族街に入る。外の景色は明らかに豪華な建物ばかりになっていった。初めて貴族街に足を踏み入れたリオネが驚いたように息を漏らした。
「うわー、貴族街ってこんな感じなんですね。家の一つ一つが美術品みたいでまるで異世界です」
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