異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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毒性植物ラフレール

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 諭すような伯爵の口調。ジェルジュールは仕方ないという表情を浮かべ、ため息をついてから口を開く。

「はぁ・・・・・・本当は全てを解明するまで説明したくなかったのですが、グランダー伯爵がそう仰るなら。いいですか、この乾燥した葉っぱは東の国に存在する毒性植物です。国によって呼び方は違いますが一番使われいる名前はラフレールでしょう。乾燥させているのは毒性を強めるため。乾燥することで成分は濃縮され、水分がなくなったことで燃やすことができると言ったところでしょう。燃やした煙に毒性を混ぜ、密閉された空間を満たす。なるほど、理にかなった方法ですね」

 ジェルジュールの説明を聞くとレオポルトは眉間に皺を寄せた。
 
「そうか・・・・・・これでクラノは誰かに殺された、と決定したわけか」

 毒性という強い言葉から判断したのだろう。悲しさなのか怒りなのか、ともかくレオポルトの表情は暗く厳しいものになっていた。
 同じように伯爵も表情を歪める。
 しかし、ジェルジュールだけは二人の感情を理解できずに首を傾げていた。

「何をそんなに悲しんで、いや怒っているんですか?」

 無神経とも思える発言だがジェルジュールに悪気はない。だが、レオポルトや伯爵には無神経さだけが伝わってしまった。
 仲間の死を悲しむ心を理解されなかったことがレオポルトの癇に障り、ジェルジュールに言い返す。

「仲間が誰かに殺されたのだ。悲しむのは当然だろう。それくらいわかると思うが」

 するとジェルジュールは再び首を傾げてから言葉を返した。

「誰が殺されたんです?」
「何を言っているんだ。お前さんが毒性植物だと説明していただろう。仲間が・・・・・・クラノがその犠牲になり命を落とした」
「どうして命を落とすんです?」

 二人の会話がまるで噛み合わない。その様子を見ていたグランダー伯爵は何かに気づき、二人を止めた。

「ちょっと待ってください。ジェルジュール氏に肝心なことを確認していませんでしたね。そのラフレールという毒性植物・・・・・・その毒とは一体どのような効果を持つのですか?」

 そう、伯爵もレオポルトも毒という言葉を聞き、人間を殺すものだと思い込んでいたのである。
 伯爵の質問を聞いたジェルジュールは納得したような表情で頷きこう説明した。

「ああ、しっかりと理解されていなかったようですね。毒性植物が即ち致死毒を持っているとは限りませんよ。ラフレールの毒は一時的に体の機能を全て停止したように見せるというものです。簡単に言えば強制的に仮死状態を作り出す植物ということですね。その特徴として仮死状態になっているときは毒性に潜んだ魔力が生命活動を維持してくれます。つまり、ラフレールによって誰かが死ぬことは不可能ということですよ」
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