エイリアンチートで新人類に進化した俺は、異星文明で現代地球を開拓して南朝復活をめざします

大沢 雅紀

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アルカード再訪

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南方家の屋敷
後醍醐から戻った勇人は、意外な人物の訪問を受けていた。
「あんたを見損なったぜ。俺たち亜人類を救ってくれる『救世主』だと思っていたのによ」
屋敷を訪れた『血人類(バンパイヤ)』の男装美少女、アルカードは、そういって責めてきた。
「……どういうこと?勇人はちゃんと私たちを救ってくれている」
「いいがかりだにゃ」
「勇人さんを侮辱するなら、私たちが相手ですよ」
『女人類(ウイッチ)』の玲、『獣人族(ジャガー)』の美亜、『森人類(エルフ)』の姫子から睨まれても、アルカードは引き下がらなかった。
「けっ。これを見てみろ」
アルカードが持ってきた新聞には、南方真理亜改めマリアンヌが世界統合教会の聖女認定を受け、日本支部長の地位に就任したという記事が載っていた。
「南方真理亜って、あんたの妹なんだろ!」
「ああ。そうだよ。へえ。あいつも意外と頑張っていたんだな。ともかく、出世したならいいことじゃないか」
能天気にそんなことをいう勇人に、アルカードはさらに怒りを募らせた。
「やっばりアンタは貧しい人々を救うふりをして、裏で世界統合教会と通じていたんだな。この外道が!」
「どういうことだ?」
首をかしげる勇人に、玲が説明した。
「……勇人。世界統合教会は、私たちを迫害してきた亜人類ハンターの元締め」
「あっ。確かにそんなこと言っていたな」
玲の指摘で、そのことを思い出す。
「あいつらタチが悪いにゃ。先祖の罪とか第二次世界大戦で日本人が背負った業とか言い立てて、罪のない一般人を洗脳して大金を寄付させているにゃ」
「世界統合教会は、大韓朝国が日本国から資金を吸い上げる活動もしています。そうやって霊感商法で日本人から巻き上げたお布施を、大韓朝国の本部に送金しているのです」
美亜と姫子の話を聞いて、勇人の顔も怒りに染まった。
「なんだそりゃ。聞けば聞くほど存在自体が害悪な組織じゃないか。誤解だよ。あいつを聖トーマス学園に預けたのは、性根を叩き直すためで、世界統合教会とつながりがあるなんて知らなかったんだよ」
勇人はあわててアルカードに対して弁解した。
「いいや。信じられねえ。血を一滴よこせ。嘘をいってないかどうか、確かめてやる」
そう言われて、勇人は素直に腕を差し出す。嚙みついて血をすったアルカードは、勇人の言葉に嘘の電気信号が含まれていないことを確認した。
「……すまねえ。誤解だったみたいだな」
「それはいいけど、なんでアルカードが怒ったんだ?お前はあいつらに何か関係あるのか?」
そう言われて、アルカードは自分のことを話し始めた。
「昔から、俺たち『血人類』や『夢人類』などの亜人類は、ある裏の組織と戦い続けていた」
アルカードの言葉に、姫子たちもうなずく。
「しかし、そのうちに奴らのやり方が変わってきたんた。世界統合教会という宗教を傘下に作り、亜人類たちを殺すよりも、子供を捕まえて亜人類ハンターに育てて対抗させようとな。そのせいで、俺の両親である『血人類(パンパイヤ)』のドラクルと『夢人類(ドリーマー)』のナイトメアも、捕らえられて洗脳教育を受けたんだ」
アルカードの顔が悲痛に染まった。
「両種族のリーダーの子であった両親は、洗脳された結果、世界統合教会の教義に傾倒するようになった。その後、亜人類ハンターとしての実績をあげ、いまじゃ教会のトップに祭り上げられている。俺はその二人の子として生まれ、大切に育てられた」
「まてよ。だったら、どうしてお前は教団に反抗しているんだ?」
勇人の疑問に、アルカードは淡々と答えた。
「なおも反抗をつづける亜人類たちが、俺をそこから救い出してくれたんだ。いつか反抗の旗印になる『救世主』になることを期待してな」
そういって、アルカードは悔しそうな顔になった。
「でも、俺には『救世主』になれるほどの力はなかった。それでも自分にできることはないかと考えた結果、怪盗義賊をして金持ちのお金を盗んで、教会に苦しめられている貧しい同胞たちを助けていたんだ」
「だったら早く言ってくれればよかったのに。俺でよければお前に協力するぞ」
そういって手を差し伸べる勇人に、アルカードは期待と警戒のこもった目を向けた。
「……だったら、しばらくお前の側で監視させてもらうぜ。本当に俺たちを救ってくれる『救世主』なのか、確かめさせてもらおう」
こうして、アルカードは強引に勇人つきの執事として働きはじめるのだった。

