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本編
第7話_新たに宿す忠誠-8
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すこぶる満足したイツキ王子は、ソファからぴょんと立ち上がる。
「ソウヤ、君に僕の秘密を教えてあげる」
そう言うと、ソウヤの手を引き立ち上がらせる。
「…本当は、夜に表へ出る時は、父上にお許しを頂いてからって言われてるんだけど」
王子は飾り棚の中にしまわれていたカンテラを取り出して明かりを灯し、カーテンを除け窓を開ける。
窓の外には広大なテラスがあり、地上から離れた場所とは思えない、庭園のような光景が広がっていた。
王子は、身体にストールを羽織ってからソウヤの手を引いてテラスへ降り、庭園の先へ進む。
庭園を抜けたテラスの最奥は、何段か石畳で段差が作られていて、丸く囲われたその小高い中央に、そこだけ自然から逸脱したような灰色のドーム型の建物がそびえ立っていた。
「これは…?」
「天文台だよ」
そう答えられても、変わらずきょとんとしているソウヤを、王子がドーム内部へと誘う。
中は狭く、ふたりで入って丁度良いくらいの広さだった。
ドーム内中央には長い筒状の機械が置かれ、王子が壁のリモコンを操作すると、ドームの天井がスリット状に開き、夜空が望む。
「星を観測出来るんだよ。10歳の誕生日に、父上が造って下さったんだ」
「…"ほし"、を」
「ここから覗いてみて」
イツキ王子は後ろからソウヤの肩に手を置き、筒状の機械――望遠鏡の接眼部へ目を近付けてやる。
王子の背の高さに屈んでレンズを覗き込むと、ソウヤは目を見張った。
「…! 綺麗ですね。この一面一杯に瞬く光が、"ほし"と言うのですか?」
「うん。…ソウヤは、星を知らなかった?」
「はい。空を見上げることは度々ありましたので、存在は知っていましたが…、…」
ソウヤは素直にそう返し、先を続けようとしたが、ふとなにかが思考領域に過り、言い止まる。
…?
…知らないはずなのに…博士から学習してないはずなのに、何か引っかかる…
「ソウヤは結構知らないことがあるんだね、僕より年上なのに」
「! いえ、私はイツキより年下ですよ」
我に返ったソウヤが答えた事実に、王子は狐につままれたような面持ちになる。
「えっ、そうなの?」
「はい。創造主に生を賜ってから、1年経ったばかりです」
「…ええっ!? じゃあ、まだほんの赤ちゃんじゃない!」
「はい」
にこりと微笑むソウヤを見、王子はその頬へ手を伸ばす。
「…そっか…だから、こんなに肌がつるつるですべすべなんだ…!」
「! ひゃ」
頬を指先でふにふにとつつかれ、ソウヤは変な声をあげて赤面し、逃れようと背を反らす。
「わぁ、すごく触り心地が良い。ずっと触っていたくなっちゃう」
「お、お許し下さいっ…、なにやら恥ずかしいです…!」
「? なにも恥ずかしいことなんか無いよ、今はふたりきりなんだから」
「! 確かに…」
対処に困るソウヤだったが、王子にあっけらかんと言い返され、素直に納得する。
「ソウヤ、君に僕の秘密を教えてあげる」
そう言うと、ソウヤの手を引き立ち上がらせる。
「…本当は、夜に表へ出る時は、父上にお許しを頂いてからって言われてるんだけど」
王子は飾り棚の中にしまわれていたカンテラを取り出して明かりを灯し、カーテンを除け窓を開ける。
窓の外には広大なテラスがあり、地上から離れた場所とは思えない、庭園のような光景が広がっていた。
王子は、身体にストールを羽織ってからソウヤの手を引いてテラスへ降り、庭園の先へ進む。
庭園を抜けたテラスの最奥は、何段か石畳で段差が作られていて、丸く囲われたその小高い中央に、そこだけ自然から逸脱したような灰色のドーム型の建物がそびえ立っていた。
「これは…?」
「天文台だよ」
そう答えられても、変わらずきょとんとしているソウヤを、王子がドーム内部へと誘う。
中は狭く、ふたりで入って丁度良いくらいの広さだった。
ドーム内中央には長い筒状の機械が置かれ、王子が壁のリモコンを操作すると、ドームの天井がスリット状に開き、夜空が望む。
「星を観測出来るんだよ。10歳の誕生日に、父上が造って下さったんだ」
「…"ほし"、を」
「ここから覗いてみて」
イツキ王子は後ろからソウヤの肩に手を置き、筒状の機械――望遠鏡の接眼部へ目を近付けてやる。
王子の背の高さに屈んでレンズを覗き込むと、ソウヤは目を見張った。
「…! 綺麗ですね。この一面一杯に瞬く光が、"ほし"と言うのですか?」
「うん。…ソウヤは、星を知らなかった?」
「はい。空を見上げることは度々ありましたので、存在は知っていましたが…、…」
ソウヤは素直にそう返し、先を続けようとしたが、ふとなにかが思考領域に過り、言い止まる。
…?
…知らないはずなのに…博士から学習してないはずなのに、何か引っかかる…
「ソウヤは結構知らないことがあるんだね、僕より年上なのに」
「! いえ、私はイツキより年下ですよ」
我に返ったソウヤが答えた事実に、王子は狐につままれたような面持ちになる。
「えっ、そうなの?」
「はい。創造主に生を賜ってから、1年経ったばかりです」
「…ええっ!? じゃあ、まだほんの赤ちゃんじゃない!」
「はい」
にこりと微笑むソウヤを見、王子はその頬へ手を伸ばす。
「…そっか…だから、こんなに肌がつるつるですべすべなんだ…!」
「! ひゃ」
頬を指先でふにふにとつつかれ、ソウヤは変な声をあげて赤面し、逃れようと背を反らす。
「わぁ、すごく触り心地が良い。ずっと触っていたくなっちゃう」
「お、お許し下さいっ…、なにやら恥ずかしいです…!」
「? なにも恥ずかしいことなんか無いよ、今はふたりきりなんだから」
「! 確かに…」
対処に困るソウヤだったが、王子にあっけらかんと言い返され、素直に納得する。
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