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43 闇とアンデット

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 生温い風が吹く中、静かな林道に鈴の音が鳴り響く。鈴は集魔の鈴、常に戦いを求める彼女には最適の魔道具。鈴の音につられ背後から大きな影が1つ、また1つと集まる。

「クククッ、ゴーレムが4匹か、楽しませてくれよ」

 ゴーレムは一斉に襲いかかる、彼女は黒い髪をなびかせながら、全てを避け刀に手を掛ける。柄に触れただけであとは避けるだけだった。

「所詮、この程度か・・・」

 ゴーレムは砕け、心臓とも言える核は粉々に、ソラ・スカイロックの斬撃スピードは音速に近い速さを持っている。柄に触れただけで攻撃が始まっていた。

「全然ダメだ、もっと強い敵はいないのか」

 風に揺られ鈴が鳴り響く、ソラは林道のさらに奥へと移動する。しばらく歩くと、複数の影が周りを取り囲む。

「はははっ、これは珍しいエルフドラゴンか・・・しかも7匹、楽しませてくれよ」

 襲いかかるエルフドラゴン、魔方陣が四方八方取り囲む、炎、風、水それぞれの魔法が飛び交うがソラに当たる気配がない。

「それで終わりか?次はこちらの番だな」

 柄に手を掛け、刀身を少し見せた状態で腰を落とす。

「闇切りの舞」

 黒い霧がエルフドラゴンを包み込む、霧が晴れた時にはエルフドラゴンはバラバラになっていた。
 目の前には血の池ができ、ソラは両手を広げ上を向く、不敵な笑みを浮かべた顔には大量の血の雨が降り注ぐ。

「あははっ、感じるぞ・・・ようやく星が動いたか・・・」

 どこからか、少女の声が聞こえ、ソラは周りを見渡した。

「さすがねぇ~♪噂通りの強さ♪」

 影の中から黒いドレスを着た少女が現れ、メガネの奥の眼光が更に鋭くなる。

「よかったらぁ~♪仲間にならないぃ~♪」
「ふふっ、私に勝てたらな」

 アリスは笑いながら影に手を伸ばし剣を取る、二人は少し距離を取り隙を窺う。ソラが右足を少し動かした瞬間、アリスは襲いかかった。斬撃と影を伸ばし切りかかるが全て避ける。ソラも反撃をするがアリスも全て避け一進一退の攻防を繰り広げる。距離をとったソラは久しぶりの強敵と剣を交えた事に高揚したのかニヤリと笑みを浮かべた。

「クククッ、いいぞもっと楽しませてくれ」
「あははぁ~♪それじゃぁ~♪とっておき出そうかしら♪」

 アリスは剣を地面に突き刺し、高笑いをしながら両手を左右に広げた。

「あははぁ~♪生あるものに死を、死の石棺ストーン・オブ・デス♪」

 剣から放たれる瘴気が周りを包み込む、瘴気に触れた草や木、近くにいた魔物は灰色になり砂のように朽ち果てていった。

「クククッ、こちらもとっておきだ、闇に飲まれろ、ダークネス・フォース」

 瘴気を全てかき消し、闇が支配する。アリスの前には大量の蜥蜴が現れ足元から這い上がる、身動きが取れなくなったアリスはソラを見失ってしまった。気がついた時にはソラに背後を取られアリスの体に刀が突き刺さる。

「あははっ、勝負ありだな」

 闇が晴れた時には、アリスの姿はなく、林道にはアリスの高笑いだけがこだまする。

「あはははは~♪あなたを手なずけるのはまだ早かったかしらぁ~♪そのうちまた来るわぁ~♪」

 刀を刺した時、肉や骨が切れる感覚が確かにあった、なぜ死ななかったのか?なぜ消えたのか?そんな事より久しぶりの強敵と戦えた事に高揚し笑いが止まらないソラは林道を後にした。

   ★   ★

 カナ達は深緑の湖の近くにある小さな村グレールに到着した。自然に囲まれた静かな村だ、果実が豊富に取れるらしい。日も傾き始め、宿を探す為に村の中を歩く。近づく大きな影にカナ達はまだ気付いていなかった。









 

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