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1章
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「……れないで、……った時……」
夢の中で声がする。聞いたことがない声のはずなのになぜか、この声はあいつの声だ、と思った。
「忘れないで、あなたのコードを。本当に困った時、役に立つはず」
「あなたのコードは……!」
声とともに記号の羅列が点滅した。
「俺にしては頑張ったのに、中間テストの点あんまり伸びなかったなぁ」
自分の部屋のベッドで寝転びながらため息を吐く。成績表を親に見せるのがクソだるい。
「あー参ったなー」
まだ高校一年生だと言うのに、親が勉強勉強とうるさいのだ。
この間受験が終わったばっかりだっつーの。
スマホが鳴る。ベッドで上半身を起こしてチェックしてみると、知らないアカウントからメッセージが来ている。
「おめでとうございます! あなたは1万人目の当選者です。下記コードを入力して、スペシャル特典を受け取ってください」
なんだこれ? スマホゲームのスパムか?
「くだんね」
そう言いつつも、メッセージに書いてあるコードに目が釘付けになる。
CAPABLE - l ETC
なんかこれ、どっかで見たことがあるような……。
脳裏にあいつの声がフラッシュバックする。
「忘れないで、あなたのコードを……」
そうだ、夢で見たやつだ。いつの夢だ? そもそも、あいつって、誰だ?
なんだろう、夢と現実がごっちゃになってるのか、俺? 疲れてんのか……? 病院行ったほうがいいかな?
急激に不安になる俺。それなのに無意識に親指が動いて、メッセージにあるURLをクリックしていた。
リンク先のアプリストアが開く。そこのページには、エルフや巨人、小人のイラストが描かれている。そしてなんのタイトルも説明もなしに、「コードを入力してください」という文章のみが書いてある。
「なんだ、このゲーム? 変なページだな。アプリをインストールする前にコードを入力するのか?」
もうここまで来たら乗りかかった船だ。メッセージにあったコードを入力してみる。
もしこのコードが使えなかったら、このことはなかったことにしよう。そうしよう。
だって、恥ずかしいじゃん? 高一にもなって、「夢に出てきたのと同じコードが書いてあったので、スパムで送られてきたゲームアプリを試してみました」って! どこのアホの子ですか? って話だよ! いきなりクレジットカードの番号とか、暗証番号聞かれたりしたら、即行このページ閉じよう。
「そんなもん聞かへんわ」
「え?」
いつの間にか俺はスマホを握りしめて立っていた。周りには何もない。天井も、床も何もかも。あるのは一面の灰褐色の世界。
と、一個の狸の置物。ほら、蕎麦屋とかの前によくあるやつ。妙にリアルでちょい気持ち悪いんだよな。客引きっていうより、逆の意味で客を引かせてるんじゃないかと……。
「ちゃうわ。失礼やな、自分らの言葉で言う、神様みたいなもんや」
狸の置物のような丸々としたおっさんが、憮然と俺の前に立っている。
なんだなんだ。俺の心が読めるのか、こいつ?
