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内部構造
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高知県の足摺岬からヘリコプターに乗った源人と執事たちは、ひたすら太平洋沖を目指す。
しばらく進んでいくと、海上から突き出す巨大な竹の柱が見えてきた。その柱の周辺に長さ数キロにも及ぶ黒光りする竹の葉が浮かんでおり、そこにヘリポートのマークが描かれている。
「どうやら、あそこに着陸できるようだな」
熟練したパイロットは、竹の葉部分に着地する。
すると、満面の笑みを浮かべた勇人に迎えられた。
「お爺さん。いらっしゃい」
「勇人、これはいったい……」
困惑する源人の手をひっぱり、中に招き入れた。
「いかかですか?これがデーモン星人たちの文明を参考に作った、人間が快適に過ごせる人工都市です」
勇人は誇らしそうに自慢する。竹の内部は、いくつもの節が積み重なってきている多重構造になっていた。
巨大な竹の先端部分の中心には、中央に開いた巨大な穴に向けて『モーゼ』が下向きに設置されている。
「さあ、行きましょう」
勇人は中央の穴にむかって足を進める。
「お、おい。危ないぞ。穴に落ちるぞ……えっ?」
源人たちは驚愕する。穴に向かって足を踏み入れた勇人は、何事もなく空中に浮かんでいた。
「あはは。びっくりしましたか?この『モーゼ』が引力を制御しているので、安全ですよ。お爺さんも来てください」
それを聞いて、源人たちも恐る恐る足を踏み入れる。柔らかな感触が身体をささえ、ふわふわと宙に浮いていた。
「この『モーゼ』は人間の脳内電波を読み取り、引力と斥力を操作します。この穴は内部を貫く空中通路になってますので、上下に自由に移動できます」
勇人が『下降』と念じると、一行の身体はゆっくりとユグドラシルの中を降りていく。節のそれぞれの階層は、半径2キロにも及ぶ巨大な空間を作っていた。
「これは……すごいな」
内部は葉から取り入れられた柔かい太陽光で満たされ、人間にとって快適な20℃前後の気温が保たれている。また青竹の清々しい匂いにつつまれ、まるで木製の巨大なログハウス内にいるような気分だった。
「竹には60もの節があり、その中は空洞になっています。それを居住空間に転用すれば、60階建てのビルになりますね。一階の広さは約10平方キロになります。壁面を除いた内部の床面積の合計は600平方キロで、東京都の広さとほぼ同じになります」
「60階建ての竹製のビルで東京並みの広さじゃと?」
源人と護衛の執事たちは、あまりにスケールの大きな話でついていけないという顔になる。
中は広々とした空間が広がっており、一階一階がまるで一つの世界のような解放感に満ちた状態だった。
「内部は普通の竹なのじゃな」
源人は、壁を触ってその感触を確かめる・
「金属なのは外側だけです。内部は快適にすごせるように、設計段階でいろいろ工夫をしています」
勇人が壁の一部に穴をあけて筒を差し込むと、そこから勢いよく水が溢れた。
「これは?」
「植物には水や養分が通る『道管』というものがあり、根や表面から吸い上げた水を茎や葉に届けています。それを水道として利用できるのです」
勇人は湧き出た水をコップにいれて、差し出す。その水はひんやりと冷えていて、飲んだ源人は「うまい」と漏らした。
「ここは海中なのに、真水だ」
「海水に含まれる塩分やそのほかの不純物は、すべてユグドラシルの細胞フィルターで濾してあります。そして人間から出た排泄物を養分として取り入れることもできます」
勇人は説明しながら、内部を降りていく。
中層階には、蔓に絡みつかれた巨大な玉が設置されているエリアがあった。
「ここは?」
「『ユグドラシル』の心臓部です。常温水素融合発電炉『ゼウス』から生み出されたエネルギーを、生体電気として内部に供給しています』
壁に設置されている窪みに持ってきた電球をさすと、煌々と輝きだした。
「『ゼウス』はユグドラシルが取り入れた水を自動で電気分解して水素をとりだし、水素融合の燃料とします。つまり、外部から燃料を供給されなくても無限にエネルギーを生み出せるのです」
「なんというか……すごいな」
源人たちはすべて海中で自給自足できる環境をもつ未来型都市に、ただそんな感想を漏らすことしかできなかった。
勇人たちはユグドラシルの中をどんどん降りていく。一番底まで到着すると、今度は巨大な地下茎が横に向かって伸びていた。
「ここはもう海底地中ですね。だいたい深さ300メートルくらいです」
海底に広がる地下茎の壁を切ると、氷のような白い塊が無尽蔵に埋まっていた。
「これは、まさか?」
「そう。メタンハイドレードです。別名「燃える氷」と呼ばれていて、次世代のエネルギー源として注目されています」
