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2話 何気ない日常
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2話 何気ない日常
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「で、どこ連れてかれるのかと思えば近所の公園かよ」
「ダメだった?」
「いや、別にどこでもいいんだけどさ。まぁ、毎日ならこれぐらいじゃないと持たないだろうしな」
「それは健くんが基本引きこもりのダメ人間だからだよ」
「だまらっしゃい」
小川さんに連れてこられたのはなんてことのない近所の公園だった。
あの意気込み用だったから、電車にでも乗せられるかと覚悟していたんだけどそう言うことにはならなそうで助かった。
まぁ、毎日なら今日はってだけだけど。
今更ながら、本当に体力持つのだろうかと少し心配になってきた。
小川さんはスマホを構えてピヨんぴょん跳ねながら写真を撮っている。
……子供は元気だとよく聞くが、僕と小川さん同い年のはずなんだけどな。
「って、そんなパシャパシャ撮りまくって後でアップする僕のことも考えてくれ」
「別にいいじゃん思い出だよ」
「思い出ね」
さっきも言ってたけど、その言葉好きだよね。
ハマってるんかな?
まぁ、楽しそうだしいいんだけどね。
ただ、後のことを考えると少し憂鬱ってだけでさ。
「ここの公園、懐かしいでしょ」
「……ああ、そういえば昔よくここで遊んでた」
「へぇ、健くんちゃんと覚えてるんだ。意外」
「もちろん。ここの滑り台から小川さんが落っこちちゃって、大泣きしてさ」
「あー、あー、恥ずかしい思い出は禁止」
「はいはい」
思い出の場所なんて言うほど大それた場所でもない。
近所の公園だからね。
小さな子供たちが遊ぶ場所なんてのはここら辺にそんなに多くなかった。
当時からどちらかと言えばインドア派なだった僕だけど、今日みたいに小川さんに連れられて何度も公園に来ていたのを覚えてる。
どんなふうに遊んだとかって言うのを鮮明に覚えてるわけじゃないけど、なんだかんだ楽しかったような気はする。
小川さんが落っこちて怪我しちゃった時にはどうしたらいいのか分からずあたふたして、2人揃って危ないことはするなと僕の親にも小川さんの親にもどやされたけどそれも今となってはいい思い出ってやつだ。
そういえば、最近は小川さんの親にはあってないな……
もともと子供同士が仲良かっただけで家族ぐるみでの付き合いってわけでもなかったけど、元気にしてるかな?
ぼけーっと考え事をしてると小川さんがカメラを向けてきた。
「ほら、ピースして」
「いや、そう言う写真は」
「まぁ、まぁ。ダメな写真は健くんが弾いてくれればいいじゃん」
「……はぁ」
「笑って、にこーって」
顔の映った写真はどう考えてもダメなんだけどな……
といっても、小川さんは今は写真撮るのに夢中らしい。
さっきまで散々ネットネット騒いでたのに、単純な人である。
アップするわけでもないなら、別に困ることもないしね。
ただ、カメラを向けられるとどうしてもぎこちない笑顔になっちゃうんだよね。
こんな僕なんか撮ってて楽しいのかな。
「あ、そうだ! 送った写真ちゃんとスマホに取り込んどいてよね」
「え?」
「時間経っちゃうと画像読み込めなくなっちゃうことあるじゃん」
「ああ、そういえばそうか。と言うか、そう言う送り方なのね」
「え? ダメだった?」
「いや、別にいいんだけどね」
まぁ、そうだよね。
それ以外の送り方なんて知ってるわけないか。
いちいち取り込むのめんどくさい。
けど、新しいやり方教えるのもめんどくさいしいっか。
なんか探せば一括取り込みぐらいできるでしょ、多分。
あんまそう言うの使わないから詳しくないけど。
さっきから写真ずっと撮ってるけど、もう何枚撮ったんだろう?
と言うか、それ取り込むのか……
「ちょっとは加減してくれ、僕のスマホのギガ数が……」
「健くんのスマホが私でいっぱいってこと? なんかえっちぃ」
「うるさい、」
「酷い、いじめられた」
何がえっちぃだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そろそろ日も落ちてきたし帰ろうぜ」
「はーい」
まさかこの公園にこんなにいるとは……
よく飽きないものだ。
どこにでもあるただの公園なのに。
「というか、そんなに写真撮ってこの公園なんていつでも来れんじゃん」
「もう来ないよ、毎日別の場所行く予定だから」
「いや、そうかもしれんけど」
「せっかくの思い出だからね。いっぱい残したいじゃん」
「そのせいで僕のスマホの容量が圧迫されてるんですけどね」
「てへ」
てへじゃないが?
