1 / 5
1話
しおりを挟む
最近、女子の間でぬいぐるみづくりが流行っている。かわいらしい趣味が流行ったもんだなあ。
作ったぬいぐるみを、なんかキラキラした人しかやらなさそうなSNSにあげては、楽しそうにしている人々の発生である。
そんな人々の発生を、僕、棚田久人は喜ばしく思っていた。
なぜなら、サッカー部ベンチ身長低め成績悪めカッコ悪めの僕は、昔いろいろあって、ぬいぐるみづくりのスキルを隠し持っているからだ。
それを今発揮すれば、女子と仲良くなれるチャンスなのでは?
そう考えた。
さらにチャンスだと思っているのは、僕の隣の席に座っている美少女の、曲花かおりとの関係改善について。
曲花はよく、友達に手作りのぬいぐるみを配っている。だからきっと、ぬいぐるみが好きに違いない。
僕がぬいぐるみづくりに長けていると知れば、少しは優しくしてくれるかなって思っている。
「ねえ、はい! 渡してんでしょ」
「あ、ごめん……」
僕は曲花に謝った。考え事してたのは悪いけど、そんなに強く言わなくたっていいのになあ。
僕はプリントを受け取った。
ちらりと曲花の方を見ると、配られたB4のプリントを折りたたんでいるところだった。
もともと変なところに折り目がついているので折るのに少し苦労しているようだ。その変に折れた方を僕に渡せばよかったのにな。
僕は自分の手元の折り目一つなくきれいなプリントを見つめた。
曲花はなんだかんだで優しい人だと僕は知っている。というかみんな知っている。なぜか、僕に対する口調だけ厳しい気がする。
いいんだ。まあそれでも。ただ、少しは関係改善したい。やはり、ぬいぐるみだな。
僕は、心の中で作戦をまた立て始めた。
しかし、その日の放課後、作戦を立て終わる前に、僕のぬいぐるみスキルはばれてしまうこととなった。
僕の学校は、教室を出たところの廊下にロッカーがある。
僕は自分のロッカーにはめんどくさいので鍵をかけていなくて、さらにぱんぱんに物を入れていた。
それが突如として、雪崩を起こしたのだ。そして、中に入っていた教科書やらなにやらとぬいぐるみが、廊下に大放出。
当然、廊下にクラスの人は集まってくる。
結果として、僕のぬいぐるみがみんなに見られてしまったのだ。
僕はクラスで目立つ方でも何でもないので、大半の人は無関心。
しかし、一部の女子は
「棚田って意外とかわいい趣味あるんだ~」
とか言ってからかってきた。
まあそうなるよな。普段存在すら認知されてない僕にとってはうれしいよ。
これは、もしかして、本当に女子と親しくなってしまうのではないか?
そう期待しつつ僕はその日家に帰って、そいでもって次の日登校したのだが。
「もう忘れ去られたか……」
世の中の人は飽きっぽいもんだ。僕なんて少年時代からベンチなのに中学生になってもサッカーやってるぞ。まあ、とっくに飽きてはいるから、僕も人のこと言えないが。
僕は、ぺちゃくちゃしゃべっているいわゆる「クラスの中心人物」を眺めていた。
その中に、曲花もいる。
そうだ、曲花との関係改善の方がむしろメインの目標だったんだ。
僕は思い出した。
さてどうするか。
当然、曲花も、ロッカー雪崩事件で僕のぬいぐるみ趣味については知っているだろう。
しかし、曲花はなにもそれについては触れてこない。今日はそもそも会話が今のところない。
チャイムが鳴ると、曲花は無言で席に座ってきた。
そして、素早く教科書とノートを机に配置する。
「よし、じゃあ、先週の続きから始めるぞ。えーと先週は教科書の131ページまでやったんだっけな」
先生が話だし、みんなの意識は授業に移った。
と思っていたのだが、視線を感じた。
斜め後ろを見てみると、曲花と仲がいい女子の三本が僕を見ていた。
なんだなんだ?
僕じゃなくて、曲花を見てたのかな。
そう思って、僕は黒板に視線を戻した。
だがやはり曲花を見ていたのではなく僕を見ていたようで、授業が終わって次の授業がある生物実験室に行こうとした僕は、三本に呼び止められた。
「ねえねえ、棚田くんってぬいぐるみ作るの?」
「ああ……昔、少しやるきっかけみたいなのがあって、それで今でもたまに作る」
「へえー! すごいね。私裁縫苦手だし、教えてほしいなあ」
「ああ、まあいいけど、でも曲花がいるじゃん。たまにぬいぐるみ配ってるだろ」
「ああ、かおりはね、教えてはくれないの。企業秘密みたいなかんじ……?」
「あ、そうなの?」
謎だ。
まあでも、曲花に教える気がないなら、せっかくだし、僕が教えてもいいのかな。
「わかった。じゃあ今度機会があれば、教えるね」
「やったー。うれしい!」
この時僕は、喜んでる三本可愛いなって思った。
だから、なんか誰かににらまれてる気がしたけど、大して気にならなかった。
作ったぬいぐるみを、なんかキラキラした人しかやらなさそうなSNSにあげては、楽しそうにしている人々の発生である。
そんな人々の発生を、僕、棚田久人は喜ばしく思っていた。
なぜなら、サッカー部ベンチ身長低め成績悪めカッコ悪めの僕は、昔いろいろあって、ぬいぐるみづくりのスキルを隠し持っているからだ。
それを今発揮すれば、女子と仲良くなれるチャンスなのでは?
