キャラクター死亡ファイル

哀上

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ファイル09:虐待された男の子

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ファイル09:虐待された男の子
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 ……お腹すいた。

 僕は、小さな部屋に閉じ込められていた。
 古びた壁紙が剥がれかかり、薄暗い照明がぼんやりと室内を照らしている。
 空気は湿っており、どんよりとした重さが僕の心にも押し寄せる。
 この部屋は安心感や暖かさとは無縁で、ただ孤独と不安に包まれたいた。

 いつからご飯食べてないんだっけ?

 割れた鏡に反射する僕の顔はげっそりとしていて、瞳には光がなかった。
 今の僕にあるのは疲労と恐怖ぐらいの物だ。
 お母さんに殴られ、この部屋に放り込まれ、心身ともに疲弊し生気すらも失いつつある。

 僕が悪かったから、だから許してほしい。

 何度そう叫んでも反応はなかった。
 僕の声は部屋の外には届かないみたいだ。
 無力感と絶望か僕を蝕んでいいく。
 僕には何の価値もない、悪い子だからきっとこうやって。

 いいこになるから、だからまた昔みたいに。

 腕についた切り傷をそっと撫でる。
 僕の体にはたくさんの傷跡と打撲痕がある。
 頬は青く膨れ上がり、変に治ってしまったのか手首がずれていて、口火は裂けてボロボロだ。
 でも、それを見ると思い出すんだ。

 ……

 これは僕がお母さんにもらった唯一の贈り物だ。
 怒られて、殴られて、それでも一緒にいられただけで僕はよかったのに。
 そう、僕が満足しなければならなかった。
 あんなわがままさえ言わなければ、ずっとそうしていれたはずなのに。

 ごめんなさい、

 寂しい、誰かに抱きしめてほしい。
 でもそれは悪い考えだ。
 僕は産んでもらえてだけで幸せなんだ、だから我慢しなくちゃ。

 ……お母さん。

 もう、生活音すらも聞こえてこない。
 この家に僕以外に人がいるのか、そんな考えが頭をよぎってしまう。
 大丈夫だ。
 最後にはお母さんが来てくれて、それで……

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【ニュース】

 虐待された子供の過酷な状況が明るみに

 先日、衝撃的な事件が明るみに出ました。虐待された子供の心理的な苦痛と身体的な傷跡が報じられ、地域社会に衝撃を与えています。

 この子供は、ボロボロの小さな部屋に閉じ込められ、孤独と恐怖に晒されていたとされています。長期間の虐待により、彼の心身は深刻な疲弊状態に陥っており、その体からは無力感と絶望が滲み出ていました。

 身体的な苦痛も顕著で、打撲や切り傷など数々の傷跡が残されていました。これらの傷は、彼の身体だけでなく心にも深い傷を負わせたものであり、彼の自己価値を否定する結果となったと専門家は指摘します。

 心理的な苦痛もまた、彼の人生を蝕んでいました。恐怖心と不安が彼を取り巻き、彼は常に次に何が起こるのかという恐怖に怯え続けていたとされています。信頼の対象がなく、守る手段もない彼の心は虚ろで凍りついていたとのことです。

 現在、関係機関は事件の詳細を調査中であり、虐待を行ったとされる者に対しては法的な措置が検討されています。同時に、これ以上このような悲劇を繰り返さないためにも被害を受けた子供達の支援や心理的なケアにも焦点が当てられています。

 この事件は子供の権利と保護の重要性を再認識させるものとなり、地域社会全体での関心が高まっています。虐待に苦しむ子供たちへの支援体制の充実と、早期発見・報告の重要性が改めて訴えられています。

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【unknown】

 もしこの件について何らかの不自然な点が報告されている場合、『信頼できるメディア』の報道を確認後、自身の見解を添えて上司に提出してください。

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