【クソ彼氏から離れらんなくて】⑤クソ彼氏に振り回される日々。

あきすと

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朔の部屋の冷蔵庫

引っ越しの荷物が届いたのは、朔のタガが外れた2日後だった。
案外、箱の数も少なく済んでいるみたいでホッとした。

残暑厳しい、週末になんとか2人で作業をしながら
その日の内には、人が寝れるほどの状態に持って行かせた。
しばらく、水を出して電気の確認やトイレの水の確認なんかを
終えて、ひと段落つく。

「おい、冷蔵庫は?」
『…いらなくない?』

「え、何で?お前まさか…コンビニが俺の冷蔵庫とか、クソ発言止めろよ?」
『心外…。俺は、悪いけど央未よりかは料理美味いんですけど。』

あ、大体の考えが読めた気がした。
「寝床にするつもりだな。この部屋。俺の部屋をメインにしてるだろ。」
『…俺は、央未に言ったから。結婚したいくらいには、お前が必要だって。』
これは、喜んでいいのか。悪いのか。

「ややこしい奴。」
『仕事はお前の部屋でするのは、止めとくよ。資料運んだり移動させるのも面倒だから。』
「とりあえず、よかったよ。落ち着いたみたいでさ。」
『こっちに住めば、ちょっとは俺も落ち着くとは思うんだけど…』
「あっちに居た時は、仕事人間だったんだろ?あらゆる煩悩からも逃れて」

朔の部屋の窓を開ければ、すぐに冷たさの混じる風が
部屋の中に入り込んだ。
『心境変化する暇も無くて、ただ目の前の事にだけ集中できるってのは、あんまり無い機会だったから
3年間は、無駄じゃなかったよな。くすぶってたのは、自分でも感じていたし。』
「朔は、変化に強いって思ってた。新しい事も、すぐに溶け込めるって…」

朔の本心は、帰国してから一気にあふれ出す形となっていた。
自分でも、あんまり自制が出来ているとは言い難い。
揺れていたんだな、って今なら思える。

『央未とこのまま、ずっと居る未来も考えるし…分からない。』
「いや、お見合いあるんだろ?どーすんだよ。」
『俺も、家の為に顔を立てる事もしなきゃいけないんだろうけどーーー。』
「あんまり、誰かを傷つけるのは…恨みを買うだけだからな。」

朔は畳の和室に、ゴロンと寝そべって呟く。
『めんどくせぇ…央未ぃ…』
「知らないって…。朔は顔と外面だけはいいからさ、好かれたりして?」
『…ありうるね。俺、声かけやすいって言われるモン。』

はぁー、とため息が出た。
朔は、どこまで行っても朔でしかなく。
顔に出っちゃってるんだけどね。まんざらでもないって、表情が。
ずりずり、と猫の様に歩いて朔の頬にキスをした。
「この、浮気もの…」
『俺?俺のせいなの?成猫ちゃぁぁん』
「…何だよ、成猫って…まったく、お前は。」
『俺はね、目の前の子が好きなんだけどなぁ…なかなか、周りが俺を放っておかないのは、何でなんだろう。』

ぐぐっと、朔になすりつく。
あぁ、ちゃんと心臓の音がしてる。
安らぐなぁ…。いい加減でテキトーで、根っからの女好きの朔が
何故か、こんなにも愛おしいのだ。
『まぁ、オッパイ目当てで行くつもりで、行ってくる。』
「和装かもしれないだろ?」
『ぇー、洋服のが良い。和装は、脱がすの大変そうだし』
「朔みたいな下世話な妄想膨らませて、お見合いに来る奴も珍しいだろうな、今どき。」

