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千儀鞍馬
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「まずは偵察だな。戦争を仕掛けるには相手の情報を分析しなければならない。千儀鞍馬三尉を呼べ」
土屋は異世界管理局所属のある隊員を呼び出すのだった。
「お呼びでしょうか」
やってきたのは、眼鏡をかけた貧相な容姿の太郎と同年代の男だった。
「千儀三尉、そういえばお前はテロリスト山田太郎の同級生だったな。奴の事を知っているだろう」
「はい」
無表情だった千儀の顔が、ピクリと反応した。
「奴は異世界帰りの異能で、好き放題暴れまわっている。だから我々に命令が下った。奴を始末しろと。お前の能力で奴の本拠地である島に入り込んで、情報を集めてこい」
「……任務、確かに承りました」
千儀の顔に、暗い笑みが浮かぶ。
(太郎の奴め……異世界帰りがお前だけだと思うなよ。ここにも異世界の能力を持ち帰った者はいるんだぜ)
そう思いながら、千儀はヘリコプターに乗ってシャングリラ島に赴くのだった。
護衛の茨木曹長と共にシャングリラ島を囲む艦艇に降り立った千儀は、隊員たちに命令を下す。
「ボートを出せ。ふがいないお前たちに代わって、俺が直接島に乗り込んでやる」
命令された幹部たちは、いきなりやってきた貧相な男の横柄な態度に腹を立てた。
「なんだ貴様は。階級をみればたかだか三尉ではないか。おまけにどこ所属とも知れぬ者に、我々が命令される筋合いは……え?」
怒鳴りつけようとした幹部たちは、隣にいたたくましい男が示した命令書に言葉を失う。それは防衛庁長官直筆のもので、すべての権限を千儀三尉に委任するというものだった。
「わかったか。お前たちは今から全員俺の部下だ。わかったらさっさと働け」
「……ご命令に従います」
慌てて屈強な隊員が集められ、シャングリラ島まで千儀を連れていく。島の近くまで来たところで、不可視の力で張り巡らされたバリアーに阻まれた。
「ここから先は、テロリストが張った斥力バリアーのせいで、押し返されてしまいます」
「……わかっている」
千儀は立ち上がると、何やら口の中で呪文を唱える。するとみるみる体が平べったくなっていき、一枚の黒い影のようになっていった。
「奴が張った「斥力バリア―」は光を通す。ならば光がもたらす影も通り抜けられるだろう」
そういうと、黒い蛇のように海面を這っていく。太郎が張った斥力バリアーをなんなくすり抜けた。
「あ、あいつも化け物だ……人間じゃない」
ボートに乗っていた隊員たちは、千儀に対しても恐れと嫌悪の視線を向ける。
その傍らで、千儀を護衛していたたくましい男、茨木曹長は携帯で誰かに連絡していた。
「はい……それで、ただいまの時刻をもって潜入は行われました」
千儀の情報は、彼に従う鬼族から逐一太郎に伝えられるのだった。
平べったい黒い影となった千儀は、海面を進んでいく。やがて、きれいな砂に覆われたビーチが見えてきた。
(ちょうどいい。あそこから上陸しよう)
そう思って近づくと、複数の男女の嬌声が聞こえてきた。
(なんだこの楽しそうな声は)
いぶかしげに思いながら顔をあげると、虎柄ビキニの少女たちと虎柄パンツのたくましい男たちが砂浜で遊んでいる。彼らの頭には角が生えていた。
(うげ……陽キャたちかよ。俺がこんな苦労しているのに、のんきに遊びやがって)
心の中で怒りを感じながら、彼らを避けるように上陸して岩陰に隠れる。実は千儀は「黒髪、眼鏡、覇気のない表情、子どものような体型に暗い顔」といった、いわゆる「チー牛」という陰キャ属性を持つ者で、こういった明るい雰囲気は苦手だった。
腹立たしい想いを抱きながら観察していると、その中に一人だけ服を着た角がない男が混じっているのに気づく。彼はスマホで誰かと話していた。
