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09 情報多すぎ!
隣りにいたカラウ伯父さんが、「待て待て」と口を挟んできた。
内緒話のつもりが、興奮しすぎて普通に喋っていたようだ。
まずい、俺が異世界から来たってバレたら……。
「嫁さんは、ただの『渡り人』の可能性もあるからなあ」
「は?」
「でも、この村の『渡り人』はもう亡くなってて話も聞けないしねぇ」
「え?」
ちょ、ちょっと待って。
情報多すぎて、処理が追いつかない。
渡り人ってなに?
異世界から来たって、驚かれないの?
なんで、ここの人達、ぐいぐい話進めるんだ。
マイペースなの、天然なの?
どうやら、この世界は、俺みたいに異世界から来る人が珍しくない世界だった。
そして、異世界から来る俺達のことを、『渡り人』と呼んでいるらしい。
異世界の豊富な知識で富をもたらすと、渡り人は、長年、国が保護してきた。
ただ、ここ十数年やたらと渡り人が来るもんで、有り難みも薄れているそうだ。
俺にとったら、今でも信じられない、とんでもない状況なのに。
異世界転移が当たり前なんだな。隠す必要も、心配もいらなかった。
「俺、王都で住まなきゃいけないんですか?」
「ああ、大丈夫よ! 前は王宮の一角に集められて住んでたけど、数年前に制度が変わったんだって。今は届け出をすれば住まいはどこでもいいそうよ」
届け出も、この世界の人と結婚すれば、簡単らしい。
プロフィールの提出と結婚届の「□渡り人」欄にチェックをして、入れ墨みたいな識別バーコードを手首に打ち込むだけに変わったそうだ。
それって。
完全に渡り人考案だよな?
なに、チェック欄とバーコードって。
「村長が調べてくれなかったら、制度が変わっていたなんて俺達も知らなかったもんなぁ」
カラウ伯父さん達は、お母さんから息子の思い人が渡り人らしいと聞いて、調べてくれていたらしい。
お母さんは起き上がれなかったはずだし、どうやって知ったんだろうと思ったら。
「薬を届けに行ってたからな。そういや、いつ行っても嫁さんは食材摘みや水汲みでいなかったなぁ」
たまに、土間に見慣れない食料や調味料があったのは、伯父さんからの差し入れだったのか。
オルが山で取ってきたにしてはおかしいと思ってたんだ。
お礼も言わずに、食べてたよ。
まぁ、お母さんが薬を飲んでたことに安心したけど。
オルもお母さんも言ってよ。
そう思ってオルを見上げると、何故か照れたように微笑まれたと思ったら、ちゅっと額にキスされた。
キス要求したんじゃねーよ。
お母さん、「あらあらまあまあ」じゃない。
内緒話のつもりが、興奮しすぎて普通に喋っていたようだ。
まずい、俺が異世界から来たってバレたら……。
「嫁さんは、ただの『渡り人』の可能性もあるからなあ」
「は?」
「でも、この村の『渡り人』はもう亡くなってて話も聞けないしねぇ」
「え?」
ちょ、ちょっと待って。
情報多すぎて、処理が追いつかない。
渡り人ってなに?
異世界から来たって、驚かれないの?
なんで、ここの人達、ぐいぐい話進めるんだ。
マイペースなの、天然なの?
どうやら、この世界は、俺みたいに異世界から来る人が珍しくない世界だった。
そして、異世界から来る俺達のことを、『渡り人』と呼んでいるらしい。
異世界の豊富な知識で富をもたらすと、渡り人は、長年、国が保護してきた。
ただ、ここ十数年やたらと渡り人が来るもんで、有り難みも薄れているそうだ。
俺にとったら、今でも信じられない、とんでもない状況なのに。
異世界転移が当たり前なんだな。隠す必要も、心配もいらなかった。
「俺、王都で住まなきゃいけないんですか?」
「ああ、大丈夫よ! 前は王宮の一角に集められて住んでたけど、数年前に制度が変わったんだって。今は届け出をすれば住まいはどこでもいいそうよ」
届け出も、この世界の人と結婚すれば、簡単らしい。
プロフィールの提出と結婚届の「□渡り人」欄にチェックをして、入れ墨みたいな識別バーコードを手首に打ち込むだけに変わったそうだ。
それって。
完全に渡り人考案だよな?
なに、チェック欄とバーコードって。
「村長が調べてくれなかったら、制度が変わっていたなんて俺達も知らなかったもんなぁ」
カラウ伯父さん達は、お母さんから息子の思い人が渡り人らしいと聞いて、調べてくれていたらしい。
お母さんは起き上がれなかったはずだし、どうやって知ったんだろうと思ったら。
「薬を届けに行ってたからな。そういや、いつ行っても嫁さんは食材摘みや水汲みでいなかったなぁ」
たまに、土間に見慣れない食料や調味料があったのは、伯父さんからの差し入れだったのか。
オルが山で取ってきたにしてはおかしいと思ってたんだ。
お礼も言わずに、食べてたよ。
まぁ、お母さんが薬を飲んでたことに安心したけど。
オルもお母さんも言ってよ。
そう思ってオルを見上げると、何故か照れたように微笑まれたと思ったら、ちゅっと額にキスされた。
キス要求したんじゃねーよ。
お母さん、「あらあらまあまあ」じゃない。
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