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08 書き取りの勉強
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「最近、ひどい事件が続くね」
イシュレイとヨーランが、お菓子を食べつつお茶を飲んで寛いでいる。
俺とヨーランの雑魚寝部屋で、だ。
「なんで部屋持ちなのにここに来てるの?」
「え? だって、ぽめ太が勉強さぼるっていうから」
はい、そうでした!
今日は俺の世話役、金剛のハザナさんが新しくデビューする期待の新人についてて、書き取りの勉強を見る人がいなかったんだ。
俺は未だにこの世界の文字が読めない、書けない。アラビア語みたいで読み書きできる気配すらないんだ。
不思議なことに、言葉は一晩寝たら聞き取れるようになったのにな。
最初は同室のヨーランに監視を頼んでたのに、ヨーランも俺と同じでサボっちゃう方だったから監視にならなかった。
イシュレイは真面目だから、俺が単語を間違えると100回書き取りさせようとしてくる。鬼か。
「鞭で打てば? 商売道具の体傷つけられたくなかったら真面目にやるだろ」
ヨーランが恐ろしいことを言う。
監視をサボってたお前が言うか。
今だってベッドに転がって、俺の教材用の絵本読んでるだけのくせに。
「なんで? 鞭打ちなんてご褒美じゃない」
キョトンとしたイシュレイに、俺達は引いた。そういや、こいつMだった。
「これ、オーナーが買ってくれた絵本だろ?」
「『よいこの渡り人図鑑』僕も昔、読んだよ。面白いよね、異世界人の文化って」
隠してる正体がバレるかもってハラハラする俺の横で、イシュレイ達は昔話を始め出した。
あれ? 俺、まったく「渡り人かも」って疑われてる要素なし?
確かに、俺は未登録のいわば野良渡り人だから目印もないけど。
「あのさ、渡り人って見たらすぐ分かるもん?」
イシュレイとヨーランが顔を見合わせた。
「ここらじゃ、あんまり渡り人いないしなぁ」
「王都にはたくさんいるらしいけどね」
「そうだ、渡り人って印があるだろ。ここ、手首の内側。それ見たら分かるんじゃないか?」
「お客様ならともかく、そんなとこいちいち見ないよぉ」
俺もつられて笑った。
なるほど、だから、俺も外国人で通せてるのか。
面倒くさがって届けしないと思ってた。オーナーならあり得る。
そんなことより、とヨーランが新聞のトップ記事に話を戻す。
「ハウザー家の怪異事件、解決したんだな。犯人、娘婿だったって」
「あれ? 娘婿も殺されてたんじゃなかった? なんで犯人?」
新聞は知識と教養のために購読させられる。
テレビやラジオ、ネット環境がないから世間のニュースは新聞頼みで、お客様との話題作りには必須アイテムなんだ。
もっとも、俺のお客様はリロイ様しかいないけどね!
「自分が先に殺されたように見せかけて、別荘に集まった親戚を殺したんだって。最期に自殺したらしいぜ」
「うわぁ、なんでそんな面倒くさいことするんだろう」
顔を突き合わせて新聞を覗き込む二人。
あれ? どっかで聞いたような?
なんか、最近のリロイ様の話になかったっけ?
「なぁ? リロイ様って……」
止めよう。
お客様の詮索はしちゃいけない。
唯一の俺の常連さんを失ったら大変だ。
イシュレイとヨーランが、お菓子を食べつつお茶を飲んで寛いでいる。
俺とヨーランの雑魚寝部屋で、だ。
「なんで部屋持ちなのにここに来てるの?」
「え? だって、ぽめ太が勉強さぼるっていうから」
はい、そうでした!
今日は俺の世話役、金剛のハザナさんが新しくデビューする期待の新人についてて、書き取りの勉強を見る人がいなかったんだ。
俺は未だにこの世界の文字が読めない、書けない。アラビア語みたいで読み書きできる気配すらないんだ。
不思議なことに、言葉は一晩寝たら聞き取れるようになったのにな。
最初は同室のヨーランに監視を頼んでたのに、ヨーランも俺と同じでサボっちゃう方だったから監視にならなかった。
イシュレイは真面目だから、俺が単語を間違えると100回書き取りさせようとしてくる。鬼か。
「鞭で打てば? 商売道具の体傷つけられたくなかったら真面目にやるだろ」
ヨーランが恐ろしいことを言う。
監視をサボってたお前が言うか。
今だってベッドに転がって、俺の教材用の絵本読んでるだけのくせに。
「なんで? 鞭打ちなんてご褒美じゃない」
キョトンとしたイシュレイに、俺達は引いた。そういや、こいつMだった。
「これ、オーナーが買ってくれた絵本だろ?」
「『よいこの渡り人図鑑』僕も昔、読んだよ。面白いよね、異世界人の文化って」
隠してる正体がバレるかもってハラハラする俺の横で、イシュレイ達は昔話を始め出した。
あれ? 俺、まったく「渡り人かも」って疑われてる要素なし?
確かに、俺は未登録のいわば野良渡り人だから目印もないけど。
「あのさ、渡り人って見たらすぐ分かるもん?」
イシュレイとヨーランが顔を見合わせた。
「ここらじゃ、あんまり渡り人いないしなぁ」
「王都にはたくさんいるらしいけどね」
「そうだ、渡り人って印があるだろ。ここ、手首の内側。それ見たら分かるんじゃないか?」
「お客様ならともかく、そんなとこいちいち見ないよぉ」
俺もつられて笑った。
なるほど、だから、俺も外国人で通せてるのか。
面倒くさがって届けしないと思ってた。オーナーならあり得る。
そんなことより、とヨーランが新聞のトップ記事に話を戻す。
「ハウザー家の怪異事件、解決したんだな。犯人、娘婿だったって」
「あれ? 娘婿も殺されてたんじゃなかった? なんで犯人?」
新聞は知識と教養のために購読させられる。
テレビやラジオ、ネット環境がないから世間のニュースは新聞頼みで、お客様との話題作りには必須アイテムなんだ。
もっとも、俺のお客様はリロイ様しかいないけどね!
「自分が先に殺されたように見せかけて、別荘に集まった親戚を殺したんだって。最期に自殺したらしいぜ」
「うわぁ、なんでそんな面倒くさいことするんだろう」
顔を突き合わせて新聞を覗き込む二人。
あれ? どっかで聞いたような?
なんか、最近のリロイ様の話になかったっけ?
「なぁ? リロイ様って……」
止めよう。
お客様の詮索はしちゃいけない。
唯一の俺の常連さんを失ったら大変だ。
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