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真美は昼夜問わず働いていた。昼は弁当屋で、夜はスナックで働いている。全ては息子を育てるためだった。
その子を産む前に父親とは別れており行方も知れない。日々の生活に疲れることもあったが息子の成長と笑顔だけが真美を支えていた。
そんなある日、弁当屋の同僚が奥の調理場で作業をしていた真美を呼ぶ。
「ねぇねぇ、真美さん」
「はい? どうかしました?」
「さっきね、右足を引き摺った男の人が来て、真美さんにこの封筒を渡すように頼まれたのよ」
そう言いながら同僚は真美に分厚い封筒を手渡した。ひどく汚れた封筒はずっしりと重みを感じる。
「え、何だろう?」
真美が封筒の中を覗き込むと中にはぎっしりと紙幣が詰められていた。
「え!」
思わず驚く真美。同じように同僚も驚いている。
「大金じゃない!」
「え、どうして私に?」
「えっとね、その男の人はこう言ってたわよ。相棒の子どもに……って」
「相棒?」
意味がわからず真美は首を傾げたが、そのおかげで封筒に小さく書かれている名前に気づいた。
そこにはこう書かれている。
「佐藤ってまさか、佐藤くんの?」
その名前から何かに気づいた真美。不思議に思った同僚は疑問を口にする。
「知ってるの? よくある苗字だと思うけど」
「ええ、多分、息子の父親からだと……ううん、相棒っていうなら堀江くん」
真美はその封筒を握りしめ、楽しかった過去を思い出した。
まるでどこからか流れてきた走馬灯を受け継ぐようである。
その子を産む前に父親とは別れており行方も知れない。日々の生活に疲れることもあったが息子の成長と笑顔だけが真美を支えていた。
そんなある日、弁当屋の同僚が奥の調理場で作業をしていた真美を呼ぶ。
「ねぇねぇ、真美さん」
「はい? どうかしました?」
「さっきね、右足を引き摺った男の人が来て、真美さんにこの封筒を渡すように頼まれたのよ」
そう言いながら同僚は真美に分厚い封筒を手渡した。ひどく汚れた封筒はずっしりと重みを感じる。
「え、何だろう?」
真美が封筒の中を覗き込むと中にはぎっしりと紙幣が詰められていた。
「え!」
思わず驚く真美。同じように同僚も驚いている。
「大金じゃない!」
「え、どうして私に?」
「えっとね、その男の人はこう言ってたわよ。相棒の子どもに……って」
「相棒?」
意味がわからず真美は首を傾げたが、そのおかげで封筒に小さく書かれている名前に気づいた。
そこにはこう書かれている。
「佐藤ってまさか、佐藤くんの?」
その名前から何かに気づいた真美。不思議に思った同僚は疑問を口にする。
「知ってるの? よくある苗字だと思うけど」
「ええ、多分、息子の父親からだと……ううん、相棒っていうなら堀江くん」
真美はその封筒を握りしめ、楽しかった過去を思い出した。
まるでどこからか流れてきた走馬灯を受け継ぐようである。
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