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勇人の逮捕
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阿部首相と源人の暗殺報道は、日本中に衝撃を与えた。
もちろん、報道でそのことをしった勇人たちも、これ以上ないくらい動揺している。
「……お爺が死んだ」
「そ。そんなの嘘だにゃ」
「そ、そうですよ。あのお爺さんに限ってそんなことはありません」
信じたくない玲、美亜、姫子の三人。もちろん勇人も同じ気持ちだった。
「と、とにかく、すぐに奈良県に向かおう」
そう思って玄関に向かおうとしたとき、扉が乱暴に開かれて刑事たちが入ってきた。
「南方勇人。阿部首相と南方源人への殺人教唆の罪で、逮捕する」
まるで事前に用意していたかのように素早い動きで令状を取り出すと、あまりにも意外なことを言われて呆然としている勇人の両手に手錠をかける。
「俺が爺さんを殺すように命令したって!ふざけるな。そんなことするわけないだろう」
我に返った勇人が猛抗議するも、刑事たちは取り合わなかった。
「すでに実行犯である堂満達夫、林田直子から証言が取れた。阿部首相と南方源人の殺害を指示したのは、南方勇人、お前だとな。おとなしくしろ。話は取調室でじっくり聞いてやる」
刑事はそういうと、勇人を連れて行こうとした。
「……いいがかりもはなはだしい」
「そうにゃ。なんで勇人がお爺ちゃんを殺す必要があるにゃ」
「勇人さんはお爺さんの後継者ですよ」
三人娘が抗議の声をあげるが、刑事は嫌な笑みを浮かべた。
「はっ。どうせ金目当てだろう。南方源人が死ねば、莫大な遺産が手に入る。よくある話だ」
「貴様!くっ」
勇人は抵抗しようとするが、腕に着けられた手錠のせいで体内の電力が集まらない。
「その手錠はある協力団体が提供した『封電の手錠』だ。貴様の持つおかしな力も使えまい」
そう言って、勇人の胸のネックレスを引きちぎる。結ばれていた玉が床にちらばり、『雷神剣』と『土神盾』が出てきた。
「これらも重要参考物として、押収する!」
刑事は『三種の神宝』と勇人をつれて、屋敷から退出していく。
こうして、勇人は日本政府に捕らえられたのだった。
警視庁警備局 公安庁の特別取調室。
そこでは、過酷な尋問が連日のように行われていた。
「いい加減に認めたらどうだ。屋敷を解雇されて恨みをもっていた堂満達夫と林田直子両名に、南方源人の殺害を依頼したのだ。その証拠として、お前の名義で多額の金が振り込まれたと両名の口座に記録が残っている」
恫喝役の強面の刑事が、達夫と直子名義の通帳を片手に勇人を攻め立てている。その記録には、確かに多額の金の振り込み人に「南方勇人」と書かれていた。
「はっ。そんなのATMで現金を振り込む時に俺の名前を入力すれば、いくらでも捏造できるだろうが。そんな誰でもできることが証拠になるかよ。そもそも暗殺依頼する奴が本名語ってどうするんだ」
勇人の鋭い突っ込みに、刑事の顔が憤怒に染まる。
「このガキが!」
警棒で滅茶苦茶に殴られて、勇人は床に倒れこんだ。
「ま。まあまあ。彼はまだ未成年なんだ。お手柔らかにね」
説得役の少し優し気な顔をした刑事が、勇人を助け起こして告げた、
「どうかな。ここは素直に罪を認めて、反省の意をしめしたら?キミはまだ未成年だ。いまなら少年院で済むぞ」
「はっ。少年院ってことは、『後醍醐』に戻してくれるのか。それはいいな。あそこは俺の本拠地だ」
それを聞いて、優男の刑事の顔もしぶくなる。
二人が攻めあぐねていると、連絡が入った。
「聖女様とおつきの方がいらしいています」
「おお、そうか。ここにお通ししてくれ」