これは、小まめに落としてデータはPC移しといたほうがいいかな。
これから毎日のように大量に写真送られてくることになりそうだし、容量足りなかったとか言って写真ちゃんと保存してなかったら怒られるの目に見えてる。
なんという理不尽……
「で、明日もどっか行くのか」
「もちろん」
「せっかくの休みなのに、また朝早く叩き起こされるのか」
「人聞きが悪い。幼馴染のモーニングコールだよ? 健くんが見てるアニメでよくあるシチュエーションじゃん、憧れでしょ?」
「二次元は二次元だからいいんだよ」
小川さんは分かってない。
妹萌えや幼馴染萌えってやつはその属性がいいのであって、リアルに居る本物にどうこう思うものじゃない。
ツンデレとか、まさに現実にいたらただのヤバいやつだし。
まぁ、確かに小川さんは可愛いけど……
一時期そう言う気の迷いがなかったとは言わないが、それは違うだろうってね。
僕と小川さんはたまたま家が近くて異性ということが気にならない幼少期に仲良くなっただけ、それを一時の気の迷いで今のこの関係を崩したくない。
小川さんと僕なんかでは全然釣り合いが取れない。
だから、これで満足なんだって……
「そんなんだから、彼女の1人もできないんだよ」
「うるさい、小川さんだって彼氏いないくせに」
「健くんには言われたくありません~」
「そもそも、隠キャな僕が彼女できないのと陽キャな小川さんが彼氏できないのでは小川さんの方が深刻だからね」
「うるさい。私は作ろうと思ってないだから、作ろうと思ったらすぐだから」
「ずるい。それなら僕だってそうだよ」
……
いつか、そうなるんだろうな。
でもせめてそれまでは……
それに、今年の夏休みはずっと僕が小川さんの隣を独占できる。
ちょっと優越感、かな?
「あ、そいえば。明日はやっぱりゆっくりでいいや」
「そう?」
「午前中はちょっと予定あるから。でも、午後行くからちゃんと準備しといてよね」
「はいはい」
「寝巻きのままベットでゴロゴロしてたら許さないからね」
「わかってるって」
予定あっても来るのか……
本気で毎日行くきだね。
一応準備だけして、溜まってるアニメでも消化しとこうかな?
本当は夏休み中アニメ見まくるつもりで、7月の頭にサブスク入ったんだよね。
「あ、ちょうどいいから宿題やっておきなさいよ」
「……お前は僕の母親か」
「小さい時から面倒見てるからね。もはやお母さんみたいなとこある」
「どこがだよ。というか、小川さんは宿題いいのかよ」
「私はいいの」
なーにが私はいいの、だ。
提出しないつもりかよ。
まぁ、真面目な小川さんがそんなわけないんだけどさ。
「自分のことは棚に上げて」
「むー、お母さんに口答えは禁止です。いつの間にかこんなに大きく生意気に育っちゃって」
「そんときゃ小川さんもちっこかったし、なんなら僕が危なっかしいお前をだな」
「はいはい」
「なでなでするな!」
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「で、どこ連れてかれるのかと思えば近所の公園かよ」
「ダメだった?」
「いや、別にどこでもいいんだけどさ。まぁ、毎日ならこれぐらいじゃないと持たないだろうしな」
「それは健くんが基本引きこもりのダメ人間だからだよ」
「だまらっしゃい」
小川さんに連れてこられたのはなんてことのない近所の公園だった。
あの意気込み用だったから、電車にでも乗せられるかと覚悟していたんだけどそう言うことにはならなそうで助かった。
まぁ、毎日なら今日はってだけだけど。
今更ながら、本当に体力持つのだろうかと少し心配になってきた。
小川さんはスマホを構えてピヨんぴょん跳ねながら写真を撮っている。
……子供は元気だとよく聞くが、僕と小川さん同い年のはずなんだけどな。
「って、そんなパシャパシャ撮りまくって後でアップする僕のことも考えてくれ」
「別にいいじゃん思い出だよ」
「思い出ね」
さっきも言ってたけど、その言葉好きだよね。
ハマってるんかな?
まぁ、楽しそうだしいいんだけどね。
ただ、後のことを考えると少し憂鬱ってだけでさ。
「ここの公園、懐かしいでしょ」
「……ああ、そういえば昔よくここで遊んでた」
「へぇ、健くんちゃんと覚えてるんだ。意外」
「もちろん。ここの滑り台から小川さんが落っこちちゃって、大泣きしてさ」
「あー、あー、恥ずかしい思い出は禁止」
「はいはい」
思い出の場所なんて言うほど大それた場所でもない。
近所の公園だからね。
小さな子供たちが遊ぶ場所なんてのはここら辺にそんなに多くなかった。
当時からどちらかと言えばインドア派なだった僕だけど、今日みたいに小川さんに連れられて何度も公園に来ていたのを覚えてる。
どんなふうに遊んだとかって言うのを鮮明に覚えてるわけじゃないけど、なんだかんだ楽しかったような気はする。
小川さんが落っこちて怪我しちゃった時にはどうしたらいいのか分からずあたふたして、2人揃って危ないことはするなと僕の親にも小川さんの親にもどやされたけどそれも今となってはいい思い出ってやつだ。
そういえば、最近は小川さんの親にはあってないな……
もともと子供同士が仲良かっただけで家族ぐるみでの付き合いってわけでもなかったけど、元気にしてるかな?
