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第一話: 悲しみの部屋からの転生

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日本の現代、東京。窓を閉め切り、カーテンをしめた部屋で、横山太郎はほぼ何もせず、ただ時間を過ごしていた。彼は閉じられた世界で生きており、他人とのコミュニケーションを避け、外出も極力避ける孤独な生活を送っていた。高校生でありながら、学校に行くことはもはや遠い記憶に過ぎなかった。

太郎は部屋に引きこもり、過去の出来事を引きずっていました。彼の引きこもりのきっかけは、幼なじみの女の子、さくらに対する告白でした。
太郎:「さくら、君のことは昔から大好きだ。僕と付き合ってください。」

さくら: 「太郎くん、ありがとうね。でも、私は…ちょっと考えさせて。」

告白後、さくらからの答えは振られることとなり、太郎の心は痛みました。自己評価が低く、恥ずかしい思いをしてしまったことから、彼は自分を過度に責め、他人とのコミュニケーションを避けるようになりました。

その後、彼の部屋は彼の世界となり、現実から遮断されるようになりました。窓を閉め、カーテンをしめ、外の世界から遮断された部屋で、彼は孤独に時間を過ごす日々を送ることとなりました。

突如、彼の孤独な部屋に奇妙な出来事が起きた。部屋の一隅に、まるで魔法のように輝く桃が突如として現れた。それは一瞬の出来事で、太郎はそれが夢か幻かと思った。しかし、目を開けると、桃は実際にそこにあるのだった。

太郎は桃を手に取り、不思議な感覚が胸に広がった。そして、まったく予期せぬことが起こった。突如、彼はその部屋から引き裂かれ、次に目を覚ました時、彼は異世界にいた。

彼の身を包んでいた服装は一変し、現代の東京から遥かな過去の日本、桃太郎の伝説の時代に相応しい装いへと変わっていた。太郎は自分が異世界に転生したことを理解するのに若干の時間を要しました。

そして、その異世界で初めて彼の前に現れたのは、伝説の英雄、桃太郎そのものでした。横山太郎は新たな名前を授けられ、彼の前には伝説の仲間たち、おじいさんとおばあさん、さらには猿、雉、犬といった不思議な存在が姿を現した。

異世界の桃太郎としての役割が彼に託され、その世界で立ち向かうべきは鬼の脅威であった。しかし、彼の過去は引きこもりの生活であり、戦闘の英雄ではなかった。引きこもりの生活から抜け出し、現実と向き合う覚悟を持つ必要があった。

引きこもりの生活は、さくらへの告白への挫折から始まり、次第に彼を孤立させる壁となりました。しかし、異世界への転生を通じて、新たな冒険と成長の機会を得ることとなったのでした。

太郎が異世界に転生した直後、彼の前に現れたのは、伝説の英雄桃太郎の仲間たちでした。おじいさんとおばあさん、猿、雉、犬。彼らは太郎に、新たな使命を託けました。

おばあさん: 「おや、あなたが新たな桃太郎ですね。どうやら鬼の脅威が再びこの世界に忍び寄っているようですわ。」

太郎は驚きつつも、おじいさんの知恵とおばあさんの温かさに包まれ、猿、雉、犬ともすぐに打ち解けることができました。彼らは新たな冒険仲間となり、太郎は自分の新たな役割を理解しました。

やり取りの中で、彼らは共通の好物である「きび団子」について話すことがありました。

犬: 「ねえ、新しい仲間、きび団子って美味しいんだよ。」

猿: 「そうだ、きび団子の甘さともちもち感、たまらないよな。」

雉: 「ああ、私もきび団子が好きだ。でも、鬼が作ったものを食べるのは嫌だな。」

おじいさん: 「きび団子は、我々にとって特別な存在。それがこの国の文化の一部だ。」

太郎は彼らの話し合いを聞きながら、きび団子の美味しさと文化について理解しました。これが、彼らとの絆をさらに深めるきっかけとなったのでした。


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