メタンハイドレートとはその名の通り、天然ガスの主成分でエネルギー資源である「メタンガス」が水分子と結びつくことでできた、氷状の物質である。燃やした場合に排出されるCO2は、石炭や石油を燃やすよりも約30%ほど少ない。こうしたことから、石炭や石油に代わる次世代エネルギー資源として期待されている。
しかし、その埋蔵地は海底のさらに地中深くにあるため採掘が難しく、今まで商業化はされていない。
「メタンハイドレードからでるメタンガスからはLNG(液化天然ガス)を作ることができます。従来はそうやって液体の状態で特別なタンカーで運ぶしかなかったのですが、メタンハイドレードを採掘し、引力で圧縮して結晶の形にすれば固体で運搬できるので、今までよりさらに低コストで運ぶことができるでしょう」
「なるほど。通常のLNGは専用タンカーでしか運搬できないので、片道運送航行になるが、個体の状態で運ぶなら通常のタンカーを利用できるので、往復で物を運ぶことができるのじゃな」
大商社の社長らしく、源人は勇人の考えていることをすぐに理解した。
「そういうわけです。今現在、世界は戦争の影響でLNGが急速に不足しています。これを機会に、一気に日本をエネルギー輸出国にすることもできるでしょう」
勇人はそういって笑うのだった。
視察を終えた源人は、海上のヘリコプターの発着所に戻ったときにつぶやく。
「うむむ……このユグドラシルは確かに素晴らしい。だが、これだけのオーバーテクノロジーを惜しげもくつぎ込んでしまうと、各国から脅威に思われて、最悪攻められてしまうかもしれん」
防衛面を心配する源人の懸念に、勇人は笑って答える。
「もちろん。そのことも対策しております。最後にとっておきを見せましょう」
勇人はユグドラシルに手を触れる。すると竹の葉の先端からとがった結晶でできた砲が無数に飛び出し、空や海中に向けられた。
「ご覧ください。『雷神剣』を参考にしてその能力をユグドラシルに取り入れた外敵防御機構、通称『シヴァ』です。よし、目標は上空の入道雲だ。発射!」
「うわっ。まぶしい!」
源人たちは思わず目をつぶる
結晶体から無数のレーザーが放たれ、周囲を切り裂く。あたりは一瞬で白い光に満たされた。
おそるおそる目を開けた源人は、空を見上げて驚愕する。目標にされた巨大な入道雲は、レーザーにさらされて完全に消滅していた。
「『シヴァ』から放たれるレーザー砲は光速です。たとえ核兵器に攻撃されても、一秒未満で迎撃できるでしょう」
勇人はそういって、自慢そうに胸をそらすのだった。
しばらく進んでいくと、海上から突き出す巨大な竹の柱が見えてきた。その柱の周辺に長さ数キロにも及ぶ黒光りする竹の葉が浮かんでおり、そこにヘリポートのマークが描かれている。
「どうやら、あそこに着陸できるようだな」
熟練したパイロットは、竹の葉部分に着地する。
すると、満面の笑みを浮かべた勇人に迎えられた。
「お爺さん。いらっしゃい」
「勇人、これはいったい……」
困惑する源人の手をひっぱり、中に招き入れた。
「いかかですか?これがデーモン星人たちの文明を参考に作った、人間が快適に過ごせる人工都市です」
勇人は誇らしそうに自慢する。竹の内部は、いくつもの節が積み重なってきている多重構造になっていた。
巨大な竹の先端部分の中心には、中央に開いた巨大な穴に向けて『モーゼ』が下向きに設置されている。
「さあ、行きましょう」
勇人は中央の穴にむかって足を進める。
「お、おい。危ないぞ。穴に落ちるぞ……えっ?」
源人たちは驚愕する。穴に向かって足を踏み入れた勇人は、何事もなく空中に浮かんでいた。
「あはは。びっくりしましたか?この『モーゼ』が引力を制御しているので、安全ですよ。お爺さんも来てください」
それを聞いて、源人たちも恐る恐る足を踏み入れる。柔らかな感触が身体をささえ、ふわふわと宙に浮いていた。
「この『モーゼ』は人間の脳内電波を読み取り、引力と斥力を操作します。この穴は内部を貫く空中通路になってますので、上下に自由に移動できます」
勇人が『下降』と念じると、一行の身体はゆっくりとユグドラシルの中を降りていく。節のそれぞれの階層は、半径2キロにも及ぶ巨大な空間を作っていた。
「これは……すごいな」
内部は葉から取り入れられた柔かい太陽光で満たされ、人間にとって快適な20℃前後の気温が保たれている。また青竹の清々しい匂いにつつまれ、まるで木製の巨大なログハウス内にいるような気分だった。
「竹には60もの節があり、その中は空洞になっています。それを居住空間に転用すれば、60階建てのビルになりますね。一階の広さは約10平方キロになります。壁面を除いた内部の床面積の合計は600平方キロで、東京都の広さとほぼ同じになります」