「わかった。情報ありがとう。気を付ける」
スマホを切った後、男はため息をついた。
「俺ももっと人手が欲しいな。さすがに俺たちだけで日本を征服するなんて手間だ。鬼族のように俺に従うだけの奴隷じゃなく、俺と同じ思想を持って、自ら戦える仲間になれるような者たちが。だけど、俺の孤独、鬱屈を理解できるような人材が、今の日本にいるだろうか」
すでに太郎では勇者として異世界で何万という魔物や魔族を殺していた。なんの戦いもせずに平凡に生きている日本人とは、意識に隔たりがありすぎて、仲間になることは難しい。
「どこかに、俺と同じで現代社会では受け入れられないような奴がいればいいんだけど」
難しい顔をしてぶつぶつつぶやいている男の目が、いきなり後ろからふさがれた。
「だーれだっちゃ」
「……ん?えっと、ラムネか?」
「ざーんねん。美香でーす」
その男の目をふさいでいるのは、水色のワンピースを着ている長い髪の美女だった。
「ほらほら。太郎さんも脱いで。一緒に遊びましょうよ」
「お、俺は視察の途中で……ば、ばか。やめろ」
虎柄ビキニの女たちが寄って来て、その男の服をはぎ取る。あっという間に裸に剥かれて、パンツ一丁で担ぎ上げられてしまった。
「それーっ」
「わっ」
あっという間に、男は海に投げ入れられてしまう。
「あはははっ」
「俺は王様なんだか……まったく、マナの実を食べているせいで、力だけは強くなりやがって。仕方ないな」
その男は苦笑すると、仲間に入っていく。しばらく水遊びを楽しんだ後、浜辺で行われたバーベキューに参加した。
「太郎さん。あーん」
「お、おい」
顔を真っ赤にして照れる男に、美女は笑顔を向ける。
「ふふっ。可愛い反応。私は側妃なんだから、遠慮なんてしてたらめっ!ですよ」
「……いつ側妃になったんだ?」
首をかしげながらも、差し出された刺身を食べる男だった。それを見ていた千儀は、猛烈に嫉妬した。
(くそっ。太郎の奴、あんな清楚な美女といちゃいちゃしやがって)
歯ぎしりしながら見ていると、今度は虎柄ビキニの少女たちが寄ってきた。
「美香さんだけ、ずるい!あたいも!」
「これ、うちが釣ったの。食べて!」
「おいどんもですたい!」
自分を慕う鬼たちに取り囲まれ、モテモテの太郎だった。
「それじゃ、俺は他の視察があるからもう行くぞ。釣った魚はちゃんと冷凍倉庫にいれておけよ」
「はーい」
美香と鬼たちは手を振って太郎を見送る。岩の側を通った時、何かが動き、太郎の影に入り込んだ。
「ん?何か動いたかな?」
太郎は首を何かを感じたのか、あたりを見渡すが何もいない。
「気のせいだったか」
一つ首をかしげ、太郎はそのまま歩いていく。その影の中で、千儀はほくそ笑んでいた
「空間魔法『影潜み』」
太郎の影と自らを同化させた千儀は、労せずそのあとをつけていく。
彼が向かったのは、緑がかった半透明の変な樹が生えている果樹園だった。
「文乃。マナの実の成熟状況はどうだ?」
「バッチリだよ。食べて見て!」
ボーイッシュな美少女がやってきて、親し気に果実を差し出す。それをかじった太郎は、笑顔を浮かべた。
「美味いな。よく面倒をみているな。偉いぞ」
「でしょう。みんなで頑張ったんだよ」
褒められた文乃は照れ笑いを浮かべる。一緒に作業していた鬼たちも、うれしそうな顔になった。
「最近じゃ、鬼我原からの注文も増えてきて、収穫の手がたりないんだよ。タローにぃも手伝って!」
「お、おい」
文乃にひっぱりこまれて、太郎も収穫の手伝いをする。マナの実は大量に実り、瞬く間に大きな駕籠いっぱいになった。
他にも、半透明の樹にはいろいろな果実や野菜が成っている。
(な、なんだここは……イチゴや小麦、キャベツまで樹に成っている。こんな植物があるんじゃ、いくら島を封鎖して兵糧攻めにしても無意味だぞ)
太郎の影に潜んで偵察していた千儀は、見たこともなんい果樹園を見て戦慄するのだった。
土屋は異世界管理局所属のある隊員を呼び出すのだった。
「お呼びでしょうか」
やってきたのは、眼鏡をかけた貧相な容姿の太郎と同年代の男だった。
「千儀三尉、そういえばお前はテロリスト山田太郎の同級生だったな。奴の事を知っているだろう」
「はい」
無表情だった千儀の顔が、ピクリと反応した。
「奴は異世界帰りの異能で、好き放題暴れまわっている。だから我々に命令が下った。奴を始末しろと。お前の能力で奴の本拠地である島に入り込んで、情報を集めてこい」
「……任務、確かに承りました」
千儀の顔に、暗い笑みが浮かぶ。
(太郎の奴め……異世界帰りがお前だけだと思うなよ。ここにも異世界の能力を持ち帰った者はいるんだぜ)
そう思いながら、千儀はヘリコプターに乗ってシャングリラ島に赴くのだった。
護衛の茨木曹長と共にシャングリラ島を囲む艦艇に降り立った千儀は、隊員たちに命令を下す。
「ボートを出せ。ふがいないお前たちに代わって、俺が直接島に乗り込んでやる」
命令された幹部たちは、いきなりやってきた貧相な男の横柄な態度に腹を立てた。
「なんだ貴様は。階級をみればたかだか三尉ではないか。おまけにどこ所属とも知れぬ者に、我々が命令される筋合いは……え?」
怒鳴りつけようとした幹部たちは、隣にいたたくましい男が示した命令書に言葉を失う。それは防衛庁長官直筆のもので、すべての権限を千儀三尉に委任するというものだった。
「わかったか。お前たちは今から全員俺の部下だ。わかったらさっさと働け」
「……ご命令に従います」
慌てて屈強な隊員が集められ、シャングリラ島まで千儀を連れていく。島の近くまで来たところで、不可視の力で張り巡らされたバリアーに阻まれた。
「ここから先は、テロリストが張った斥力バリアーのせいで、押し返されてしまいます」
「……わかっている」
千儀は立ち上がると、何やら口の中で呪文を唱える。するとみるみる体が平べったくなっていき、一枚の黒い影のようになっていった。
「奴が張った「斥力バリア―」は光を通す。ならば光がもたらす影も通り抜けられるだろう」
そういうと、黒い蛇のように海面を這っていく。太郎が張った斥力バリアーをなんなくすり抜けた。
「あ、あいつも化け物だ……人間じゃない」
ボートに乗っていた隊員たちは、千儀に対しても恐れと嫌悪の視線を向ける。
その傍らで、千儀を護衛していたたくましい男、茨木曹長は携帯で誰かに連絡していた。
「はい……それで、ただいまの時刻をもって潜入は行われました」
千儀の情報は、彼に従う鬼族から逐一太郎に伝えられるのだった。
平べったい黒い影となった千儀は、海面を進んでいく。やがて、きれいな砂に覆われたビーチが見えてきた。
(ちょうどいい。あそこから上陸しよう)
そう思って近づくと、複数の男女の嬌声が聞こえてきた。
(なんだこの楽しそうな声は)
いぶかしげに思いながら顔をあげると、虎柄ビキニの少女たちと虎柄パンツのたくましい男たちが砂浜で遊んでいる。彼らの頭には角が生えていた。
(うげ……陽キャたちかよ。俺がこんな苦労しているのに、のんきに遊びやがって)
心の中で怒りを感じながら、彼らを避けるように上陸して岩陰に隠れる。実は千儀は「黒髪、眼鏡、覇気のない表情、子どものような体型に暗い顔」といった、いわゆる「チー牛」という陰キャ属性を持つ者で、こういった明るい雰囲気は苦手だった。
腹立たしい想いを抱きながら観察していると、その中に一人だけ服を着た角がない男が混じっているのに気づく。彼はスマホで誰かと話していた。
「わかった。情報ありがとう。気を付ける」
スマホを切った後、男はため息をついた。
