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06 モブでいいし、モブがいい
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モーリアはあれよあれよと流されて、王城で偉い人たちと話をすることになり、王都の大聖堂で奇跡の鑑定を受け――まごうことなく銀等級だった――て、アルサングの婚約者になった。
元から共にいる姿をよく見られていたこともあり、学生たちはふたりの婚約を当然のことだと受け入れ、悪評を覚悟していたモーリアは拍子抜けした。
「そりゃあ家格の差はあるけど、僕は所詮養子だからね。長い両片思いの末に僕のアピールが君にようやく通じたと、友人たちに盛大に祝われたよ」
「こちらも……その、私がずっとお慕いしていたって周囲に思われてたみたいで……。私ってそんなにあからさまだったんです……?」
「うん、わかりやすかった。君って、表情を隠すの下手だからね。僕を見つけた時の君の様子、詳しく知りたい?」
「う、うう……遠慮します……」
貴族の必須項目ともいえるポーカーフェイスだが、どうやらモーリアは不得意な側らしかった。
顔中に熱を集めながら、モーリアは両手で顔を覆う。穴があったら入りたいほどに恥ずかしい。
「可愛いんだよ。図書館だとね、真剣な顔をしていたのにふっと表情を緩めるんだ。それに、よく僕を見ながら手を止めているときが――」
「遠慮しますって、言いましたー!」
ふたりぶんのランチセットを広げたいつぞやの四阿で、並んで座りじゃれ合う関係になっていた。
なお、風に暖かさを感じる季節になったが、モーリアとアルサングがよくここに居るので他の学生は気を遣って近づいてこない……らしい。実に恥ずかしいと、モーリアは思う。
モーリアは、あの尋問からアルサングともっと深く関わるようになり、彼がゲームの「アルサング」とは大きく違う存在であると実感する。
義家族とは変わらず距離があるのだが、ゲームシナリオのものより温かい関係ではあるようだ。
王家とは程良い距離で交流を続けていて、他国の実母とも手紙のやり取りをしている。
「僕は裏切らないよ。今の僕にはモーリアがいるしね」
「そうですね。私が絶望させませんよ、世界のためにも」
「そこは僕のためにって言ってほしいな」
「……世界のためです」
自分だけの愛を求め続け、その末に壊れた「アルサング」はどこにもいない。
あとは、世界の危機がなんとかなれば文句なしのハッピーエンドだ――もちろん、それが一番難しいのだが。
モーリアは少し拗ねた様子を見せるアルサングの口に、サンドイッチを押しこんだ。
※
――それから数年後、世界中が大きく揺れた。
さらにしばらくが経った頃、病気療養中だった第一王子と公爵令嬢が、前触れもなく王国の社交界に姿を現した。
彼らの病気療養は表向きの理由で、実際は皇帝と共に帝都での革命運動の鎮圧にあたっていた。その功績により、帝国内においての王国の地位が向上したと発表される。
同時に第一王子が立太子され、公爵令嬢との婚約も発表。突然の吉報に、王国は大きく湧いた。
そんな騒動に先駆けて、モーリアは彼らと挨拶する機会に恵まれていた。アルサングと共に茶会の席が設けられ、帝国での話を聞いた。
帝都に紛れ込んだ第一王子とライバル令嬢である公爵令嬢は、死神帝と協力してそれぞれの立場から神殿を監視。動きがあれば都度対処し、必要があれば泳がせ、魔の者の影響力を抑えることに尽力し続けた。
状況は膠着したまま年月が過ぎ、やがて密命を帯びたヒロインも合流することになったのだが、どういう理由か彼女も前の記憶を持ち越していたのだという。
再会を涙で喜びあった彼らは、事態の解決に向けて結束を固くした。
前で誘拐されたヒロインの記憶から、今までノーマークだった人物が浮上する。
念の為に、その人物の監視を続けていれば、ひとつの暗殺計画が炙り出された。対象は、とある公国の幼い姫である。
計画はある程度泳がされた後に潰され、姫は現在も健やかに成長している。