そう考えた。
さらにチャンスだと思っているのは、僕の隣の席に座っている美少女の、曲花かおりとの関係改善について。
曲花はよく、友達に手作りのぬいぐるみを配っている。だからきっと、ぬいぐるみが好きに違いない。
僕がぬいぐるみづくりに長けていると知れば、少しは優しくしてくれるかなって思っている。
「ねえ、はい! 渡してんでしょ」
「あ、ごめん……」
僕は曲花に謝った。考え事してたのは悪いけど、そんなに強く言わなくたっていいのになあ。
僕はプリントを受け取った。
ちらりと曲花の方を見ると、配られたB4のプリントを折りたたんでいるところだった。
もともと変なところに折り目がついているので折るのに少し苦労しているようだ。その変に折れた方を僕に渡せばよかったのにな。
僕は自分の手元の折り目一つなくきれいなプリントを見つめた。
曲花はなんだかんだで優しい人だと僕は知っている。というかみんな知っている。なぜか、僕に対する口調だけ厳しい気がする。
いいんだ。まあそれでも。ただ、少しは関係改善したい。やはり、ぬいぐるみだな。
僕は、心の中で作戦をまた立て始めた。
しかし、その日の放課後、作戦を立て終わる前に、僕のぬいぐるみスキルはばれてしまうこととなった。
僕の学校は、教室を出たところの廊下にロッカーがある。
僕は自分のロッカーにはめんどくさいので鍵をかけていなくて、さらにぱんぱんに物を入れていた。
それが突如として、雪崩を起こしたのだ。そして、中に入っていた教科書やらなにやらとぬいぐるみが、廊下に大放出。
当然、廊下にクラスの人は集まってくる。
結果として、僕のぬいぐるみがみんなに見られてしまったのだ。
僕はクラスで目立つ方でも何でもないので、大半の人は無関心。
しかし、一部の女子は
「棚田って意外とかわいい趣味あるんだ~」
とか言ってからかってきた。
まあそうなるよな。普段存在すら認知されてない僕にとってはうれしいよ。
これは、もしかして、本当に女子と親しくなってしまうのではないか?
そう期待しつつ僕はその日家に帰って、そいでもって次の日登校したのだが。
「もう忘れ去られたか……」
世の中の人は飽きっぽいもんだ。僕なんて少年時代からベンチなのに中学生になってもサッカーやってるぞ。まあ、とっくに飽きてはいるから、僕も人のこと言えないが。
僕は、ぺちゃくちゃしゃべっているいわゆる「クラスの中心人物」を眺めていた。
その中に、曲花もいる。
そうだ、曲花との関係改善の方がむしろメインの目標だったんだ。
僕は思い出した。
さてどうするか。
当然、曲花も、ロッカー雪崩事件で僕のぬいぐるみ趣味については知っているだろう。
しかし、曲花はなにもそれについては触れてこない。今日はそもそも会話が今のところない。
チャイムが鳴ると、曲花は無言で席に座ってきた。
そして、素早く教科書とノートを机に配置する。
「よし、じゃあ、先週の続きから始めるぞ。えーと先週は教科書の131ページまでやったんだっけな」
先生が話だし、みんなの意識は授業に移った。
と思っていたのだが、視線を感じた。
斜め後ろを見てみると、曲花と仲がいい女子の三本が僕を見ていた。
なんだなんだ?
僕じゃなくて、曲花を見てたのかな。
そう思って、僕は黒板に視線を戻した。
だがやはり曲花を見ていたのではなく僕を見ていたようで、授業が終わって次の授業がある生物実験室に行こうとした僕は、三本に呼び止められた。
「ねえねえ、棚田くんってぬいぐるみ作るの?」
「ああ……昔、少しやるきっかけみたいなのがあって、それで今でもたまに作る」
「へえー! すごいね。私裁縫苦手だし、教えてほしいなあ」
「ああ、まあいいけど、でも曲花がいるじゃん。たまにぬいぐるみ配ってるだろ」
「ああ、かおりはね、教えてはくれないの。企業秘密みたいなかんじ……?」
「あ、そうなの?」
謎だ。
まあでも、曲花に教える気がないなら、せっかくだし、僕が教えてもいいのかな。
「わかった。じゃあ今度機会があれば、教えるね」
「やったー。うれしい!」
この時僕は、喜んでる三本可愛いなって思った。
だから、なんか誰かににらまれてる気がしたけど、大して気にならなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる