酔いの夢の中では恋人

あきすと

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「ねー、守岡さん?もしかして久し振りに帰って来た部屋が…相当に
きちゃなくって、大変な事になっていませんでした?」
いつまでも洗面所でイチャイチャしている内に
守岡さんがくしゃみを一つした。

『ココは今、梅雨なんだって思ったら。帰る時期もズラそうかと思った。』
「湿気で、髪がうねっちゃうしね。」
『そうそう、夏も鬱陶しいと思ってた。けど、煩わしい事から逃げるのは
案外いつだって出来るんだよな。』

「嬉しい、やっぱり。お帰りなさいって言えた。ずっと待ってた。」
『頼智くんは、重たいのさ。俺はキミの何?恋人?違うでしょ。』
「…じゃ、ぁ…恋人にしてよ。守岡さん。」

鏡越しに、守岡さんを見つめる。
俺の今にもしょげてしまいそうな顔も、守岡さんに見られている。
『肩書きって、そんなに欲しい?』
「だって、無いと俺は何なのか分からないよ。」
守岡さんは、少し考えてから俺を抱き上げて廊下を歩きだす。
リビング、かな?行き先は。

それとも気を悪くして部屋に帰るのか。

『何でも良い。俺のお隣さんだろ?時々キスしたり一緒に寝る、仲良しさん。』
「…えーーー。セフじゃん。」
『恋人って肩書が欲しければ、別にあげるけど?でも、大事なのは肩書じゃなくってさ。』
言いたい事は、確かに分かるし。伝わって来る。

中身が大事なら、外見の装丁も…俺はワガママだから
同じくらい大事にされたいと願ってしまう。

「あんまり、しつこく言わない様にって思ってたのに。」
『はぁ、確かに頼智くんはしつこいっぽいね。』
「ガーッ!分かってるよ!…でもさ、しょうがないでしょ…俺は守岡さんが好きなんだよ。」
『うんうん。それは伝わってる。有難う。』

抱き上げられたままキスをした。
守岡さんは、少しだけ困った顔をして俺を床に静かに下ろした。
『俺は、できればこの世に残すものを少なくして人生は終わりたい。』
「…そんな、しんじゃう様な事言わないでよ。」
『俺だって、頼智くんだって明日必ず目を覚ます保証なんてのは、どこにも無いんだ。』
「だからって、あんまりにも破滅的すぎない?考え方が。」
『俺は結婚も子供も、そういった選択肢の枠から外れた気で…折角生きて来たのになぁ。』

視線がいつもどこか遠い気がしていた。
今年の冬あたりよりか、一層
守岡さんを遠くに感じる。

帰国して、すぐに来てくれたって思ってるけど。
相変わらず、心には靄が掛かってるみたいに見えない。

「生きてよ、守岡さん。今にもどっか行っちゃいそうな顔してる。」
『…頼智くんだって。俺に酔っぱらって自暴自棄な姿晒してただろ?アレこそ、酷かったし。』
「俺の酒の話はいいんだよ。趣味みたいなモンだから。」
『ふーん?』
何か言いたげにしながら、適当に俺の耳を触る。
優しそうなタレ目。

「何だよ…」
『いや~?やっぱり誰とでも、ああなんのかなぁって。思っただけ。』
断固として、違う。
そこまで、ほいほい開けっ広げな性質では無い。
「あのさ、俺…こーんなに?重いのに守岡さん以外の事想ってそうに見える訳?」

ソファに座った守岡さんを見て、ため息が出た。
とりあえず、お茶の一杯でも出そうと冷静になる。
『確かに~。』
「ね、ね、お茶淹れるんだけど温かいのと冷たいの、どっち?」
『丁度のが良い。…あ、冗談。で、コレ淹れてみなよ頼智。』

ふふふ、と守岡さんが上に着ていた羽織の袂から
封筒程の大きさのものを取り出す。
「お茶、なの?」
『うん、そう。味は平凡。香りは極上。』
「あ~、言いたい事分かるカモ。あるよね、そういうフレーバーティー。」
ほい、と投げられるかと思ったらちゃんと手渡されて
キッチンで並んで立つ。
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