帝国の下位貴族が複数絡んでいた計画だったため、大公妃が荒れてワイン相場も荒れた。あれは結局、皇帝が少し口を出して沈静化したのだった。今となっては懐かしい思い出である。
なお、暗殺計画を潰した後に判明した事実なのだが――公国の姫はなんと、もう一人の金の「太陽」の持ち主だった。
そこからの展開は、怒涛のようだったという。
ふたりぶんの金の「太陽」は強く願った。その願いは共鳴し、大空を揺るがした。
そして、その衝撃は深い眠りについていた創造神を呼び起こす。
目覚めた創造神と魔の者は相対し――――敗れた「魔」はこことは違う次元に封印された……らしい。
――それは、見事なまでのデウス・エクス・マキナであった。
話を聞いたモーリアは、もはやおぼろげなゲームの記憶を呼び起こす。
ゲームのハッピーエンドでは、「魔の者」はヒロインらによって倒されたものの、消滅したりはしていなかったはずだ。
皇帝は戦いの最中で死に、帝国という組織は壊滅。だが、荒れた国々がそれぞれ再起する――という、未来に希望を見出すエンディングである。
帝国は健在、王国は地位を上げ、世界の破滅は無事に回避した。
人間社会である以上、小さな争いはそこら中にあるが……おおむね平和だ。
学園を卒業したモーリアは、外交官の妻として帝都へ派遣されることになった。
腹芸ができぬ人間に外交官の妻が務まるのかと、アルサングに泣き言をぶつけたこともある。その時は「全員が全員腹黒だと息苦しいから、君はそのままでいてほしい」と慰められた。
実際、彼から求められたのは情報サポートだったので、モーリアの不得意項目はあまりバレていない。……いまのところは。
そんな風に、魔の者が消えた世界は、モーリアが知らないことで満ちている。
結婚時に国王から「息子を頼む」と頭を下げられてモーリアが失神しかけたり、駆けつけたアルサングの母に泣かれたり。
王太子になった第一王子と、ゲームのライバル令嬢だった公爵令嬢の仲睦まじさに感激したり。ゲームのヒロインが、非攻略対象なはずの第一王子の侍従と恋に落ちたり。
その他の金の奇跡持ちの攻略対象たちも、華々しく活躍している。
アルサングは血筋も金等級の奇跡も隠したまま、ただのひとりの人間として笑っている。
だからモーリアもモブとしてモブなりに、アルサングと共にこの世界で生きていくことにした。
元から共にいる姿をよく見られていたこともあり、学生たちはふたりの婚約を当然のことだと受け入れ、悪評を覚悟していたモーリアは拍子抜けした。
「そりゃあ家格の差はあるけど、僕は所詮養子だからね。長い両片思いの末に僕のアピールが君にようやく通じたと、友人たちに盛大に祝われたよ」
「こちらも……その、私がずっとお慕いしていたって周囲に思われてたみたいで……。私ってそんなにあからさまだったんです……?」
「うん、わかりやすかった。君って、表情を隠すの下手だからね。僕を見つけた時の君の様子、詳しく知りたい?」
「う、うう……遠慮します……」
貴族の必須項目ともいえるポーカーフェイスだが、どうやらモーリアは不得意な側らしかった。
顔中に熱を集めながら、モーリアは両手で顔を覆う。穴があったら入りたいほどに恥ずかしい。
「可愛いんだよ。図書館だとね、真剣な顔をしていたのにふっと表情を緩めるんだ。それに、よく僕を見ながら手を止めているときが――」
「遠慮しますって、言いましたー!」
ふたりぶんのランチセットを広げたいつぞやの四阿で、並んで座りじゃれ合う関係になっていた。
なお、風に暖かさを感じる季節になったが、モーリアとアルサングがよくここに居るので他の学生は気を遣って近づいてこない……らしい。実に恥ずかしいと、モーリアは思う。
モーリアは、あの尋問からアルサングともっと深く関わるようになり、彼がゲームの「アルサング」とは大きく違う存在であると実感する。
義家族とは変わらず距離があるのだが、ゲームシナリオのものより温かい関係ではあるようだ。
王家とは程良い距離で交流を続けていて、他国の実母とも手紙のやり取りをしている。
「僕は裏切らないよ。今の僕にはモーリアがいるしね」
「そうですね。私が絶望させませんよ、世界のためにも」
「そこは僕のためにって言ってほしいな」
「……世界のためです」