勇人はアルカードの要請を受け、各海設都市の海中部分に『血人類(バンパイヤ)』たちの専用エリアを提供する。世界中から迫害された『血人類(バンパイヤ)』たちが集まってきて、街が作られていった。
「それにしても、なんか暗いな。ユグドラシルから供給されるこのエリアの太陽光は、本当にこの光度でいいのか?」
「ああ、俺たちは目が弱くて、昼の太陽の光はまぶしすぎるんだ。これくらいの方がすごしやすいぜ」
太陽の光がほとんど差さない薄暗い街を歩きながら、アルカードは快適そうにそう答えた。
「しかし、あんたは本当に『救世主』だったんだな。見直したぜ。俺たちの体質による弱点が、こうも簡単に克服されるとはな」
アルカードはそういって、自販機のモニターに手を差し当てて、『レッドスライムスムージー』と書かれている缶ジュースを買う。その中には、真っ赤な血のような液体が入っていた。
「おい。外で血なんか飲むなよ。みっともないぞ」
「いいじゃん。皆だってジュース飲んでるじゃん」
「そうだけど、なんかホラーチックなんだよ」
勇人はアルカードの口元から垂れている血を、拭ってやる。彼女は大人しく、されるがままになっていた。
彼女が飲んでいるのは『スライムの血』である。
『血人類(バンパイヤ)』は骨髄の血を製造する能力が劣化しているので、定期的に人間の血を補給しないと生命を保てない。中世の昔は人間を襲っていたが、近年になると献血を保管している血液銀行から血を購入していた。
しかし、それにはやはり大金がかかる。『血人類(バンパイヤ)』に貧乏な者が多いのは、それが原因だった。
この問題を解決するために、勇人は海設都市のスライム牧場で血液の養殖を試してみた。
スライムに人間の血を与えて繁殖させてみた結果、緑色から赤色に変わり、その体液も人間の血の成分とほとんど同じになる。
新たに生まれたスライムの亜種『レッドスライム』は、『血人類(バンパイヤ)』にとって福音となった。
レッドスライムの血を採取し、『血人類(バンパイヤ)』用の栄養ドリンクとして売り出された結果、今では缶ジュースとして売られているほど侵透していた。
その結果、『血人類(バンパイヤ)』たちはここを新たな故郷と定め、世界中から大勢の者が移住して街が作られていた。
『血人類(バンパイヤ)』たちは血などの液体に対する味覚が敏感なので、海設都市では主に酒造りの仕事をしている。彼らが作った街『終わらない夜(エンドレスナイト)』では、世界中の酒が製造され、24時間営業の飲み屋街が形成されていた。
ここで流通しているのはアジア通貨と『血』である。金がない者でも、血を提供すれば好きなだけ飲むことができる。
「金が無いって?しかたねえなぁ」
怖そうな酒場の主人が、調子にのって高い酒をがぶ飲みした受刑者に迫っていた。
「な、なんだ。何をする気だ。暴力はこの都市ではご法度だぞ」
開き直る受刑者の前に、コトリと注射針がおかれる。
「安心しろ。正常な取引履行の強制はこの都市でも認められている。とりあえず、『血』をおいていってもらおうか。いまの相場なら、だいたい400mlくらいだな」
「ひいっ」
金が無い者が高い酒を飲むと、足りない金の代わりに血を求められ、悲鳴をあげるといった光景があちこちで見られていた。
「この先に俺を育ててくれた爺が、新しく店を開いたんだ。寄っていこうぜ」
「俺たち未成年……」
「いいからいいから」
楽しそうなアルカードによって、勇人は一軒の酒場にひっぱりこまれる。
そこでは、各種族の大勢の客でにぎわっていた
「おっ。姫、とうとう彼氏ができたんですかい」
店に入るなり、酒場の主人にそうからかわれる。
「ば、ばか、そんなんじゃ……」
「違うぞ。俺はただの雇用主だぞ」
真っ赤になって照れるアルカードとは対照的に、勇人は冷静に返すが、なぜか後頭部を叩かれてしまった。
「いたっ。何すんだよ」
「……ふんっ。爺、スライムの血がたっぷり入った真っ赤なワインを頼むぜ」
「姫は未成年だから、トマトジュースで我慢してください」
不満そうに席にすわったアルカードに、主人は苦笑しながらジュースを持ってきた。
その時、一人の老人が入ってきて、酒場に歓声が響き渡る
「おお、ゲンさん。来たのか。まあ一杯やろうぜ」
「きゃー。ゲンちゃん。素敵」
入ってきた老人は、『血人類』のホステスに囲まれながら、席についた。
「お爺さん?」
「おお、勇人か。未成年がこんな所にきてはダメじゃぞ。ここは大人の社交場じゃ。お前にはまだ早い」
入ってきた老人-源人は、ニヤッと笑いながら主人に告げる。
「マスター。ここのみんなにおごってくれ」
それを聞いた客から、再び歓声があがった。
「勇人、その娘は新しい嫁か?なかなか美しいの」
源人は、勇人と一緒にいるアルカードを見て、そうからかってくる。
「ち、ちが……」
「ふむ。この子にはジャズが似合いそうじゃの。どれ、一曲引いてやろうかの」
源人は男装をしているアルカードの美しさに目を細めると、主人に楽器を持ってくるようにたのむ。
「かしこまりました」
主人は、店の奥から真鍮製のサックスを持ってきたた。
「お爺さん、音楽もできるんですか?」
「こう見えて、若い頃はそこそこ鳴らしたものじゃよ」
源人はニヤッと笑うと、見事なジャズを演奏した。他にもルパン三世のテーマやピンクパンサーなどの名曲が響き渡り、店内の女来客から歓声が上がる。
「あれ、お前の爺ちゃんか?かっこいいな」
「そうだろう。ある意味、爺さんって俺よりチートだよな」
アルカードに褒められ、勇人は苦笑する。財閥の総帥で舩坂流銃剣術の達人、おまけに楽器まで吹きこなす渋い大人である源人は、勇人のあこがれの対象だった。
「いい機会だ。お前たちにも教えてやろう」
勇人とアルカードはサックスの吹き方を教えてもらい、一晩中演奏で盛り上がる。
この日のことは、尊敬する祖父との最後の思い出として、後年勇人は何度も懐かしく思い返すことになるのだった。
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