リボルバー・ジャズ

マルゾンビ

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第3話 -確認-

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ここまでの出来事が多すぎて、
今の状況が天国にいるような絶対的な安息がそこにはあった。
相変わらず左肩は動かすことも嫌になるほどの痛みだった。

ベッドの上でこの家の天井を見てる、
楽しみってのはこれだけか?
そんなことはないはずだよな?
「お前もって、わけないよな。」
獣に治療する人間はいない、でも馬は例外だろう。

「おい!誰かいるのか?」

そう叫ぶように反応を待った、
だけど静寂が続き、誰も居ないことは即座に分かった。
痛みを堪えながら身体を起こした。

「おーい!」

やっぱり反応はない、
よしベッドから出るか。

「まだ起きるな」って声に、
おいおいおいおい!脅かすなよ、
居るなら応えてくれよ、何だよじゃねぇーだろ。

彼は気にせず、銃弾の怪我、肩の脱臼、コヨーテの噛まれた足について説明してくれた。
肩は折れてなく脱臼による痛みだろうと、
そして銃弾の縫合、足の傷を気にしていた。
まだ立てない状況だから、無理をするなと。

「助けてくれてありがとう、礼を言う、馬は?」

馬ならバッチリだよと、その声を遮るように。
「この猫は?」

うん、猫?なんだ?それがどうした?

「おいおい、獣ってだけでこいつを無視してたのか?」

そんなことじゃないがネズミと一緒だ?何かあるか?だとよ、これは困ったもんだ。

取り敢えずこいつも俺の相棒だと伝え、傷口を見てくれと言った。
渋々彼は、猫を治療してくれた。

それから二週間後。

身体の痛みは殆どないが、
やはり肩に違和感がある。
まだ完治には至ってはいないのだろし、
肩が治るまでこの村で時間を潰さないといけない。

まずは馬の調子、猫の様子、銃の機嫌、ホルダーの位置を順に調べた。
「猫か…笑えるな。」

俺は対象物を置き、銃との照準を確かめたが、
「最悪じゃないか。」
それは対象物にも当たらない始末。
「これは参ったな。」

肩の違和感は思ったより酷かった、
俺は何発か連続で撃ったがそれは同じ結果だった。

「ドレーク、まだやめとけ、ほら。」

分かってるが時間はあまりない気がする、
"スライリー"あのクズが更に遠くに行っちまう。

今は調子が戻るまで待て、と。
彼の助言として受け止めよう。
家に招くようにそこに入ると、ウイスキーを俺に出してくれた。

グッと飲むと、
黒猫がこっちをうらめしそうに見ている気がした。

「ほら、お前も飲むか?冗談だよ、そうだこいつに餌食わせたか?」と聞くと、いや、と帰ってきた。

「俺の食べ物もこいつに分けてくれ、
これは獣じゃない、そうだな、名前はホープだ」

悪いがこれはネズミじゃない、黒猫だ、
今からホープがこいつの名前だ。



次回に続く。
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