自分だけの愛を求め続け、その末に壊れた「アルサング」はどこにもいない。
あとは、世界の危機がなんとかなれば文句なしのハッピーエンドだ――もちろん、それが一番難しいのだが。
モーリアは少し拗ねた様子を見せるアルサングの口に、サンドイッチを押しこんだ。
※
――それから数年後、世界中が大きく揺れた。
さらにしばらくが経った頃、病気療養中だった第一王子と公爵令嬢が、前触れもなく王国の社交界に姿を現した。
彼らの病気療養は表向きの理由で、実際は皇帝と共に帝都での革命運動の鎮圧にあたっていた。その功績により、帝国内においての王国の地位が向上したと発表される。
同時に第一王子が立太子され、公爵令嬢との婚約も発表。突然の吉報に、王国は大きく湧いた。
そんな騒動に先駆けて、モーリアは彼らと挨拶する機会に恵まれていた。アルサングと共に茶会の席が設けられ、帝国での話を聞いた。
帝都に紛れ込んだ第一王子とライバル令嬢である公爵令嬢は、死神帝と協力してそれぞれの立場から神殿を監視。動きがあれば都度対処し、必要があれば泳がせ、魔の者の影響力を抑えることに尽力し続けた。
状況は膠着したまま年月が過ぎ、やがて密命を帯びたヒロインも合流することになったのだが、どういう理由か彼女も前の記憶を持ち越していたのだという。
再会を涙で喜びあった彼らは、事態の解決に向けて結束を固くした。
前で誘拐されたヒロインの記憶から、今までノーマークだった人物が浮上する。
念の為に、その人物の監視を続けていれば、ひとつの暗殺計画が炙り出された。対象は、とある公国の幼い姫である。
計画はある程度泳がされた後に潰され、姫は現在も健やかに成長している。
帝国の下位貴族が複数絡んでいた計画だったため、大公妃が荒れてワイン相場も荒れた。あれは結局、皇帝が少し口を出して沈静化したのだった。今となっては懐かしい思い出である。
なお、暗殺計画を潰した後に判明した事実なのだが――公国の姫はなんと、もう一人の金の「太陽」の持ち主だった。
そこからの展開は、怒涛のようだったという。
ふたりぶんの金の「太陽」は強く願った。その願いは共鳴し、大空を揺るがした。
そして、その衝撃は深い眠りについていた創造神を呼び起こす。
目覚めた創造神と魔の者は相対し――――敗れた「魔」はこことは違う次元に封印された……らしい。
――それは、見事なまでのデウス・エクス・マキナであった。
話を聞いたモーリアは、もはやおぼろげなゲームの記憶を呼び起こす。
ゲームのハッピーエンドでは、「魔の者」はヒロインらによって倒されたものの、消滅したりはしていなかったはずだ。
皇帝は戦いの最中で死に、帝国という組織は壊滅。だが、荒れた国々がそれぞれ再起する――という、未来に希望を見出すエンディングである。
帝国は健在、王国は地位を上げ、世界の破滅は無事に回避した。
人間社会である以上、小さな争いはそこら中にあるが……おおむね平和だ。
学園を卒業したモーリアは、外交官の妻として帝都へ派遣されることになった。
腹芸ができぬ人間に外交官の妻が務まるのかと、アルサングに泣き言をぶつけたこともある。その時は「全員が全員腹黒だと息苦しいから、君はそのままでいてほしい」と慰められた。
実際、彼から求められたのは情報サポートだったので、モーリアの不得意項目はあまりバレていない。……いまのところは。
そんな風に、魔の者が消えた世界は、モーリアが知らないことで満ちている。
結婚時に国王から「息子を頼む」と頭を下げられてモーリアが失神しかけたり、駆けつけたアルサングの母に泣かれたり。
王太子になった第一王子と、ゲームのライバル令嬢だった公爵令嬢の仲睦まじさに感激したり。ゲームのヒロインが、非攻略対象なはずの第一王子の侍従と恋に落ちたり。
その他の金の奇跡持ちの攻略対象たちも、華々しく活躍している。
アルサングは血筋も金等級の奇跡も隠したまま、ただのひとりの人間として笑っている。
だからモーリアもモブとしてモブなりに、アルサングと共にこの世界で生きていくことにした。
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