「俺ももっと人手が欲しいな。さすがに俺たちだけで日本を征服するなんて手間だ。鬼族のように俺に従うだけの奴隷じゃなく、俺と同じ思想を持って、自ら戦える仲間になれるような者たちが。だけど、俺の孤独、鬱屈を理解できるような人材が、今の日本にいるだろうか」
すでに太郎では勇者として異世界で何万という魔物や魔族を殺していた。なんの戦いもせずに平凡に生きている日本人とは、意識に隔たりがありすぎて、仲間になることは難しい。
「どこかに、俺と同じで現代社会では受け入れられないような奴がいればいいんだけど」
難しい顔をしてぶつぶつつぶやいている男の目が、いきなり後ろからふさがれた。
「だーれだっちゃ」
「……ん?えっと、ラムネか?」
「ざーんねん。美香でーす」
その男の目をふさいでいるのは、水色のワンピースを着ている長い髪の美女だった。
「ほらほら。太郎さんも脱いで。一緒に遊びましょうよ」
「お、俺は視察の途中で……ば、ばか。やめろ」
虎柄ビキニの女たちが寄って来て、その男の服をはぎ取る。あっという間に裸に剥かれて、パンツ一丁で担ぎ上げられてしまった。
「それーっ」
「わっ」
あっという間に、男は海に投げ入れられてしまう。
「あはははっ」
「俺は王様なんだか……まったく、マナの実を食べているせいで、力だけは強くなりやがって。仕方ないな」
その男は苦笑すると、仲間に入っていく。しばらく水遊びを楽しんだ後、浜辺で行われたバーベキューに参加した。
「太郎さん。あーん」
「お、おい」
顔を真っ赤にして照れる男に、美女は笑顔を向ける。
「ふふっ。可愛い反応。私は側妃なんだから、遠慮なんてしてたらめっ!ですよ」
「……いつ側妃になったんだ?」
首をかしげながらも、差し出された刺身を食べる男だった。それを見ていた千儀は、猛烈に嫉妬した。
(くそっ。太郎の奴、あんな清楚な美女といちゃいちゃしやがって)
歯ぎしりしながら見ていると、今度は虎柄ビキニの少女たちが寄ってきた。
「美香さんだけ、ずるい!あたいも!」
「これ、うちが釣ったの。食べて!」
「おいどんもですたい!」
自分を慕う鬼たちに取り囲まれ、モテモテの太郎だった。
「それじゃ、俺は他の視察があるからもう行くぞ。釣った魚はちゃんと冷凍倉庫にいれておけよ」
「はーい」
美香と鬼たちは手を振って太郎を見送る。岩の側を通った時、何かが動き、太郎の影に入り込んだ。
「ん?何か動いたかな?」
太郎は首を何かを感じたのか、あたりを見渡すが何もいない。
「気のせいだったか」
一つ首をかしげ、太郎はそのまま歩いていく。その影の中で、千儀はほくそ笑んでいた
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太郎の影と自らを同化させた千儀は、労せずそのあとをつけていく。
彼が向かったのは、緑がかった半透明の変な樹が生えている果樹園だった。
「文乃。マナの実の成熟状況はどうだ?」
「バッチリだよ。食べて見て!」
ボーイッシュな美少女がやってきて、親し気に果実を差し出す。それをかじった太郎は、笑顔を浮かべた。
「美味いな。よく面倒をみているな。偉いぞ」
「でしょう。みんなで頑張ったんだよ」
褒められた文乃は照れ笑いを浮かべる。一緒に作業していた鬼たちも、うれしそうな顔になった。
「最近じゃ、鬼我原からの注文も増えてきて、収穫の手がたりないんだよ。タローにぃも手伝って!」
「お、おい」
文乃にひっぱりこまれて、太郎も収穫の手伝いをする。マナの実は大量に実り、瞬く間に大きな駕籠いっぱいになった。
他にも、半透明の樹にはいろいろな果実や野菜が成っている。
(な、なんだここは……イチゴや小麦、キャベツまで樹に成っている。こんな植物があるんじゃ、いくら島を封鎖して兵糧攻めにしても無意味だぞ)
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