異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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出発の朝

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 自分の部屋に戻った倉野はツクネの食事を終えると明日に備えて早めに眠ることにした。
 ベッドに入りツクネに話しかける倉野。

「そろそろ寝るかな。ツクネ、明日からまた移動になるけど大丈夫か?」
「ククー」
「そうだね、新しい場所に行くのは楽しみだ」
「クククッ!」
「ああ、美味しいものも食べような。温泉に入って・・・・・・ああ、オネットさんに加入してもらって・・・・・・」

 会話の途中で倉野は眠気に襲われゆっくりと瞼を閉じた。
 そんな倉野の顔に身を寄せたツクネは体を丸め、満足そうな表情を浮かべて自身も眠り始める。
 一人と一匹はお互いにとってこの世界で唯一家族と呼べる存在に身を寄せながら穏やかな夜を過ごしていった。

 次の日、窓から差し込む日の光に気づき倉野が目を覚ます。その瞬間に部屋の外からリオネの声が聞こえてきた。

「おはようございます、クラノさん。起きてますか?」
「ん・・・・・・あ、はい。今起きました。おはようございます」

 まだ残っている眠気を払うように目をこすりながらクラノが返答する。
 すると扉の向こうにいるリオネは申し訳なさそうに言葉を続けた。

「すみません、起こしちゃいましたね」
「いえ、ちょうど起きるところだったんです。ちょっと待ってください」

 そう伝えてから倉野は急いで身支度を整える。まだ眠っていたツクネを鞄の中に移動させると慌てて部屋から出た。
 扉を開けてすぐ倉野はリオネに微笑みかける。
 
「お待たせしました」
「あ、ここ寝癖がついていますよ」

 そう言いながらリオネが倉野の髪に手を伸ばした。何回か撫でるように髪を直すと満足そうに笑顔を浮かべる。

「よし、これで大丈夫です。さぁ、レインさんが待っていますよ」

 寝癖を直すという目的があったとはいえ突然頭を撫でられた倉野は照れ臭くなって自分の頭に触れる。リオネの手の温度が鮮明に残っていた。

「あ、ありがとうございます」

 倉野が動揺しながら礼を言うとリオネは優しく微笑んで彼の手を引く。

「ほら、行きましょう」

 倉野はその行動が今までのリオネよりも積極的だと感じた。
 どうしたんだろうと思いながらも倉野は彼女についていく。
 リオネに手を引かれたまま屋敷の正門まで来ると全ての準備を終えたレインが立っていた。

「あ、レインさん」

 倉野が名前を呼ぶとレインは爽やかに右手を上げて返答する。

「クラノ、リオネ。おはよう」
「おはようございます」
「おはようございます」

 挨拶を交わすとレインは正門の外を指差した。
 するとそこには小さめのフォンガ車が待機している。

「グランダー伯爵が昨夜のうちに用意してくれたのさ。フォンガ車なら目的地のアンゼロスまで半日と少しで着くはずだよ」

 フォンガ車の説明をするとレインは荷物をまとめて乗り込んだ。
 倉野たちも続くように乗り込む。
 目的地は観光都市アンゼロス。目的はオネット・マッティーノの勧誘。
 
「さぁ、行こうか」

 そのレインの一言でフォンガ車は進み出した。
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