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⑩気付き(響side)
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僕の心には、いつからか『もう一人の自分』と言う
存在があった。
始めは、微かに。
だけれども、鮮烈な存在。
事ある毎に、見覚えの無い場面に彩りを与え続ける。
もう一人の自分は、伯明先生を求めている。
名前を呼ぶ。
僕には、容易には出来ない事を平気でやろうとする。
押さえつけようとして、僕は僕であり。
もう一人の存在を無意識に阻もうとし続けた。
仕事が終わって、事務所に帰ると施設長が僕に
いつもまとわりついて来る。
理由は、薄々理解していた。
僕の魔法事故に関する記録を利用しようとしていると
他の職員さんに聞いている。
僕の実家、いや。
義弟や義母に揺さぶりを掛けようとするかもしれない。
いっその事、僕はもう『表の世界』では居ない・存在を
消してもらえた方が、気が楽かもしれない。
伯明先生に、この事を相談すれば
何かしら提言はしてくれるんじゃないか。
気が休まらない。
今日も自分の用意された部屋に戻って、眠りに就く事にする。
さっき、お風呂に入った時の事を思い返す。
優しいラベンダーの香りが、薄く眠気を誘って。
このまま余計な心配もないまま
眠りに落ちたい。
『こんな事しても、思い出せる訳…無いのに。』
何度も名前をもう一人の自分が呼ぶから。
いつしか、僕は伯明先生の事を想う様になっていった。
暗がりの中、ベッドの上で仰向けになって手のひらを胸の上に置く。
鼓動がありありと伝わる。
瞳を閉じると、伯明先生の姿形を思い浮かべる。
体の奥がじわりと熱くて、膝を抱く。
『博明……』
不意に出た声、名前。
この湧きあがる様な熱のやり過ごし方が分からなくて、
時々怖くなる。
枕に顔を預けて、何故かにじむ涙に心を傷付けられる。
伯明先生の家に泊まった。
初めての事で、なかなか寝付けず朝を迎えたのだった。
いつもと同じ終業時刻に解放された。
あまり現実味が無い。
明日は、伯明先生が少し遠出をするらしくて
休みを言い渡されている。
内心ホッとした、気恥ずかしくて昨日の今日では
会うのを躊躇ってしまう。
存在があった。
始めは、微かに。
だけれども、鮮烈な存在。
事ある毎に、見覚えの無い場面に彩りを与え続ける。
もう一人の自分は、伯明先生を求めている。
名前を呼ぶ。
僕には、容易には出来ない事を平気でやろうとする。
押さえつけようとして、僕は僕であり。
もう一人の存在を無意識に阻もうとし続けた。
仕事が終わって、事務所に帰ると施設長が僕に
いつもまとわりついて来る。
理由は、薄々理解していた。
僕の魔法事故に関する記録を利用しようとしていると
他の職員さんに聞いている。
僕の実家、いや。
義弟や義母に揺さぶりを掛けようとするかもしれない。
いっその事、僕はもう『表の世界』では居ない・存在を
消してもらえた方が、気が楽かもしれない。
伯明先生に、この事を相談すれば
何かしら提言はしてくれるんじゃないか。
気が休まらない。
今日も自分の用意された部屋に戻って、眠りに就く事にする。
さっき、お風呂に入った時の事を思い返す。
優しいラベンダーの香りが、薄く眠気を誘って。
このまま余計な心配もないまま
眠りに落ちたい。
『こんな事しても、思い出せる訳…無いのに。』
何度も名前をもう一人の自分が呼ぶから。
いつしか、僕は伯明先生の事を想う様になっていった。
暗がりの中、ベッドの上で仰向けになって手のひらを胸の上に置く。
鼓動がありありと伝わる。
瞳を閉じると、伯明先生の姿形を思い浮かべる。
体の奥がじわりと熱くて、膝を抱く。
『博明……』
不意に出た声、名前。
この湧きあがる様な熱のやり過ごし方が分からなくて、
時々怖くなる。
枕に顔を預けて、何故かにじむ涙に心を傷付けられる。
伯明先生の家に泊まった。
初めての事で、なかなか寝付けず朝を迎えたのだった。
いつもと同じ終業時刻に解放された。
あまり現実味が無い。
明日は、伯明先生が少し遠出をするらしくて
休みを言い渡されている。
内心ホッとした、気恥ずかしくて昨日の今日では
会うのを躊躇ってしまう。
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