黒の悪魔が死ぬまで。

曖 みいあ

文字の大きさ
13 / 72
第一章:あの日、再び

抜け駆け

しおりを挟む

「やっぱブレイズ隊長かっけー!
ヨウ、お前抜け駆けすんなよな。」

結局デザートを頼み、
少し面白くなさそうに、椅子を傾けて食べるレンに

「ふんっ。俺とブレイズ隊長の仲だからな。」

得意げに、そう返した。

自意識過剰かもしれないが、
ブレイズ隊長は、この辺の子供の中では、
特に俺を気にかけてくれている…気がする。

「早くホワイトノーブルに入って、
ブレイズ隊長の下で働きたいぜっ。」

レンは、ジャアナの街で、両親と暮らしている。

『今はまだ入隊するのは早い』
…と、止められているらしい。


「レン、お前は…”赤橙色”だから。
入れたとしても、部隊は…”暖色隊”、だろ?

残念だけど、
”寒色隊”のブレイズ隊長とは、離れ離れだな。」


そう、
ブレイズ隊長のカラーズは水色だから。
”寒色系の隊長”なのだ。


「なんだよ、自分が発現するなら”緑”…
…要するに、寒色系、だろうからってさ!
遠回しに、自慢するなよなぁ~。」


面白くなさそうに、レンに言われる。

いや、俺は…

「…発現するなら、…紅色が、いい。」


これまで、何度として吐いたセリフを、
こりずにまた、レンにこぼした。


「お前、カラーズの話になると、昔っからそればっかだよな。
なんで紅色なんだよ?アオ君とも違うし。」

やれやれ、とレンに呆れられるのも、もう何度目だろう。

何故かはハッキリ言えないのだが…。

俺は、物心着いた頃からずっと、紅いカラーズに、憧れている。 

…アオ兄とも、ブレイズ隊長とも違う。

できたら…真っ赤な…。。


「何でかは分からないけど!
俺は…っ!紅色が、いいんだっ!」

少し子供っぽい言い方になったし、頬まで膨らませてしまった。


「はいはい、そうは言ってもさぁ~、
家系で似た色になんのが普通なんだから。
家族と全く違うってのは、ま…無理だろ。

そもそも”ヨウ”って名前も、
葉っぱの”葉(よう)”からきてるんだろ?」


「でもっ!絶対にないわけじゃないだろっ。
知らないけど、じいちゃんとか遠い祖先がさ、意外と…赤系かも、しれないしっ!」

納得したくなくて、意味もなくレンに食ってかかる。

「分かった分かった!この際ヨウは、
発現できりゃあ、何でも良いんじゃねっ?」

つい3ヶ月前までは、自分も発現していなかったからなのか、
何だかんだでレンは、最終的には、いつも俺を励ましてくれる。

…まあ、基本は…イジワル、なんだけど。


「で、ヨウが考えて、実践してる特訓、
最近どうなってんの?成果、出てんの?」

「あんまり…。
むしろ最近、何でか途中で意識が薄らいで。…気絶、しちゃうんだよね。」

はぁ?と、
呆れたような、驚いたような返事が返ってきた。

「ヨウ、お前無理して…アオ君に、迷惑かけるなよ?
仕事と俺の修行で、毎日疲れてるんだからさぁ。」


「…そう思うなら、アオ兄に、修行見てくれなんて頼むなよ。」

「…それは、ヤだ。」


レンは、アオ兄にも懐いていて。
ここでの7年間、ずっとこんな感じだ。

レンとは友達というより…もはや兄弟に近い。
俺たちは背格好もよく似ているし。そして…よく似てるといえば…


「あ!そうそう!今日はヒマリの誕生日じゃん!
プレゼント、まだ悩んでんだよな~。」

「…。」

…好きな女の子も、
何だかんだで、気付いたら一緒だった。


「おい…、まさか…

ブレイズ隊長だけじゃ飽き足らず、
ヒマリまで、抜け駆けするつもりじゃ…ないよなぁ?」

じろり、と鋭い視線を向けられて。

「は、はぁ?そ、そんなことしないわ。」

そう言いながら、
咄嗟に目をそらしてしまった。


「…はぁ。お前なぁ、このレン様に、嘘が通じると思うなよ?
ったく、何年一緒にいると思ってんだよ。」

ベシっ!と、強めに頭を叩かれる。

「…誕生日会の前に、言う。」

はぁ!今日かよ!?という、
やけに大きなリアクションを受けて、さらに目をそらしてしまった。


うん…これ以上話してると、絶対ろくなことにならない。


「もう、決めたことだから!…じゃあな。邪魔するなよ。」

「あっ、ヨウ!!逃げんなっ!!」

いまだ、何か言いたげなレンから急いで離れ、
駆け足で、振り返ることなくお店をあとにした。



ーーー【黒の再来】まで、あと4時間と49分ーーー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

処理中です...