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マジックショー
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☆や〇。チープな色模様の大きな箱に、あなたと私、放り込まれました。
マジシャンが閉じます。開けます。取り出されのは、私だけでした。
まだあなたがいるのかと思って、マジシャンに早く早く箱の底を見せてと乞うたならば、カンキャクの皆さまご覧あれ、ほうら。からっぽの箱に湧く声、笑い、声、笑い。箱に釘づけのみなさまは出てきた私なんか見やしない。ただあなたがいなくなったことに拍手、マジシャンに拍手。
舞台裏から抜け出してあなたを探しに町を歩くけど、どこを探していいかわからないまま公園へ。五、六匹の鳩がバッと飛び立ち消えてしまった向こうにベンチが見えたので、座らなきゃいけません。
公園を横切ってベンチに座ります。誰もいない公園の奥から、柵のあちらでまばらに行きかう人々と車が見えるけど、誰かがこちらに顔を向けても私が見えていないのを知っていますから。ここが箱の底です。
そうしたら、あなただってどこかの舞台の上で、私がいなくなったことに途方に暮れて、マジシャンを殴りつけて、私を求めて彷徨っているかもしれません。
あなたはいつかここにたどり着き、ベンチに腰かけた二人はどこに何を食べに行くかで軽く揉めて、結局は微笑みあって柵の向こうへ共に行くのでしょう。だから私はずっとここにいなきゃいけないのです。
でもあなたが辿りついたのが他の公園だったなら、あなたもずっとその奥に座り続けているじゃないか。出なきゃいけない一刻も早く向こうに。土土土、ゲート、アスファルト、人人、そして嗚呼、車。飛び散る☆と〇と叫び声。マジシャンに拍手。
「お気持ちの整理がついたらおっしゃってください。御棺をお閉めします」
婚約者だった人の顔を見るのはこれが最後だ。別れはこれで二回目になる。彼女と私が破局したことは親族に知られることがないまま、棺の中の彼女とともに消えるだろう。ただ、小さなベンチに虚ろな顔をした小さな彼女が私の中に居着いてしまったようだ。
棺は閉められた。
--------------------
【まるがおMAX懺悔】
「土土土、ゲート、アスファルト、人人、そして嗚呼、車。飛び散る☆と〇と叫び声。マジシャンに拍手。」の部分はたぶんどっかの太宰治のどっかのダスゲマイネの影響受けてます。勢いで書いてから気が付いたのですが、懺悔しておきます。
マジシャンが閉じます。開けます。取り出されのは、私だけでした。
まだあなたがいるのかと思って、マジシャンに早く早く箱の底を見せてと乞うたならば、カンキャクの皆さまご覧あれ、ほうら。からっぽの箱に湧く声、笑い、声、笑い。箱に釘づけのみなさまは出てきた私なんか見やしない。ただあなたがいなくなったことに拍手、マジシャンに拍手。
舞台裏から抜け出してあなたを探しに町を歩くけど、どこを探していいかわからないまま公園へ。五、六匹の鳩がバッと飛び立ち消えてしまった向こうにベンチが見えたので、座らなきゃいけません。
公園を横切ってベンチに座ります。誰もいない公園の奥から、柵のあちらでまばらに行きかう人々と車が見えるけど、誰かがこちらに顔を向けても私が見えていないのを知っていますから。ここが箱の底です。
そうしたら、あなただってどこかの舞台の上で、私がいなくなったことに途方に暮れて、マジシャンを殴りつけて、私を求めて彷徨っているかもしれません。
あなたはいつかここにたどり着き、ベンチに腰かけた二人はどこに何を食べに行くかで軽く揉めて、結局は微笑みあって柵の向こうへ共に行くのでしょう。だから私はずっとここにいなきゃいけないのです。
でもあなたが辿りついたのが他の公園だったなら、あなたもずっとその奥に座り続けているじゃないか。出なきゃいけない一刻も早く向こうに。土土土、ゲート、アスファルト、人人、そして嗚呼、車。飛び散る☆と〇と叫び声。マジシャンに拍手。
「お気持ちの整理がついたらおっしゃってください。御棺をお閉めします」
婚約者だった人の顔を見るのはこれが最後だ。別れはこれで二回目になる。彼女と私が破局したことは親族に知られることがないまま、棺の中の彼女とともに消えるだろう。ただ、小さなベンチに虚ろな顔をした小さな彼女が私の中に居着いてしまったようだ。
棺は閉められた。
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【まるがおMAX懺悔】
「土土土、ゲート、アスファルト、人人、そして嗚呼、車。飛び散る☆と〇と叫び声。マジシャンに拍手。」の部分はたぶんどっかの太宰治のどっかのダスゲマイネの影響受けてます。勢いで書いてから気が付いたのですが、懺悔しておきます。
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最初、なぜ過去形? と思いましたが、読み進め最後まで来ると成る程と感心しました。
ショートショートであり、また前段と後段の良い感じの断絶具合も相まって、和歌の余韻のように色々想像出来、愉しめました。
ところで、なぜにそのペンネーム?
ありがとうございます。
ペンネームは、もともとの丸顔が現在完全な球体に近づきつつあるのでまるがおMAXにしました。しゅっとした顔に生まれたい人生だった…。
テンポが良く,とんとんと語り口上のように読めていき
頭の中ではサーカスの音が響いていました。
そのあたりはさすが上手だなぁと感じました。
話が、一転して変わります。
よく意味を飲み込むために数回読み返しましたが
おかげで感情の移入がどんどん繰り返され
飲み込めたあとは、まるで私が主人公のような気持になりました
楽しく読めました ありがとうございます。
まるがおMAXのペンネームには、ツボにはまりました。
最高です!
感想ありがとうございます。あとで「しまったな」と思ったところが三カ所ありまして、
ダスゲマイネっぽくなってしまった部分があること、
いきなりマジックショーの心象風景から初めてしまったせいで、さまよう→車バーンまでの現実の動作と心象が混濁してるのがわかりづらかったこと、
一転したあとの描写が短かすぎたこと・・・です。
わかりづらいショートショートになってしまったかもなあと反省しております。精進します。
筆者を知る者には「らしい」語りやなぁと、読んでて微笑みました。オチがそこやったかと、発想のおもしろみがおす。あと、わざわざネタばらしみたいなことせんでも、わかる人はわかるんやし、照れんでもよろし。笑
凛さんがアルファポリスで小説書いているの見て、私も書いてみようと思ったので、最初の感想を凛さんに書いてもらえてうれしいです。ありがとうございます。