「えーと、本人確認するで。蒼前一縷くん。名字がそうぜん、名前がいちる、でええかな。十六歳、高校一年生」
どこの面接か。
えーと。俺は辺りを見回す。俺、自分の部屋にいたよな。あ、そうか。いつの間にか寝てたのか。夢かこれは。
「もうええねん。その反応飽きたわ。もう何回も見てきたっちゅうねん」
丸っこいおっさんは渋い顔で手をパタパタと振る。
「はいはいはいはい、お約束」
……なんか、いらっとすんなー、こいつ。
「あんな、異世界転生希望者、多すぎやねん」
「は?」
「せやからな、あっちの世界の神様と相談してな。あっちととこっちの世界で、おんなじ人数だけ、交換することにしてん。ま、交換留学みたいなもんやな」
話についていけてない俺を放って、おっさんはどんどん話す。
「そんでな、チート能力もな、お互いにつけてたんやけど」
「チート能力?」
「いわゆる『俺TUEEE』ってやつやねん」
「いや、それは知ってますけど」
待て待て待て。ようするに、こっちの世界からあっちの世界に異世界転生する奴がいると。
「あんたもようさんテレビとか小説で見てるやろ」
「はあ」
「多すぎやろ」
「まあ。そうですね。それでもまあ同じテーマでも、売れるうちは続けておこうというビジネス戦略の一環でしょうね」
「あんたラノベ業界の営業さん?」
俺は自称神様の言っていることを必死に整理する。
「ええっと、つまり、こっちからあっちに異世界転生者がいるように、あっちの世界からこっちの世界にも異世界転生してきている奴がいると。それでその全員にチート能力つけてたと」
「最初はな」
「……それって、俺の知ってる有名人やスポーツ選手たちがそうってことですか?」
「全員ちゃうけどな。中には異世界転生者もおるなあ。
あ、もちろん、皆努力しとるんやで。しとるんやけど、元々の能力を底上げしとるんや。下駄履かしとるっちゅうことやな」
「そのせいじゃねえかあああ!!」
俺は思わず突っ込んでしまった。
「お前らがチート能力を異世界転生者につけるから、俺らが違う世界に行きたくなるんだろ!!」
自称神様は一瞬ぽかん、とした後、ポン、と手を打った。
「自分おもろいこと言うなあ。よっしゃ、もう一個チート能力つけたろ」
「座布団一枚! みたいな感じでチート能力つけるんじゃねえ!」
「いらんの?」
「いえ、いただきますけど」
「自分、変わり身早いなあ」
「……って、もう一個?」
「せやな、おめでとさん。自分は一万人目の異世界転送者やで。なんで、ホンマはもうチート能力つけへんことにしとるんやけど、自分には特別つけたる」
「はあ。ありがとうございます……?
って、俺、異世界に行きたいなんて言ってませんけど!?」
「何言うてんの。ずうっと思っとったやないかい。『あーつまんねえなあ。何か良いことないかなあ。どっかに行って面白いことしたいなあ』って」
「それは全国の皆さんが一度は必ず思うことだと思いますけど」
「そんな訳やから、わしに選ばれたことに感謝しいや。とんでもなく幸運なことやで」
夢の中で声がする。聞いたことがない声のはずなのになぜか、この声はあいつの声だ、と思った。
「忘れないで、あなたのコードを。本当に困った時、役に立つはず」
「あなたのコードは……!」
声とともに記号の羅列が点滅した。
「俺にしては頑張ったのに、中間テストの点あんまり伸びなかったなぁ」
自分の部屋のベッドで寝転びながらため息を吐く。成績表を親に見せるのがクソだるい。
「あー参ったなー」
まだ高校一年生だと言うのに、親が勉強勉強とうるさいのだ。
この間受験が終わったばっかりだっつーの。
スマホが鳴る。ベッドで上半身を起こしてチェックしてみると、知らないアカウントからメッセージが来ている。
「おめでとうございます! あなたは1万人目の当選者です。下記コードを入力して、スペシャル特典を受け取ってください」
なんだこれ? スマホゲームのスパムか?
「くだんね」
そう言いつつも、メッセージに書いてあるコードに目が釘付けになる。
CAPABLE - l ETC
なんかこれ、どっかで見たことがあるような……。
脳裏にあいつの声がフラッシュバックする。
「忘れないで、あなたのコードを……」
そうだ、夢で見たやつだ。いつの夢だ? そもそも、あいつって、誰だ?
なんだろう、夢と現実がごっちゃになってるのか、俺? 疲れてんのか……? 病院行ったほうがいいかな?
