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欠かない画竜点睛
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明らかに狼狽えるダズウェルに対して、静かな水面のように落ち着き払っているレオポルト。
落ち着いて刀を鞘に納めると、レオポルトは口を開く。
「これまで培ってきた剣の常識を捨てねば刀には対応できんぞ。そして刀は更に速度を上げる。魔法でも格闘技でもなんでもいい・・・・・・真髄などと勿体ぶらずに、全てを出し切れ。これは忠告だ」
「忠告だと? 何様のつもりだ、レオポルト・ダッセル! 貴様に言われずとも吾輩はいつでも全力だ! 全力を出さぬ獅子とは違う!」
「それならば良い。死体になってからは吠えることも出来んからな」
「どこまでも不遜な獅子め! 貴様が戦いから離れ、平和という堕落に浸かりきっている間も鍛練を続けた吾輩に勝てると思うな!」
そう叫んでからダズウェルは右手を上に、左手を下にして拳を構えた。龍の口のような構えである。
両拳に炎を纏わせて、レオポルトを睨みつけた。
「真髄其の三、力こそ力。これが吾輩の辿り着いた答えだ。持ちうる闘技と全ての魔法を組み合わせた純然たる力。それこそが全てを凌駕する!」
ダズウェルは地面を蹴りつけ、鳥が獲物に強襲するような速度でレオポルトに飛びかかる。
それでも尚、レオポルトは動じない。ダズウェルの攻撃がどれほどの破壊力を持つのか、速度と魔力濃度でわかっているのに、である。
「力こそ力。馬鹿げた言葉だと思う反面、理解もできる。力を超えるものは力でしかない。だが、全てを含めた広義な『力』ではあるがな。知略も策も人数も状況も運も・・・・・・そして速さも」
不規則に上下左右に動きながら向かってくるダズウェル。その動きはまさに龍のようであった。しかし、それでもまだレオポルトは動かない。
回避や防御をする素振りは見られなかった。
ただ、鞘と収めた刀を握っている。刀を抜く途中に撮られた写真だと言われれば納得できる状態だ。
そんなレオポルトに言い表せぬ寒気を感じるダズウェルだったが、ここで退くわけにはいかない。確かに先程は刀の速度に驚きはしたが、急停止からの後退には減速の瞬間があった。しかし、このまま攻撃すれば速度を上昇させながら突撃することができる。
いくら速いとは言っても、まだ刀を鞘から抜いていない相手など恐れる必要はない。
寒気以外に退く要素などなかった。
「平和ボケした獅子は世界に不必要だ! 完璧な龍の一撃の前に消え失せろ! 画竜点睛!」
上下の拳が龍の上顎と下顎で噛みつくようにレオポルトを襲う。
拳が纏っている炎がレオポルトに触れ、その熱を感じたその瞬間。ようやくレオポルトは動きを見せた。
「居合、抜刀・・・・・・残響・・・・・・」
呟くというよりも、言葉をその場所に置いたようなレオポルト。
その声がダズウェルの鼓膜を揺らし、信号として脳に伝わるよりも先に彼は異変に気づいた。
「消え・・・・・・」
まばたきなどしていない。していないというのに、レオポルトの姿を見失ったのである。
その瞬間、ダズウェルの背後で金属が擦れる音が聞こえ、彼は振り返った。
「まさか!」
落ち着いて刀を鞘に納めると、レオポルトは口を開く。
「これまで培ってきた剣の常識を捨てねば刀には対応できんぞ。そして刀は更に速度を上げる。魔法でも格闘技でもなんでもいい・・・・・・真髄などと勿体ぶらずに、全てを出し切れ。これは忠告だ」
「忠告だと? 何様のつもりだ、レオポルト・ダッセル! 貴様に言われずとも吾輩はいつでも全力だ! 全力を出さぬ獅子とは違う!」
「それならば良い。死体になってからは吠えることも出来んからな」
「どこまでも不遜な獅子め! 貴様が戦いから離れ、平和という堕落に浸かりきっている間も鍛練を続けた吾輩に勝てると思うな!」
そう叫んでからダズウェルは右手を上に、左手を下にして拳を構えた。龍の口のような構えである。
両拳に炎を纏わせて、レオポルトを睨みつけた。
「真髄其の三、力こそ力。これが吾輩の辿り着いた答えだ。持ちうる闘技と全ての魔法を組み合わせた純然たる力。それこそが全てを凌駕する!」
ダズウェルは地面を蹴りつけ、鳥が獲物に強襲するような速度でレオポルトに飛びかかる。
それでも尚、レオポルトは動じない。ダズウェルの攻撃がどれほどの破壊力を持つのか、速度と魔力濃度でわかっているのに、である。
「力こそ力。馬鹿げた言葉だと思う反面、理解もできる。力を超えるものは力でしかない。だが、全てを含めた広義な『力』ではあるがな。知略も策も人数も状況も運も・・・・・・そして速さも」
不規則に上下左右に動きながら向かってくるダズウェル。その動きはまさに龍のようであった。しかし、それでもまだレオポルトは動かない。
回避や防御をする素振りは見られなかった。
ただ、鞘と収めた刀を握っている。刀を抜く途中に撮られた写真だと言われれば納得できる状態だ。
そんなレオポルトに言い表せぬ寒気を感じるダズウェルだったが、ここで退くわけにはいかない。確かに先程は刀の速度に驚きはしたが、急停止からの後退には減速の瞬間があった。しかし、このまま攻撃すれば速度を上昇させながら突撃することができる。
いくら速いとは言っても、まだ刀を鞘から抜いていない相手など恐れる必要はない。
寒気以外に退く要素などなかった。
「平和ボケした獅子は世界に不必要だ! 完璧な龍の一撃の前に消え失せろ! 画竜点睛!」
上下の拳が龍の上顎と下顎で噛みつくようにレオポルトを襲う。
拳が纏っている炎がレオポルトに触れ、その熱を感じたその瞬間。ようやくレオポルトは動きを見せた。
「居合、抜刀・・・・・・残響・・・・・・」
呟くというよりも、言葉をその場所に置いたようなレオポルト。
その声がダズウェルの鼓膜を揺らし、信号として脳に伝わるよりも先に彼は異変に気づいた。
「消え・・・・・・」
まばたきなどしていない。していないというのに、レオポルトの姿を見失ったのである。
その瞬間、ダズウェルの背後で金属が擦れる音が聞こえ、彼は振り返った。
「まさか!」
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