もう遅い、勇者ども。万能支援職レオンは王国の柱となる

まっちゃ

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第二部 : 英雄と影の支配者編

第48話 「創造神の裁定:神界崩壊」

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アレンが完全に堕ち、地に沈んだその瞬間――
天の彼方から、まるで宇宙が悲鳴を上げるような震動が世界を貫いた。

王都の空が裂ける。
白銀の光が無数の雷のように走り、街の影を幾重にも引き裂きながら、
人々は恐怖に震え、神殿の者たちでさえ膝をついて祈り始めた。

そして、上空に巨大な門が現れる。

神界への門――“天裂門(てんれつもん)”。

レオンはその気配を見上げた瞬間、肌が焼けるような神威を感じた。

フィオナが息を呑む。

「来た……創造神が……ついに地上へ降臨するつもりなのね……!」

ユノは震える声で言う。

「レオン様……こんな……
創造神が本気を出したら、世界そのものが……!」

しかしレオンの瞳は微動だにしない。

「だからこそ、止める。
あいつは“創造神”ではなく“世界破壊の神”に成り果てている」

その言葉と同時に、天裂門から光の柱が落ちてきた。

大聖堂が一瞬で蒸発し、石畳が溶け、
王都の中央広場に巨大なクレーターが生じる。

そして――

そこに“創造神”が姿を現した。

かつては神殿の壁画に描かれた慈愛に満ちた姿。
しかし今のそれは、狂気と独善を孕んだ、異形の神。

四本の腕に王冠のような光輪。
声だけで精神を蝕むほどの圧。

「――此処に、裁定を下す」

その声が響いた瞬間、王都全体が押し潰されるような重圧に覆われる。

地面に伏せた人々の悲鳴が響く中、レオンだけが静かに立っていた。

創造神の目がレオンへ向けられる。

「支援者よ。
貴様は“人間でありながら神域へ踏み込んだ”。
それはこの世界の秩序を乱す“背信”とみなす」

レオンは一歩、前へ進む。

「神が人の自由を奪い、気まぐれで選別する方がよほど秩序を乱している。
おれは世界のために戦っているだけだ」

創造神は嘲笑するように声を震わせた。

「世界のため?
貴様は己の復讐心に飲まれ、勇者を堕とした。
それを“正義”と呼ぶか?」

レオンの胸に一瞬だけ痛みが走った。
だが、それでも瞳は揺らがない。

「アレンが堕ちたのは、おれのせいじゃない。
あいつ自身が選んだ結果だ」

創造神は四本の腕を広げ、天を覆うほどの光を凝縮し始めた。

「ならば証明してみせよ。
“神を裁ける”という傲慢を――」

シィンッッ!!

神の光線が王都全体を薙ぎ払う速度で放たれた。
地形が数秒で変わるほどの破壊。

だが――その前に立つレオンの身体に、光は触れなかった。

レオンの周囲だけが、完全に無傷。

フィオナの目が見開く。

「レオン……今のは、あなた……?」

レオンは静かに息を吐き、杖を構えた。

「――新支援術式《神域遮断(ディヴァイン・シェル)》
創造神の攻撃を、支援によって無効化した」

創造神が、はじめて動揺の色を浮かべる。

「人間が……神の術式を……?」

レオンの声が低く響く。

「これは神から授かった力じゃない。
“神が間違った時、人間が正すため”の力だ」

光と闇の間に立つレオンの姿は、誰の目にも“勇者以上”の存在だった。

創造神は咆哮し、神界の門を完全に開く。

天から神兵が降り注ぎ、王都を覆い尽くす。
その数は数万――否、数十万。

完全なる“神界侵攻”が始まった。

ユノが絶望の声を漏らす。

「こんな……無理です……!
レオン様でも……!」

だがレオンは振り返って笑った。

「おれは支援職《ユニバーサル・サポーター》だぞ?
――“なんでもできる”って言っただろ」

その瞬間、レオンの背後に陣が展開した。

《支援大陣:世界救済(ワールド・ブースト)》

王都中のすべての民、兵士、魔族までもが光に包まれ、
能力が数倍に跳ね上がる。

フィオナの魔力は桁違いに膨れ上がり、
ユノは神兵すら貫ける速度で風を操る。

そしてレオン自身の身体も、神の領域へ踏み込みつつあった。

創造神が叫ぶ。

「人間ごときが――!!
その身で神界へ干渉するなど、許されぬ!!」

レオンは、神の巨躯を真っ向から見据える。

「――許しを待つ気はない。
おれは、“守るために戦う”。
神だろうが関係ない」

レオンの支援杖が光を帯び、天へ突き上げられる。

「創造神。
あなたの“裁定”は――間違っている」

天裂門がさらに震える。光が暴走し、神界そのものがひび割れていく。

神が怒気に満ちた声を放つ。

「ならば見せてみよ!!
お前の持つ“真の支援力”を!!
世界の存亡を賭けた戦いだ!!」

レオンは静かに、そして確かに答えた。

「――望むところだ」

神と人間が真正面から衝突する瞬間、
王都を覆う光の幕が揺れ、
世界の未来が大きく揺らぎ始めた。
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