急激に不安になる俺。それなのに無意識に親指が動いて、メッセージにあるURLをクリックしていた。
リンク先のアプリストアが開く。そこのページには、エルフや巨人、小人のイラストが描かれている。そしてなんのタイトルも説明もなしに、「コードを入力してください」という文章のみが書いてある。
「なんだ、このゲーム? 変なページだな。アプリをインストールする前にコードを入力するのか?」
もうここまで来たら乗りかかった船だ。メッセージにあったコードを入力してみる。
もしこのコードが使えなかったら、このことはなかったことにしよう。そうしよう。
だって、恥ずかしいじゃん? 高一にもなって、「夢に出てきたのと同じコードが書いてあったので、スパムで送られてきたゲームアプリを試してみました」って! どこのアホの子ですか? って話だよ! いきなりクレジットカードの番号とか、暗証番号聞かれたりしたら、即行このページ閉じよう。
「そんなもん聞かへんわ」
「え?」
いつの間にか俺はスマホを握りしめて立っていた。周りには何もない。天井も、床も何もかも。あるのは一面の灰褐色の世界。
と、一個の狸の置物。ほら、蕎麦屋とかの前によくあるやつ。妙にリアルでちょい気持ち悪いんだよな。客引きっていうより、逆の意味で客を引かせてるんじゃないかと……。
「ちゃうわ。失礼やな、自分らの言葉で言う、神様みたいなもんや」
狸の置物のような丸々としたおっさんが、憮然と俺の前に立っている。
なんだなんだ。俺の心が読めるのか、こいつ?
「えーと、本人確認するで。蒼前一縷くん。名字がそうぜん、名前がいちる、でええかな。十六歳、高校一年生」
どこの面接か。
えーと。俺は辺りを見回す。俺、自分の部屋にいたよな。あ、そうか。いつの間にか寝てたのか。夢かこれは。
「もうええねん。その反応飽きたわ。もう何回も見てきたっちゅうねん」
丸っこいおっさんは渋い顔で手をパタパタと振る。
「はいはいはいはい、お約束」
……なんか、いらっとすんなー、こいつ。
「あんな、異世界転生希望者、多すぎやねん」
「は?」
「せやからな、あっちの世界の神様と相談してな。あっちととこっちの世界で、おんなじ人数だけ、交換することにしてん。ま、交換留学みたいなもんやな」
話についていけてない俺を放って、おっさんはどんどん話す。
「そんでな、チート能力もな、お互いにつけてたんやけど」
「チート能力?」
「いわゆる『俺TUEEE』ってやつやねん」
「いや、それは知ってますけど」
待て待て待て。ようするに、こっちの世界からあっちの世界に異世界転生する奴がいると。
「あんたもようさんテレビとか小説で見てるやろ」
「はあ」
「多すぎやろ」
「まあ。そうですね。それでもまあ同じテーマでも、売れるうちは続けておこうというビジネス戦略の一環でしょうね」
「あんたラノベ業界の営業さん?」
俺は自称神様の言っていることを必死に整理する。
「ええっと、つまり、こっちからあっちに異世界転生者がいるように、あっちの世界からこっちの世界にも異世界転生してきている奴がいると。それでその全員にチート能力つけてたと」
「最初はな」
「……それって、俺の知ってる有名人やスポーツ選手たちがそうってことですか?」
「全員ちゃうけどな。中には異世界転生者もおるなあ。
あ、もちろん、皆努力しとるんやで。しとるんやけど、元々の能力を底上げしとるんや。下駄履かしとるっちゅうことやな」
「そのせいじゃねえかあああ!!」
俺は思わず突っ込んでしまった。
「お前らがチート能力を異世界転生者につけるから、俺らが違う世界に行きたくなるんだろ!!」
自称神様は一瞬ぽかん、とした後、ポン、と手を打った。
「自分おもろいこと言うなあ。よっしゃ、もう一個チート能力つけたろ」
「座布団一枚! みたいな感じでチート能力つけるんじゃねえ!」
「いらんの?」
「いえ、いただきますけど」
「自分、変わり身早いなあ」
「……って、もう一個?」
「せやな、おめでとさん。自分は一万人目の異世界転送者やで。なんで、ホンマはもうチート能力つけへんことにしとるんやけど、自分には特別つけたる」
「はあ。ありがとうございます……?
って、俺、異世界に行きたいなんて言ってませんけど!?」
「何言うてんの。ずうっと思っとったやないかい。『あーつまんねえなあ。何か良いことないかなあ。どっかに行って面白いことしたいなあ』って」
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