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愛とは痛いもの
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剣筋をなぞる様にビゼラードの皮膚は裂け、その傷口からは彼が人間であったことを主張する赤い液体が漏れる。
受けた斬撃の痛みと衝撃は彼が人生で経験したことのないものだった。ビゼラードは天井を見上げながら地面に膝を着く。
「あ・・・・・・あ、ああ」
レインがツクネと共に放った一撃はただの斬撃ではない。一人と一匹の魔力が込められた風の斬撃。傷口から竜巻のような衝撃を感じ、ビゼラードの全身から力が抜け落ちた。
血液が逆流しているのではないか、と錯覚してしまうほどの衝撃に耐えきれなかったのである。
「見え・・・・・・な・・・・・・かった」
彼が言っているのは最後の一撃のことだ。振り下ろした剣が気づけば跳ね上がり、自分の体を斬り裂いていたことが信じられない。
その攻撃はレイン自身も最初から狙っていたものではなかった。ここしかない、と感じた瞬間には体が動いていたと言うべきだろう。
「見えなくて当然さ。正直、俺にも追えない太刀筋だった。おそらく、最後の一撃を放ったのは俺じゃなくコイツだよ。ここで斬り上げたい、と考えた瞬間にはもう君を斬っていた」
言いながらレインは剣を鞘に納め、ツクネを撫でる。
確かにレインは振り下ろした剣をもう一度ビゼラードに向けようとした。だが、全力で振り下ろしている剣を正反対に動かすのは容易ではない。
それを叶えたのはレインの腕力ではなくツクネの風魔法だった。
「私は・・・・・・その小さな魔物に・・・・・・負けたというのか」
口から一筋の血を流しながらビゼラードが言う。するとレインは肩に乗っていたツクネを抱きかかえながら彼の言葉に答えた。
「小さな魔物? 知らないのかい、コイツはフェレッタのツクネ。俺も詳しいわけじゃないがフェレッタは『愛の化身』と呼ばれているんだ。君が負けたのはこの世界でも最も大きなものだよ・・・・・・愛さ」
「愛・・・・・・やはり、愛は痛いものですね。どこまでも私を蝕む・・・・・・愛は・・・・・・愛が私を殺す」
母から受けた暴力の数々を愛だと認識していたビゼラード。だが、彼の中にも葛藤はあった。それを愛だと思わなければ耐えられなかっただろう。強者こそが正義だと信じることで、自分の受けた愛を肯定するしかなかった。
悪いのは弱者。母は弱者に虐げられた被害者で、全ての怒りをビゼラードで発散するしかなかった。暴力の後に付け足される「愛しているからよ」という言葉を信じるしかなかったのである。
それがビゼラードの全てだ。
受けた斬撃の痛みと衝撃は彼が人生で経験したことのないものだった。ビゼラードは天井を見上げながら地面に膝を着く。
「あ・・・・・・あ、ああ」
レインがツクネと共に放った一撃はただの斬撃ではない。一人と一匹の魔力が込められた風の斬撃。傷口から竜巻のような衝撃を感じ、ビゼラードの全身から力が抜け落ちた。
血液が逆流しているのではないか、と錯覚してしまうほどの衝撃に耐えきれなかったのである。
「見え・・・・・・な・・・・・・かった」
彼が言っているのは最後の一撃のことだ。振り下ろした剣が気づけば跳ね上がり、自分の体を斬り裂いていたことが信じられない。
その攻撃はレイン自身も最初から狙っていたものではなかった。ここしかない、と感じた瞬間には体が動いていたと言うべきだろう。
「見えなくて当然さ。正直、俺にも追えない太刀筋だった。おそらく、最後の一撃を放ったのは俺じゃなくコイツだよ。ここで斬り上げたい、と考えた瞬間にはもう君を斬っていた」
言いながらレインは剣を鞘に納め、ツクネを撫でる。
確かにレインは振り下ろした剣をもう一度ビゼラードに向けようとした。だが、全力で振り下ろしている剣を正反対に動かすのは容易ではない。
それを叶えたのはレインの腕力ではなくツクネの風魔法だった。
「私は・・・・・・その小さな魔物に・・・・・・負けたというのか」
口から一筋の血を流しながらビゼラードが言う。するとレインは肩に乗っていたツクネを抱きかかえながら彼の言葉に答えた。
「小さな魔物? 知らないのかい、コイツはフェレッタのツクネ。俺も詳しいわけじゃないがフェレッタは『愛の化身』と呼ばれているんだ。君が負けたのはこの世界でも最も大きなものだよ・・・・・・愛さ」
「愛・・・・・・やはり、愛は痛いものですね。どこまでも私を蝕む・・・・・・愛は・・・・・・愛が私を殺す」
母から受けた暴力の数々を愛だと認識していたビゼラード。だが、彼の中にも葛藤はあった。それを愛だと思わなければ耐えられなかっただろう。強者こそが正義だと信じることで、自分の受けた愛を肯定するしかなかった。
悪いのは弱者。母は弱者に虐げられた被害者で、全ての怒りをビゼラードで発散するしかなかった。暴力の後に付け足される「愛しているからよ」という言葉を信じるしかなかったのである。
それがビゼラードの全てだ。
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