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1話
しおりを挟む「柳ちゃん!!聞こえる!?柳ちゃん!?」
聞きなれた看護師の声が頭に響き、強く体を揺さぶられる。
(聞こえてる…聞こえてるよ、吉澤さん…)
酸素マスクごしに口を動かすと、胸に滞留していた液体が逆流してきて、口から勢いよく飛び出してしまった。
赤い液体を口から吐き出した柳を見て、看護師達は更に慌ただしく動き出し、口々に医師の名前や医療機器の名前を叫びだす。
こんなにどバタバタとされれば、眉を顰めるほどうるさいはずなのに、何故かだんだんと全ての声と音が遠のいていく。
(くそっ、死んでたまるか死んでたまるか!!まだはるちゃんの舞台もリアイベにも行ってないのに!!ふざけんなふざけんな!!生まれてから17年間、まともにココから出たこともないまま死ぬなんて理不尽過ぎる!!私がなにしたってんだ!!むしろなんにもしてないだろ!!なんにもさせてくれなかっただろ!!ふざけんなふざけんな、神様がいるなら絶対に許さない。誰でもいい、どんな手を使っても復讐してやる!!)
心の中で恨みを吐きながら、柳は涙を流した。
こんなにも生きていたいのに、まるで電池を抜かれたおもちゃのように、自分の体が先に死んでいくのをひしひしと感じていた。
そしてついに瞼が重くなり、とうとう柳の目はなにも映さなくなった。
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