やけに低姿勢な二人の刑事が招き入れたのは、修道女の恰好をした真理亜
「おひさぶりね。お・に・い・さ・ま」
真理亜は勇人の傷ついた姿をみるなり、楽しそうに嗤う。
「お前、真理亜か?いや、以前と脳波が違う。お前は誰だ」
「ふふふっ。今は世界統合教会の聖女『マリアンヌ』よ。よろしくね」
一瞬だけ真理亜の表情が変わり、知らない妖艶な美女の顔になった。
「貴様、真理亜の身体に取り付いているのか。出ていけ!」
そういって手錠のまま飛び掛かろうとするが、取り調べ室に新たに入ってきた従者に蹴り飛ばされてしまった。
「ぐはっ」
「近寄るな。下賤の者め」
マリアンヌを騎士のように守ったのは、精神崩壊していたはずの桐人だった。
「くくくっ。言いざまだぜ。以前の情けない姿より、さらに無様だ」
桐人は床に倒れた勇人を見て、哄笑する。
「はははっ。てめえはせいぜいここであがいていろ。その間に、俺は日本政府の後押しで南方財閥を継ぐことになっている」
「なんだって!」
桐人の言葉に、この冤罪の裏側には日本政府自体がかかわっていることを知って、驚愕した。
「てめえはやりすぎたのさ。南朝を復活させて日本を征服しようなんて大それたこと、日本政府が許すわけねえだろうが」
「そ、それは誤解だ。俺は新たな南朝の国を建てようと思っていただけで、日本を征服しようだなんて」
「うるせえ!」
弁解しようとした勇人を、桐人は蹴って黙らせた。
「覚悟しておくことね。お・に・い・さ・ま。あんたはここから出られない。阿部首相の国葬が終われば、私たちの仲間が首相になって、国家反逆罪で死刑になるのよ」
マリアンヌは真理亜の顔と声で満足そうに笑うと、桐人を引き連れて出ていった。
(くそっ。日本政府自体がこの陰謀の黒幕なのか。これは身の潔白を晴らすのは無理だな。所詮、国家権力が黒といえば、白いものも黒になるわけだし。よし、決めたぞ。日本に見切りをつけよう)
三種の神宝が奪われ、『封電の手錠』をつけられてもまだ勇人は闘志を失わず、これを機会として日本から独立しようと決心するのだった。
もちろん、報道でそのことをしった勇人たちも、これ以上ないくらい動揺している。
「……お爺が死んだ」
「そ。そんなの嘘だにゃ」
「そ、そうですよ。あのお爺さんに限ってそんなことはありません」
信じたくない玲、美亜、姫子の三人。もちろん勇人も同じ気持ちだった。
「と、とにかく、すぐに奈良県に向かおう」
そう思って玄関に向かおうとしたとき、扉が乱暴に開かれて刑事たちが入ってきた。
「南方勇人。阿部首相と南方源人への殺人教唆の罪で、逮捕する」
まるで事前に用意していたかのように素早い動きで令状を取り出すと、あまりにも意外なことを言われて呆然としている勇人の両手に手錠をかける。
「俺が爺さんを殺すように命令したって!ふざけるな。そんなことするわけないだろう」
我に返った勇人が猛抗議するも、刑事たちは取り合わなかった。
「すでに実行犯である堂満達夫、林田直子から証言が取れた。阿部首相と南方源人の殺害を指示したのは、南方勇人、お前だとな。おとなしくしろ。話は取調室でじっくり聞いてやる」
刑事はそういうと、勇人を連れて行こうとした。
「……いいがかりもはなはだしい」
「そうにゃ。なんで勇人がお爺ちゃんを殺す必要があるにゃ」
「勇人さんはお爺さんの後継者ですよ」
三人娘が抗議の声をあげるが、刑事は嫌な笑みを浮かべた。
「はっ。どうせ金目当てだろう。南方源人が死ねば、莫大な遺産が手に入る。よくある話だ」
「貴様!くっ」
勇人は抵抗しようとするが、腕に着けられた手錠のせいで体内の電力が集まらない。
「その手錠はある協力団体が提供した『封電の手錠』だ。貴様の持つおかしな力も使えまい」
