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第二章:新しい世界
白のファンは、黒
しおりを挟む「ぶははっ!お前、暗いやつかと思ってたら…。
案外ぶっ飛んでて、面白いんだな。気に入ったっ!」
真剣な宣言を、ノヴァンに盛大に笑われて。
『おい!俺の可愛い弟の宣言を笑うなよ!
ヨウはいつも真っ直ぐなんだからな!…できるできないは、置いといて!』
「アオバ君…。弟バカのようで、フォローになっていない気が…。」
アオ兄とサクヤにも。
なんだか、俺の真剣さ…伝わって、ない?
「俺、真剣だから!!!
ブラックアビスで、頑張ります!!!」
ヒマリもアオ兄も、みんな、本気で守りたい。
あの時…できなかったこと。
シゲ叔父さんは…助けられなかったけど。
今度は…絶対に。
俺が、みんなを、救ってみせる!
「まずは…、基本的な、チカラの使い方からだな。」
ノヴァンにそう言われ。
気付いたら、アオ兄は、ほとんどそのハトの身体が、消えかかっていた。
アオ兄自身も、消えることを感じたのか。
俺の腕から離れ、顔の近くで、
ハトには珍しく…空中にとどまる、ホバリングをしながら…
俺に、真剣な口調で話しかける。
『ヨウの成長…、楽しみにしてる。
またこうやって話せて…ほんとに、幸せだよ、俺。
またな、ヨウ。ーー”黒の悪魔が死ぬまで”、一緒に頑張ろうな。』
アオ兄はそう言って。
天井高くフワっと飛び上がり…空中に、溶けて消えていった。
また、会える…分かっているけど。少し、寂しく感じていると…
「あぁ~。あったま痛いわ!!!
ちょっと、二日酔いに効く薬、アンタ達持ってない?」
その見た目と同じ、派手な再登場。
ピンクの髪に、はだけた黒色の隊服…。確か…
「ハナ、お前…やっと酒、抜けたのか。」
「お酒は抜けても…体調は、よくないみたいですね。」
そう、”ハナ”と呼ばれていた。
この人も、ブラックアビスの一員なのか。
「まあ、ちょうど良かった。
コイツ、無事にブラックアビスに入ることになったから。」
ノヴァンが、俺の両手足の拘束具をはずしながら。
嬉しそうに、彼女に報告した。
「あら!上手くいったのね。
この2人に、乱暴なこと…されなかった~?よしよし。」
ハナ…さんは、まだ酔っているのか。
俺の頭を、まあまあの力で、よしよしと撫で回す。
「ハナさん…、犬じゃないんだから。その辺で。
ヨウ君、彼女は…”ハナ・グローリア”隊長。ブラックアビスの、”暖色隊”の、隊長です。」
サクヤが、俺に、そう説明してくれた。
「グローリア隊長…。
俺、ヨウ・オリーヴァーです。よ、よろしくお願いしますっ!」
(入隊の挨拶って…どうやるん、だっけ…?)
そう思いながら、ひとまずビシッと背筋を曲げてお辞儀をする。
「うん、よろしくね。ハナって呼んでくれても、良いのよ?」
うふふ、と。たくらむような笑い方で。
少し酔いが覚めてきたのか。最初より、柔らかな印象を受けた。
「ハナ…隊長。
あの…”暖色隊”って…。
ホワイトノーブルみたいに、いくつか隊が分かれてるんですか?」
俺はふと、浮かび上がった疑問を口にした。
「そう!ホワイトノーブルと、”ほぼ”同じ分け方よ。
なんたって私達…
…表向きは、ホワイトノーブルの”ファン”ってことに、なってるんだからね。」
ハナ隊長が、嬉しそうに話す。
「…ファン?」
俺は、意味が分からずに、つい首をかしげて聞き返した。
「そう!
ホワイトノーブルは…世間的には、裏の顔を隠して、正義の味方みたいでしょ。
だから…今はまだ。堂々と彼らと敵対するのは、得策じゃないわ。
だから…まずは!”ホワイトノーブルのファン”として。
ヤツラの野望を知るメンバーで…
まずは、真っ白の隊服に似た、真っ黒の隊服で。このブラックアビスを立ち上げたのよ。」
そう言って、隊服を見せびらかすように、身体を一回転させた。
はだけた胸元や、短いスカートに…やっぱり慣れずに。
赤くなりそうな顔を隠すように、サッと視線をそらした。
「ホワイトノーブルに賛同している、自主組織みたいな形で。
ひとまずは活動を、邪魔されたことは無いわ。ファンとして、上手く振る舞っているの。
それで…、ホワイトノーブルにもある、”寒色隊”の隊長は、彼、”サクヤ・アルマス”。」
そう、ハナ隊長に紹介されて
「ほんとは…隊長なんて、ガラじゃないんだけど…。
あ、サクヤでいいよ。よろしくね、ヨウ君。」
サクヤ…隊長は、照れくさそうに微笑んで。
軽く、片手を振ってくれた。
「サクヤ隊長!よろしくお願いします!」
俺は、すでにサクヤ隊長のことは、かなり信頼していた。
サクヤ隊長の優しさは、もう十分すぎるほど、理解できていたから。
そして…
「さぁ!いよいよ最後は…俺!
ミステリアスな隊長の、紹介だな!誰が話を振ってくれるんだ?」
ニコニコと笑う…ノヴァン、隊長。
「…陽気で、大人気なくて、少し子どもっぽい…
…でも、すごい人…な、隊長。ですよね。」
俺は、紹介されるより前に。
ここで得た彼の情報を、少しだけ、小声でおさらいしてみた。
「あら!ヨウ、よく分かってるじゃない!」
「おお!ヨウ君、よく分かってる!」
2人の隊長に褒められて。
「おい!誰が”大人げない子ども”だ!
”陽気でカッコよくて、ちょっぴりすごい人”が、褒められるべき回答だ!」
ノヴァン隊長が、納得いかない様子で食ってかかる。
それに対して…
「あ!でもまだ、回答不十分ね」
「あぁ、あれが足りませんでした。」
ハナ隊長と、サクヤ隊長は、顔を見合わせてニヤッと笑い…
「「せーのっ。
”自信が服を着て歩いてる”!!」」
2人声を重ねて。嬉しそうに、俺に教えてくれた。
ーーーほぼ、同時刻。
【黒の再来】から、2日後の…王都シマールにある、ホワイトノーブル本部にて。
「なんでっ!私も、すぐにミタ山に向かいます!」
私は、入ったばかりの組織だけど…。もう、居ても立っても居られなかった。
「まだ…、”黒の悪魔”、ヨウ・オリーヴァーが、付近にいるかも知れません!!」
(早く…。一刻も早く。)
(ヨウを…、お父さんとお母さんの敵(かたき)を、この手で…!)
私は、まだしっくりこない…
…真っ白な隊服の袖を、強く握った。
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