ぼけーっと考え事をしてると小川さんがカメラを向けてきた。
「ほら、ピースして」
「いや、そう言う写真は」
「まぁ、まぁ。ダメな写真は健くんが弾いてくれればいいじゃん」
「……はぁ」
「笑って、にこーって」
顔の映った写真はどう考えてもダメなんだけどな……
といっても、小川さんは今は写真撮るのに夢中らしい。
さっきまで散々ネットネット騒いでたのに、単純な人である。
アップするわけでもないなら、別に困ることもないしね。
ただ、カメラを向けられるとどうしてもぎこちない笑顔になっちゃうんだよね。
こんな僕なんか撮ってて楽しいのかな。
「あ、そうだ! 送った写真ちゃんとスマホに取り込んどいてよね」
「え?」
「時間経っちゃうと画像読み込めなくなっちゃうことあるじゃん」
「ああ、そういえばそうか。と言うか、そう言う送り方なのね」
「え? ダメだった?」
「いや、別にいいんだけどね」
まぁ、そうだよね。
それ以外の送り方なんて知ってるわけないか。
いちいち取り込むのめんどくさい。
けど、新しいやり方教えるのもめんどくさいしいっか。
なんか探せば一括取り込みぐらいできるでしょ、多分。
あんまそう言うの使わないから詳しくないけど。
さっきから写真ずっと撮ってるけど、もう何枚撮ったんだろう?
と言うか、それ取り込むのか……
「ちょっとは加減してくれ、僕のスマホのギガ数が……」
「健くんのスマホが私でいっぱいってこと? なんかえっちぃ」
「うるさい、」
「酷い、いじめられた」
何がえっちぃだ。
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「そろそろ日も落ちてきたし帰ろうぜ」
「はーい」
まさかこの公園にこんなにいるとは……
よく飽きないものだ。
どこにでもあるただの公園なのに。
「というか、そんなに写真撮ってこの公園なんていつでも来れんじゃん」
「もう来ないよ、毎日別の場所行く予定だから」
「いや、そうかもしれんけど」
「せっかくの思い出だからね。いっぱい残したいじゃん」
「そのせいで僕のスマホの容量が圧迫されてるんですけどね」
「てへ」
てへじゃないが?
これは、小まめに落としてデータはPC移しといたほうがいいかな。
これから毎日のように大量に写真送られてくることになりそうだし、容量足りなかったとか言って写真ちゃんと保存してなかったら怒られるの目に見えてる。
なんという理不尽……
「で、明日もどっか行くのか」
「もちろん」
「せっかくの休みなのに、また朝早く叩き起こされるのか」
「人聞きが悪い。幼馴染のモーニングコールだよ? 健くんが見てるアニメでよくあるシチュエーションじゃん、憧れでしょ?」
「二次元は二次元だからいいんだよ」
小川さんは分かってない。
妹萌えや幼馴染萌えってやつはその属性がいいのであって、リアルに居る本物にどうこう思うものじゃない。
ツンデレとか、まさに現実にいたらただのヤバいやつだし。
まぁ、確かに小川さんは可愛いけど……
一時期そう言う気の迷いがなかったとは言わないが、それは違うだろうってね。
僕と小川さんはたまたま家が近くて異性ということが気にならない幼少期に仲良くなっただけ、それを一時の気の迷いで今のこの関係を崩したくない。
小川さんと僕なんかでは全然釣り合いが取れない。
だから、これで満足なんだって……
「そんなんだから、彼女の1人もできないんだよ」
「うるさい、小川さんだって彼氏いないくせに」
「健くんには言われたくありません~」
「そもそも、隠キャな僕が彼女できないのと陽キャな小川さんが彼氏できないのでは小川さんの方が深刻だからね」
「うるさい。私は作ろうと思ってないだから、作ろうと思ったらすぐだから」
「ずるい。それなら僕だってそうだよ」
……
いつか、そうなるんだろうな。
でもせめてそれまでは……
それに、今年の夏休みはずっと僕が小川さんの隣を独占できる。
ちょっと優越感、かな?
「あ、そいえば。明日はやっぱりゆっくりでいいや」
「そう?」
「午前中はちょっと予定あるから。でも、午後行くからちゃんと準備しといてよね」
「はいはい」
「寝巻きのままベットでゴロゴロしてたら許さないからね」
「わかってるって」
予定あっても来るのか……
本気で毎日行くきだね。
一応準備だけして、溜まってるアニメでも消化しとこうかな?
本当は夏休み中アニメ見まくるつもりで、7月の頭にサブスク入ったんだよね。
「あ、ちょうどいいから宿題やっておきなさいよ」
「……お前は僕の母親か」
「小さい時から面倒見てるからね。もはやお母さんみたいなとこある」
「どこがだよ。というか、小川さんは宿題いいのかよ」
「私はいいの」
なーにが私はいいの、だ。
提出しないつもりかよ。
まぁ、真面目な小川さんがそんなわけないんだけどさ。
「自分のことは棚に上げて」
「むー、お母さんに口答えは禁止です。いつの間にかこんなに大きく生意気に育っちゃって」
「そんときゃ小川さんもちっこかったし、なんなら僕が危なっかしいお前をだな」
「はいはい」
「なでなでするな!」
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