そう言って、勇人の胸のネックレスを引きちぎる。結ばれていた玉が床にちらばり、『雷神剣』と『土神盾』が出てきた。
「これらも重要参考物として、押収する!」
刑事は『三種の神宝』と勇人をつれて、屋敷から退出していく。
こうして、勇人は日本政府に捕らえられたのだった。
警視庁警備局 公安庁の特別取調室。
そこでは、過酷な尋問が連日のように行われていた。
「いい加減に認めたらどうだ。屋敷を解雇されて恨みをもっていた堂満達夫と林田直子両名に、南方源人の殺害を依頼したのだ。その証拠として、お前の名義で多額の金が振り込まれたと両名の口座に記録が残っている」
恫喝役の強面の刑事が、達夫と直子名義の通帳を片手に勇人を攻め立てている。その記録には、確かに多額の金の振り込み人に「南方勇人」と書かれていた。
「はっ。そんなのATMで現金を振り込む時に俺の名前を入力すれば、いくらでも捏造できるだろうが。そんな誰でもできることが証拠になるかよ。そもそも暗殺依頼する奴が本名語ってどうするんだ」
勇人の鋭い突っ込みに、刑事の顔が憤怒に染まる。
「このガキが!」
警棒で滅茶苦茶に殴られて、勇人は床に倒れこんだ。
「ま。まあまあ。彼はまだ未成年なんだ。お手柔らかにね」
説得役の少し優し気な顔をした刑事が、勇人を助け起こして告げた、
「どうかな。ここは素直に罪を認めて、反省の意をしめしたら?キミはまだ未成年だ。いまなら少年院で済むぞ」
「はっ。少年院ってことは、『後醍醐』に戻してくれるのか。それはいいな。あそこは俺の本拠地だ」
それを聞いて、優男の刑事の顔もしぶくなる。
二人が攻めあぐねていると、連絡が入った。
「聖女様とおつきの方がいらしいています」
「おお、そうか。ここにお通ししてくれ」
やけに低姿勢な二人の刑事が招き入れたのは、修道女の恰好をした真理亜
「おひさぶりね。お・に・い・さ・ま」
真理亜は勇人の傷ついた姿をみるなり、楽しそうに嗤う。
「お前、真理亜か?いや、以前と脳波が違う。お前は誰だ」
「ふふふっ。今は世界統合教会の聖女『マリアンヌ』よ。よろしくね」
一瞬だけ真理亜の表情が変わり、知らない妖艶な美女の顔になった。
「貴様、真理亜の身体に取り付いているのか。出ていけ!」
そういって手錠のまま飛び掛かろうとするが、取り調べ室に新たに入ってきた従者に蹴り飛ばされてしまった。
「ぐはっ」
「近寄るな。下賤の者め」
マリアンヌを騎士のように守ったのは、精神崩壊していたはずの桐人だった。
「くくくっ。言いざまだぜ。以前の情けない姿より、さらに無様だ」
桐人は床に倒れた勇人を見て、哄笑する。
「はははっ。てめえはせいぜいここであがいていろ。その間に、俺は日本政府の後押しで南方財閥を継ぐことになっている」
「なんだって!」
桐人の言葉に、この冤罪の裏側には日本政府自体がかかわっていることを知って、驚愕した。
「てめえはやりすぎたのさ。南朝を復活させて日本を征服しようなんて大それたこと、日本政府が許すわけねえだろうが」
「そ、それは誤解だ。俺は新たな南朝の国を建てようと思っていただけで、日本を征服しようだなんて」
「うるせえ!」
弁解しようとした勇人を、桐人は蹴って黙らせた。
「覚悟しておくことね。お・に・い・さ・ま。あんたはここから出られない。阿部首相の国葬が終われば、私たちの仲間が首相になって、国家反逆罪で死刑になるのよ」
マリアンヌは真理亜の顔と声で満足そうに笑うと、桐人を引き連れて出ていった。
(くそっ。日本政府自体がこの陰謀の黒幕なのか。これは身の潔白を晴らすのは無理だな。所詮、国家権力が黒といえば、白いものも黒になるわけだし。よし、決めたぞ。日本に見切りをつけよう)
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