寝っ転がっている朔が、俺の胸部をまさぐって
腹立つ笑顔で、見つめて来る。

『でも、央未の胸は俺のせいで…ちょっと指先をかすめれば、ほら』
「へんたい…止めろ、ばか。」
両手で、押し上げられるように触る朔は
なんだかとても楽しそう。

『俺は、央未の胸…最近柔らかくなった気がする。』
「朔が触りすぎるから…そうだよ、最近、服に擦れるだけでも気になってるのに」
『マジで?俺とブラ買いに行く?』
「…せめてネットで買わせろよ。」

折り重なるみたいに、朔の体の一部に触れながら
俺も横になってくっついてみる。

心地いいなんて、超えていて
当たり前にさえ思えた。

手を繋いで、視線を絡ませると
朔は静かに笑った。
『どうして、俺と央未って…こんなにも触れ合いたいんだろ』
「足りない気がするから。昔は、もっと…朔とは心で繋がれていたはずなのに。」
『それ、分かる気がする。俺と、央未はさ…一回ほどけちゃったんだな。だから、物理的にもっと
前よりも繋がっていないと不安なんだよ。』

似てるようで全然違う、同性の体を抱いたり
抱かれたり。
この先に、何かある様な気もするし
何もない気もする。

ただ、現実を続けたくて。今が一番大切なのだ。

「思春期の頃は、ある意味では精神性が上回っていた。来る二次性徴期を心の奥底で拒んだり
大人になる事へのささやかな抵抗もあったから。」
『朝、パンツが湿ってる現実には俺も正直…自分に罪悪感を抱いたね。』
「切り離して、考えられなかったよ。俺は、」
『央未が、俺を目覚めさせてくれたからね。』
「…どういう事?」
『お前が、昔、祭りの日に俺の家に泊まりに来たコトあっただろ?』
「あ、朔は綿菓子作ってた。」
『あの日の晩、俺の体に起きた変化は…いまだに覚えてるし。』

朔が、俺を性的に見てしまうきっかけを与えてしまったのは
俺だと言う。

「スケベな夢見てるからだろ、まったく。」
『ところてん食べてる夢だった。』
ん?その夢のどこが
「スケベ、でも無さそうな夢だな?」
『いや、俺からすれば…充分だった。』

いい大人の会話としては、あまりに品がない気もするけど。
「まぁ、俺も人のこと言えないしなぁ…」
『へー?央未でもそんな夢とか見たるするのか?』

「俺のはねー、スゴイよ。相手がまず、人じゃないんだ。」
『さすがは、俺の性の目覚めをもたらした央未…!』
「自慢じゃないけど…ね、まぁでも、これ以上は言わない。」
『けちー。別に減るもんでもナシ』
「さぁて、換気も済んだし…。」
『部屋、戻るのか?』
「うん。夕飯作らないとだし」
『壁、俺はやっぱりぶち抜くべきだと思うんだよな。』

「馬鹿言ってないで、手伝ってくれるんなら一緒に食べてけばいいよ。」
『そうする…央未もついでに食べるし』
朔ほどの長身が畳に寝ていると、ものすごい存在感で
起きあがっても、圧はあった。
襖に届きそうな身長でありながら、昔から
朔の動作は、それほど素早くもないし
どちらかと言えば、まったりとした性格で
一緒にいても、ホッとできる。

「勝手に決めるな…。」
『まだ…痛かったりする?』
ぽそっと朔が俺に、耳打ちするように
たずねて来た。

痛いと言うよりかは、けだるい。
揺蕩っているみたいな、緩やかさのある
疲労感が、確かに今でも体には残っていた。

「朔は、悩みがあると荒くなるからな…。俺、聞くしかできないけど。たまには相談?とかも
してくれていいんだからな。」
『ありがと。俺は、央未と居れれば他の事は、あんまり興味ないんだけどね。』
「とりあえず、お見合いは行くんだったら、それなりの覚悟持って行けよ?」

『はーーい。』

こいつ、分かってんのかな?と言いたい所だったけど
朔も、子供じゃあるまいし。
相応の良識を持って挑むことだろう。と、
この頃の俺の考えは

どうやら、全然見当外れだったという事を
後に知る事となる。
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