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本編

第14話_糸手繰るもの-1

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レツ影斗エイトが社殿裏から境内へ戻り、4人で蒼矢ソウヤの行方を探すこととなった。

最後に姿を確認してからまだ数時間しか経っていないが、一昨日蒼矢がくすのき神社から去った後に自宅へ戻ったかどうかはわからず、家族から所在の懸念が噴出するだろう頃合いにもなっていた。

「好きにどっか行っちまったってよりは、俺らから隠れてるんじゃねぇかと思うけどな…」
「狙いがセイバー僕らって可能性も考えると、まだ接触する機会を覗ってるかもしれない。あまり遠くにはいってない気がするね」
「ひとまず公民館だ。…どうにしろ、[侵略者奴ら]とはまた当たらなきゃならねぇだろ」
「了解」

固まって移動した方がいいだろうということで、手分けはせず4人でまとまって葉月ハヅキのミニバンへ乗り込み、線路向こうの目的地へ移動する。
辿り着いたコミュニティセンターは、初戦の時と変わらず人の気配がまばらに感じられる空気感で、静かながら休日のほど良い活気をかもし出していた。

駐車場から建物正面へ回り込んできた一行は、それぞれ方々へ視線をやりながら、敷地内へ足を踏み入れる。

「まだ、何かが起きてるって感じは無いね…」
「全く見当がつかねぇな」
「…こういう時、無意識に蒼兄あおにぃを頼りにしちまってるって痛感するなー。なんでこんなことに…っ…」

途方に暮れる中、ついつい無い物ねだりし始めるアキラがぼやきながら両手を膝につくと、その胸元が淡く光り始めた。

「!!」
「…まじか」

[異界のもの]の気配を感じ取ったなら、それぞれが携帯する起動装置が各々のパーソナルカラーで光るところ、全員の鉱石はひと揃えに青い・・光を放っている。

蒼矢がひとり先に[異界のもの]と接触し、『転異空間』へ入った。

全員の面差しが、緊張を帯びる。

「…行くしかねぇ」

やがて自身のカラーに発光が移行し、全ての転送準備が整った4人は、視線を送り合いながら鉱石を握った。
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