「60階建ての竹製のビルで東京並みの広さじゃと?」
源人と護衛の執事たちは、あまりにスケールの大きな話でついていけないという顔になる。
中は広々とした空間が広がっており、一階一階がまるで一つの世界のような解放感に満ちた状態だった。
「内部は普通の竹なのじゃな」
源人は、壁を触ってその感触を確かめる・
「金属なのは外側だけです。内部は快適にすごせるように、設計段階でいろいろ工夫をしています」
勇人が壁の一部に穴をあけて筒を差し込むと、そこから勢いよく水が溢れた。
「これは?」
「植物には水や養分が通る『道管』というものがあり、根や表面から吸い上げた水を茎や葉に届けています。それを水道として利用できるのです」
勇人は湧き出た水をコップにいれて、差し出す。その水はひんやりと冷えていて、飲んだ源人は「うまい」と漏らした。
「ここは海中なのに、真水だ」
「海水に含まれる塩分やそのほかの不純物は、すべてユグドラシルの細胞フィルターで濾してあります。そして人間から出た排泄物を養分として取り入れることもできます」
勇人は説明しながら、内部を降りていく。
中層階には、蔓に絡みつかれた巨大な玉が設置されているエリアがあった。
「ここは?」
「『ユグドラシル』の心臓部です。常温水素融合発電炉『ゼウス』から生み出されたエネルギーを、生体電気として内部に供給しています』
壁に設置されている窪みに持ってきた電球をさすと、煌々と輝きだした。
「『ゼウス』はユグドラシルが取り入れた水を自動で電気分解して水素をとりだし、水素融合の燃料とします。つまり、外部から燃料を供給されなくても無限にエネルギーを生み出せるのです」
「なんというか……すごいな」
源人たちはすべて海中で自給自足できる環境をもつ未来型都市に、ただそんな感想を漏らすことしかできなかった。
勇人たちはユグドラシルの中をどんどん降りていく。一番底まで到着すると、今度は巨大な地下茎が横に向かって伸びていた。
「ここはもう海底地中ですね。だいたい深さ300メートルくらいです」
海底に広がる地下茎の壁を切ると、氷のような白い塊が無尽蔵に埋まっていた。
「これは、まさか?」
「そう。メタンハイドレードです。別名「燃える氷」と呼ばれていて、次世代のエネルギー源として注目されています」
メタンハイドレートとはその名の通り、天然ガスの主成分でエネルギー資源である「メタンガス」が水分子と結びつくことでできた、氷状の物質である。燃やした場合に排出されるCO2は、石炭や石油を燃やすよりも約30%ほど少ない。こうしたことから、石炭や石油に代わる次世代エネルギー資源として期待されている。
しかし、その埋蔵地は海底のさらに地中深くにあるため採掘が難しく、今まで商業化はされていない。
「メタンハイドレードからでるメタンガスからはLNG(液化天然ガス)を作ることができます。従来はそうやって液体の状態で特別なタンカーで運ぶしかなかったのですが、メタンハイドレードを採掘し、引力で圧縮して結晶の形にすれば固体で運搬できるので、今までよりさらに低コストで運ぶことができるでしょう」
「なるほど。通常のLNGは専用タンカーでしか運搬できないので、片道運送航行になるが、個体の状態で運ぶなら通常のタンカーを利用できるので、往復で物を運ぶことができるのじゃな」
大商社の社長らしく、源人は勇人の考えていることをすぐに理解した。
「そういうわけです。今現在、世界は戦争の影響でLNGが急速に不足しています。これを機会に、一気に日本をエネルギー輸出国にすることもできるでしょう」
勇人はそういって笑うのだった。
視察を終えた源人は、海上のヘリコプターの発着所に戻ったときにつぶやく。
「うむむ……このユグドラシルは確かに素晴らしい。だが、これだけのオーバーテクノロジーを惜しげもくつぎ込んでしまうと、各国から脅威に思われて、最悪攻められてしまうかもしれん」
防衛面を心配する源人の懸念に、勇人は笑って答える。
「もちろん。そのことも対策しております。最後にとっておきを見せましょう」
勇人はユグドラシルに手を触れる。すると竹の葉の先端からとがった結晶でできた砲が無数に飛び出し、空や海中に向けられた。
「ご覧ください。『雷神剣』を参考にしてその能力をユグドラシルに取り入れた外敵防御機構、通称『シヴァ』です。よし、目標は上空の入道雲だ。発射!」
「うわっ。まぶしい!」
源人たちは思わず目をつぶる
結晶体から無数のレーザーが放たれ、周囲を切り裂く。あたりは一瞬で白い光に満たされた。
おそるおそる目を開けた源人は、空を見上げて驚愕する。目標にされた巨大な入道雲は、レーザーにさらされて完全に消滅していた。
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