異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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愛の形

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 ノエルについて訊ねられた倉野たち。
 話の流れで突然訊ねられたこともあり、レインが即答する。

「何度か」
「どうでしょう、一国の王女様とは思えぬほどの実力ではなかったですか?」
「ああ、ノエルから王女だと聞かされるまでは、腕利きの傭兵だと思い込み疑わなかったくらいです」
「ノエル様の強さこそ国王様の愛を表しているのです。戦いのセンスは国王様から受け継がれ、技術は俺が文字通り叩き込ませていただきました。いざというとき、ご自身のことを護れるように、と」

 ヴェルフェールは主に、受け答えをするレインに向けて話していた。
 流石に長いな、思うほどのベルフェールの話。だが、ノエルが傭兵として生きてこれたのは、ここまで生き残ってこれたのはエクレールとヴェルフェールによる鍛錬のおかげだということは間違いないようだ。
 話を聞き終えたレオポルトは小さく頷き、言葉を返す。

「確かにノエルは強かった。一度エスエ帝国にて手合わせをしたが、相当なものだったと記憶している」

 言いながらレオポルトはエクレールを視界の端に捉えていた。視線を感じ取らせない状態で、表情を確認しているのである。
 するとエクレールは一瞬、何かを気にしているような表情を浮かべたのちに鼻で笑い飛ばした。

「ふっ、血煙の獅子にそう言わせるか」

 そう話す表情は誇らしげにも見える。
 そんなエクレールに対して、レオポルトは全ての話を総括するように話し始めた。

「その辺の兵士よりも圧倒的に強いでしょう。鍛錬や経験もあるでしょうが、圧倒的だと感じたのは状況に応じた柔軟な発想、その発想を実現するだけの魔法力。まるで若かりしエクレール王を見ているようでした」
「それは皮肉か?」
「いえ、本心です。ようやくワシの中で話が繋がりましたよ。ワシの記憶にあるエクレール王と目の前の人物に距離があるのは、切り離した家族への愛が原因だった。どのような話をしてもノエルたちを犠牲にすることを厭わなかったのは、切り離すのだと意識していたのですね。全ては『青』に任せた・・・・・・わざわざ自分が戦略にノエルたちを救うことを加味するまでもない、と」

 レオポルトがここまでの理解を言葉にすると、エクレールは深いため息をついて答える。

「それが私が王になると決めた時の覚悟だ」
「難儀な性格ですな」

 レオポルトは歯を見せるような笑みで言う。
 全てを明かされたことが気恥ずかしいのだろうか。エクレールは頬杖をつきながら左側の何もない場所に視線をやる。
 ヴェルフェールの登場によって一つの問題は解決した。エクレールが頑なにノエルを救う、ということから目を背けていた理由やこれまでの接し方については納得がいく。
 しかし、それによってもう一つの問題が浮上した。
 ヴェルフェールを信用してもいいのかどうか、という問題である。
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