悪党の食卓。 --王妃の実家は、たぶん黒幕説。--

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それぞれの結末・愚かなデコイ。

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それぞれの結末・愚かなデコイ。
ミーナ・マーテル男爵令嬢 & マーテル男爵夫妻。




 ミーナ・マーテル男爵令嬢。



 彼女は、政略結婚する事を選んだ。


 しかし、彼女は底が知れない。


 結婚の話をした時の彼女の回答は、予想の斜め上だった。



▼△▼



「わかりました…政略結婚は怖いけれど…ミーナは決めました!ミーナはイリスと結婚します!」


 と、ミーナ嬢はイリスの腕を掴んで、言い放ったのだ。



 その瞬間、夫人は手に持っていた、扇を真っ二つに折り、公爵はガクリと体制を崩し、アリスは腹を抱えて大笑いした。


 イリスは、丁寧にミーナの手を離すと、無言で席を立った。そして、帰ってきたイリスの顔は、酷く青白かった。


 どうやら、耐えられなかったらしい…。




「…ミーナ嬢。勘違いしている様で悪いが、君の相手はイリスではない。

 だから君はこれから、見ず知らずの相手に嫁ぐ事になる。…時間もないからね。

 君は何も知らなかった。…とは言え、君のせいで沢山の被害者が生まれたんだ。

 だから、これは君への罰だ。

 けれど、同時に君の身を守る事になる。

 …わかってくれたかな?」




「…わかりました。ミーナ頑張ります!」
 ミーナは、元気に返事をした。



 彼女の反応に、まだ理解が及んでない事を察した公爵は、更に続けた。



「…君が嫁ぐ相手は、どんな人だろうね?

 頭が禿げあがり、腹が出て、顔は脂まみれ、顎と頬には青髭が広がり、年が40も50も離れている…だとか…。

 もしかしたら相手の男性は、君の様に【自由恋愛】を満喫していて、君は3人目の妻…なんて事も、あるかもしれないね?

 どんな相手が来るのか、楽しみだね?

 せいぜい色んなパターンを想像すると良いよ…」



 ミーナ嬢は、公爵の言葉を受けて、ようやく事を理解し、初めて絶句した。



 そんな一悶着はあったりしたが、無事に彼女は嫁いで行った。



 彼女の嫁ぎ先は、ベルトハイドの遠い縁者だ。



 多少、癖がある人物であったり、性格が破綻していたり、するかもしれないが、彼女が一番重視している"顔が良い"という条件だけは満たしている。



 ミーナ嬢は、嫁ぐ相手に会うまでは、存分に恐怖することだろう。



 これがデコイにされた、愚かな彼女が助ける為に、課した罰であった。




▼△▼



 そして、次にマーテル男爵夫妻。




 彼等は、ミーナ嬢が嫁いで少し経った後に、彼等の罪を全て明らかにし、王妃から王へと進言する事で、告発して頂いた。


 王は薬物の蔓延に頭を悩ませていた為、即刻、マーテル男爵夫妻は処分された。


 彼等は闇に葬られるように、静かに処分された。


 引き渡された当初のマーテル夫妻は、おかしな言動を繰り返し、話す内容は要領を得ず、情緒は不安定で、とてもまともには見えなかった。


 しかし、王妃によって用意された数々の証拠は、一片の隙もなく、疑う余地もなくて、彼等の犯罪を赤裸々に晒しあげた。


 そして何より、彼等はなぜか自分達が栽培・密輸・販売していた薬物に、すっかり依存したとみられる状態で見つかった為、この事が、事件の何よりの動かぬ証拠となった。


 王国を薬物蔓延から救った王妃様は、多大なる貢献をしたと大いに評価された。



 また、彼等には娘がいたが、書類上はすでに娘は存在していなかった。そして、娘だったという令嬢は、事件が発覚した時には、既に夫人であった。



 だから、彼女はこの事件とは、無関係と判断されたのだった。


 こうして彼等は、ひっそりと…けれど、即刻処分された。



 立件の証拠を揃えた事も、男爵令嬢が廃嫡されて結婚している事も、彼等を使って、彼等の作った毒がどのような効果を発揮するのか調べた事も、全てベルトハイドがやった事であった。



▼△▼



 そして、忘れてはいけないのは、マーテル男爵夫妻は、他国にも爵位を3つ持っていた事だ。



 ベルトハイドは、男爵が爵位を持ち、裏取引を行っていたこれらの国に、情報を売りつけることで、巨額の利益と他国からの信頼を得た。



 どの国も薬物や不正取引等の、アンダーグラウンドな事件の処理には、同じ様に頭を悩ませているものだ。



 その甲斐あって、巨額の利益を得たベルトハイドは、第二王子派閥筆頭家門として、より強固な地盤を築いたのだった。

 
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