王道学園のモブ

四季織

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第8話 山菜取りって案外楽しい

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 今日は先輩の部活が休みだから、早起きして二人で山に入った。
 立入禁止だから、こっそりと。

 先輩一人なら、崖とか危ないところへも行くらしいけど、大会もあるから止めてってお願いした。
 
 考えたら、山菜取りって渋い趣味だよね。
 だけど、先輩が教えてくれて一緒にするのは、なかなかに楽しかったんだ。

 寮の食堂のおばちゃんにお願いして、灰汁抜きやら、料理やらしてもらう。
 剣道部みんなと、おばちゃん達の分を除いても、二人で食べる分はたくさんあった。

 炊き込みご飯と煮物と天ぷらと。
 先輩は、秋に松茸でも探すかって言ってた。楽しみだ。


「そういえば、内緒じゃなかったんですか?」
「賄賂渡したからいいんだよ。賄賂、おばさん達も食べただろ」

 そうですね、って俺は笑った。


 その夜。
 先輩は連日の疲れがたたったのか、机で寝てしまった。
 質問しようと思って、顔を上げたら、横で目を閉じていたんだ。

 そうっと。
 先輩の顔を見る。

 睫毛がすごく長い。
 切れ長の目で、しゅっとした顔に、鼻筋も高くって。
 いるんだなぁ、こんな人。
 非の打ち所がないって、出来すぎだよ。

 あ、ゲームだから、出来すぎで当たり前か。
 

 そうっと、眉毛を触ってみた。
 先輩がピクッて動いて……。

「うわっ」

 抑え込まれてしまった。


 抑え込んだ当人が、ビックリした顔で俺を見下ろしているから。

「すいませんっ、俺、眉毛触っちゃって! 先輩ビックリしますよね!」

 剣道に抑え込みはないけど、危機的状況には体が反応するんだよ。
 俺の邪念とか。いや、邪念てなんだ!


「先輩?」

 反応がない。
 どころか、じっと見られて、俺も動けなくなってきた。


 どうしよう、すごくドキドキする。
 顔が熱い。

 先輩の顔がゆっくり近づいて来て、俺の唇に触れた。
 俺は、先輩のシャツをぎゅうっと握りしめていた。

 先輩は、俺にチュッて触れるキスをしたあと、少し顔を上げて、また俺を見ていた。
 俺を組み敷いたままだ。

 先輩の腕をきゅっと掴む。
 なんか、切ないんだ。唇が。
 一瞬で離れちゃうと、寂しいんだ。


「せんぱ……」

 今度はぬるっと舌が入ってきた。
 俺の口内に深く差し込まれ、俺の舌と歯列をなぞる。
 角度を変えて、また舐められて。

 俺は鼻から、ふぅん、ぅんと息を出す以外できなくて。
 でも、腰のあたりがジンジン痺れたようだった。

 少ししたら、先輩が離れて、たどたどしく絡めてた俺の舌が先輩を追った。
 くすっと、先輩が笑う。

 俺の前髪を手で梳いて、ちゅっちゅっと、額や目元にキスをした。
 気づかなかったけど、目が潤んでたみたいだ。


「可愛い」

 呟く先輩は、色っぽい。


「なんか、先輩、慣れてませんか」

 もやもやする。
 先輩が、「もう他とはしないから」と苦笑したんだけど。

 え? ど、どういう意味ですか?


 なんか、すごく。

「先輩、機嫌良さそう?」
「うん。すっごくいいよ」

 先輩はもう一度、俺の目元にちゅっと音を立てるキスをしてから、俺の体を起こした。


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