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政府との交渉
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一か月後
「息子である史郎の南方勇人君への殺人未遂で逮捕された件の責任を取って、私こと入光俊道は社長を退くことになりました」
記者会見では、疲れた顔の俊道がそう発表していた。
「入光社長、入光興産は小宇宙石油の傘下に入るという噂があるのですが、その真偽は?」
記者から質問が入り、俊道は顔を引きつらせる。
「残念ですが、私の口からは申し上げられません。それでは、これで記者会見を終わらせていただきます」
俊道はそういって、こそこそと会場を出ていく。それをテレビでみていた源人と勇人は、満足の笑みを漏らした。
「これで明治から続いた入光家も、没落でしょうね」
「ああ。創業家である入光家の持ち株をすべて譲渡させた。あとは頃合を見て、小宇宙石油に入光興産を吸収゜合併させればいい。そうすれば、日本のガソリンスタンドの八割を我々が支配できるだろう」
それは、日本のエネルギー業界を南方家が支配するということだった。
「それでは、次のプランを……」
「待て。あまり急ぎ過ぎるな。まずは今の課題を解決してからじゃ」
はやる勇人を、源人はやんわりと押しとどめる。
「課題ですか?」
「うむ。お前がいったとおり、四国沖のメタンハイトレードに加えて東青ヶ島近辺の海底熱帯鉱床に含まれる金資源と、東シナ海の第七鉱区の海底石油資源の掘削が始まったのだが、人手が不足しているのじゃ。黙里を通じて鉱山夫を呼びかけているが、『土人類(ドワーフ)』たちだけではとても足りない」
あまりにも急速に事業が拡大されたため、現場で働く労働者の手配ができず、難航している状態だった。
「……すみません。そのことを考えていませんでした」
「よい。これから学んでいけばよい。若者の思い至らない所をフォローするのも老人の役目じゃ」
源人はそういって勇人を慰める。
金掘削にしろ石油掘削にしろ、労働者にはとんでもない負荷が課せられる。人材をすぐに集めようとしても無理だった。
しばらく考えた後、勇人はある解決法を思いつく。
「必要な労働者を確保するいいことを思いつきました。お爺さんは、そのために日本政府と交渉してください」
勇人はあることを源人に頼み込むのだった。
現在、政権を司っている民主自由党政権に、財界の大物から面会の依頼があった。
「現在飛ぶ鳥を落とす勢いの南方財閥の総帥、南方源人氏か。今度はいったいどんなことを要求されるのやら」
現総理大臣の阿部岸雄は、警戒しながらも源人を招き入れる。
「これは南方さん。ようこそいらっしゃいました」
「いやいや、突然の訪問にもかかわらず、お時間を取っていただいてありがとうございます」
源人は軽く頭を下げると、応接室のソファに座った。
しばらく、軽い雑談をする。
「南方財閥の資源開発のおかげで、日本国の世界に及ぼす影響力も強くなりました。心から感謝いたします」
「なんの、ワシは孫の事業を手助けしているだけでしてな。あの発想力と実行力は、わが孫ながら素晴らしい」
源人は爺馬鹿丸出しで孫をほめる。
「お孫さんの勇人君ですな。南方商社の常務に就任されたとか。高校生なのに前例がない大抜擢ですな」
「まだまだ至らない所はありますが、そこはワシが補ってやればよい。十年も経験を積めば、立派な経営者になれるでしょう」
阿部首相は多少の皮肉を込めて言ったのだが、源人は平然とそう返した。
(……ふむ。どうやらその勇人とやらを相当気に入っているようだな。実際の能力はともかく、南方財閥を継ぐことは確定しているわけだ。ならば、わが党も彼といい関係を築いていくべきだな……)
源人との会話から、南方財閥の今後の方針を読み取る首相だった。
「今後開かれる財政界の合同パーティに、ぜひ勇人君をお連れ下さい」
「喜んで参加させましょう。豊畑自動車の令嬢との婚約は破棄されてしまったので、わが孫にふさわしい相手も見つけてやらないといけないですからな」
勇人に現在婚約者がいないことを匂わせる。首相は頭の中で日本の上流階級の子女リストを思い浮かべていた。
「さて、本題に入りましょう。実はその勇人からある提案がだされました」
資源開発のための人材確保と、国の負担の両方を軽減するプランを聞いて、首相の眉根が狭まった。
「……よろしいのですか?確かにその経費は人員増加と高齢化に伴い年々負担が増すばかりなので、日本国にとってはありがたい話ですが」
「勇人には考えがあるのでしょう。海の中なら逃げられないので、警備の負担も大幅に減ります。また、民間事業に従事することで技術を身に着けられ、わずかとはいえ報酬と自由も手に入ります。彼らにとっても再出発のきっかけになるでしょう」
源人の言葉に、首相は考え込む。
