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狐の嫁入り 其ノ壱
出会い
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「ねぇ、雨師のお兄さん。何かお話してよ。」
「僕も聞きたい!」
「俺も!俺も!」
古びた小さな家を子供達の楽しげな声が
満たした。
「お話?急に言われてもなぁ...。
面白い話なんかあったかなぁ?」
外の雨は一向に止む気配を見せない。
時折入ってくる隙間風がとても冷たくて、このままだと凍えそうだな、とぼんやり思った。
「いいじゃん、暇なんだもん。早くしてよ。」
黒髪の少年が口を尖らせて文句を言った。それに便乗して他の二人も口々にまくし立ててくる。
「はいはい、分かったよもう。仕方ないなぁ。うーん、そうは言っても何にしようかなぁ...。」
引き下がりそうにない彼らの様子に僕が先に折れた。
これは長引きそうだ、と囲炉裏に薪をくべながらこっそりため息をつく。
薪に火を灯せば部屋にじんわりとした温かさが広がった。
「じゃあ、僕の友人から聞いた話にしようか。幼い雨降り小僧が初めて雨を降らせた時の話。」
そう告げると美しい金髪の少女が身を乗り出してきた。
「わぁ、面白そうね。お兄さん、早くきかせて。」
「わかってるよ、そう焦らないで。
僕はあまり話すのが上手くないんだ。
今日だけの特別だよ?」
念押しして三人を見据えた。
「...それじゃあ、始めようかな。
雨がやむまで、ね。」
雨上がりの山に小鳥の鳴き声が響く。
湿った小道を一人の少年が歩いていた。
彼の名は時雨。
青い髪。青い瞳。色白な肌の華奢な少年だ。彼はどこにでもいるような普通の雨降り小僧だった。
...雨を降らせれないことを除けば。
「結構歩いたなぁ。もうそろそろ村についてもいい頃だと思うんだけど...。」
夜明けと共に故郷を出発してから歩き通してもう昼過ぎだ。
空腹と疲労で彼の体力は限界だった。
一度お昼にしよう、そう決めて彼は道の端に転がっていた大きな岩に腰掛けた。
持ってきた握り飯を取り出して食べる。
ゆっくりと味わいながら1つ目を食べたところで異変があった。
彼の背後の茂みが突然ガサガサッと音を立てたのだ。
慌てて振り返ったが誰もいない。
不審に思いながら立ち上がると遠くの方からきゃ、という短い悲鳴とどさっという鈍い音が聞こえた。
彼は慎重に茂みに近づいてその奥をを覗き込んだ。
「いたたた...。」
そこには一人の少女が着物にたくさんの土や汚れを付けて座り込んでいた。
艶やかな金髪を後ろで一つ結びにしている。頭には大きく柔らかそうな狐耳がついていた。
当然裾の乱れた着物からはふかふかとした大きな尻尾も。
紛れもなく妖狐だった。
「...えーっと、ねぇ君、大丈夫?」
其ノ弍へ続く...
「僕も聞きたい!」
「俺も!俺も!」
古びた小さな家を子供達の楽しげな声が
満たした。
「お話?急に言われてもなぁ...。
面白い話なんかあったかなぁ?」
外の雨は一向に止む気配を見せない。
時折入ってくる隙間風がとても冷たくて、このままだと凍えそうだな、とぼんやり思った。
「いいじゃん、暇なんだもん。早くしてよ。」
黒髪の少年が口を尖らせて文句を言った。それに便乗して他の二人も口々にまくし立ててくる。
「はいはい、分かったよもう。仕方ないなぁ。うーん、そうは言っても何にしようかなぁ...。」
引き下がりそうにない彼らの様子に僕が先に折れた。
これは長引きそうだ、と囲炉裏に薪をくべながらこっそりため息をつく。
薪に火を灯せば部屋にじんわりとした温かさが広がった。
「じゃあ、僕の友人から聞いた話にしようか。幼い雨降り小僧が初めて雨を降らせた時の話。」
そう告げると美しい金髪の少女が身を乗り出してきた。
「わぁ、面白そうね。お兄さん、早くきかせて。」
「わかってるよ、そう焦らないで。
僕はあまり話すのが上手くないんだ。
今日だけの特別だよ?」
念押しして三人を見据えた。
「...それじゃあ、始めようかな。
雨がやむまで、ね。」
雨上がりの山に小鳥の鳴き声が響く。
湿った小道を一人の少年が歩いていた。
彼の名は時雨。
青い髪。青い瞳。色白な肌の華奢な少年だ。彼はどこにでもいるような普通の雨降り小僧だった。
...雨を降らせれないことを除けば。
「結構歩いたなぁ。もうそろそろ村についてもいい頃だと思うんだけど...。」
夜明けと共に故郷を出発してから歩き通してもう昼過ぎだ。
空腹と疲労で彼の体力は限界だった。
一度お昼にしよう、そう決めて彼は道の端に転がっていた大きな岩に腰掛けた。
持ってきた握り飯を取り出して食べる。
ゆっくりと味わいながら1つ目を食べたところで異変があった。
彼の背後の茂みが突然ガサガサッと音を立てたのだ。
慌てて振り返ったが誰もいない。
不審に思いながら立ち上がると遠くの方からきゃ、という短い悲鳴とどさっという鈍い音が聞こえた。
彼は慎重に茂みに近づいてその奥をを覗き込んだ。
「いたたた...。」
そこには一人の少女が着物にたくさんの土や汚れを付けて座り込んでいた。
艶やかな金髪を後ろで一つ結びにしている。頭には大きく柔らかそうな狐耳がついていた。
当然裾の乱れた着物からはふかふかとした大きな尻尾も。
紛れもなく妖狐だった。
「...えーっと、ねぇ君、大丈夫?」
其ノ弍へ続く...
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