「わかりました。海外では前例があることですし、日本に導入することも不可能ではないでしょう。根回しをして新しい法案を通しましょう」
こうして、勇人の提案が国会で審議され、新しい制度が出来上がるのだった。
「息子である史郎の南方勇人君への殺人未遂で逮捕された件の責任を取って、私こと入光俊道は社長を退くことになりました」
記者会見では、疲れた顔の俊道がそう発表していた。
「入光社長、入光興産は小宇宙石油の傘下に入るという噂があるのですが、その真偽は?」
記者から質問が入り、俊道は顔を引きつらせる。
「残念ですが、私の口からは申し上げられません。それでは、これで記者会見を終わらせていただきます」
俊道はそういって、こそこそと会場を出ていく。それをテレビでみていた源人と勇人は、満足の笑みを漏らした。
「これで明治から続いた入光家も、没落でしょうね」
「ああ。創業家である入光家の持ち株をすべて譲渡させた。あとは頃合を見て、小宇宙石油に入光興産を吸収゜合併させればいい。そうすれば、日本のガソリンスタンドの八割を我々が支配できるだろう」
それは、日本のエネルギー業界を南方家が支配するということだった。
「それでは、次のプランを……」
「待て。あまり急ぎ過ぎるな。まずは今の課題を解決してからじゃ」
はやる勇人を、源人はやんわりと押しとどめる。
「課題ですか?」
「うむ。お前がいったとおり、四国沖のメタンハイトレードに加えて東青ヶ島近辺の海底熱帯鉱床に含まれる金資源と、東シナ海の第七鉱区の海底石油資源の掘削が始まったのだが、人手が不足しているのじゃ。黙里を通じて鉱山夫を呼びかけているが、『土人類(ドワーフ)』たちだけではとても足りない」
あまりにも急速に事業が拡大されたため、現場で働く労働者の手配ができず、難航している状態だった。
「……すみません。そのことを考えていませんでした」
「よい。これから学んでいけばよい。若者の思い至らない所をフォローするのも老人の役目じゃ」
源人はそういって勇人を慰める。
金掘削にしろ石油掘削にしろ、労働者にはとんでもない負荷が課せられる。人材をすぐに集めようとしても無理だった。
しばらく考えた後、勇人はある解決法を思いつく。
「必要な労働者を確保するいいことを思いつきました。お爺さんは、そのために日本政府と交渉してください」
勇人はあることを源人に頼み込むのだった。
現在、政権を司っている民主自由党政権に、財界の大物から面会の依頼があった。
「現在飛ぶ鳥を落とす勢いの南方財閥の総帥、南方源人氏か。今度はいったいどんなことを要求されるのやら」
現総理大臣の阿部岸雄は、警戒しながらも源人を招き入れる。
「これは南方さん。ようこそいらっしゃいました」
「いやいや、突然の訪問にもかかわらず、お時間を取っていただいてありがとうございます」
源人は軽く頭を下げると、応接室のソファに座った。
しばらく、軽い雑談をする。
「南方財閥の資源開発のおかげで、日本国の世界に及ぼす影響力も強くなりました。心から感謝いたします」
「なんの、ワシは孫の事業を手助けしているだけでしてな。あの発想力と実行力は、わが孫ながら素晴らしい」
源人は爺馬鹿丸出しで孫をほめる。
「お孫さんの勇人君ですな。南方商社の常務に就任されたとか。高校生なのに前例がない大抜擢ですな」
「まだまだ至らない所はありますが、そこはワシが補ってやればよい。十年も経験を積めば、立派な経営者になれるでしょう」
阿部首相は多少の皮肉を込めて言ったのだが、源人は平然とそう返した。
(……ふむ。どうやらその勇人とやらを相当気に入っているようだな。実際の能力はともかく、南方財閥を継ぐことは確定しているわけだ。ならば、わが党も彼といい関係を築いていくべきだな……)
源人との会話から、南方財閥の今後の方針を読み取る首相だった。
「今後開かれる財政界の合同パーティに、ぜひ勇人君をお連れ下さい」
「喜んで参加させましょう。豊畑自動車の令嬢との婚約は破棄されてしまったので、わが孫にふさわしい相手も見つけてやらないといけないですからな」
勇人に現在婚約者がいないことを匂わせる。首相は頭の中で日本の上流階級の子女リストを思い浮かべていた。
「さて、本題に入りましょう。実はその勇人からある提案がだされました」
資源開発のための人材確保と、国の負担の両方を軽減するプランを聞いて、首相の眉根が狭まった。
「……よろしいのですか?確かにその経費は人員増加と高齢化に伴い年々負担が増すばかりなので、日本国にとってはありがたい話ですが」
「勇人には考えがあるのでしょう。海の中なら逃げられないので、警備の負担も大幅に減ります。また、民間事業に従事することで技術を身に着けられ、わずかとはいえ報酬と自由も手に入ります。彼らにとっても再出発のきっかけになるでしょう」
源人の言葉に、首相は考え込む。
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