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同じ時間に居る気がしないのは。

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同じ場所に居ないからだと、つまらない考え事をしていた。

来月になれば、裕乃がやって来る。


スマホには裕乃からポイポイと色んな旅に関する

情報が送られてきて、いかにも楽しみにしてくれているのが

良く伝わって来る。


楽しい。その旅の一部に自分も含まれているのかと

思うだけで嬉しくて、子供みたいにワクワクもドキドキもする。


最近、少し伸ばしっぱなしにしていた髪を切りに行きたくなった。

同級生の家でいつも髪を切って貰っていた。

染髪もしてもらって、夏らしく髪も気持ちも軽くしたくなる。


帰郷した報告も、わざわざする必要は無いかと思いつつも

その同級生には電話をして、話していた。

今は、他県にいるらしくてオジサンに伝えてくれる事になった。

理美専に通う同級生は、今とある美容院にてアシスタントとして

修行中らしく、なかなか忙しそうだった。


ふと、裕乃の事が頭によぎる。

あの愛おしいコンプレックスをなんとか

出来ないかと悩む姿に、同じ様に自分も心を砕いて

ただ、愛おしいんだなんて。


まだ、年数で言えば付き合って日が浅いと言える。

でも自分の中での想いは日々煮詰まっていくばかりで

単純に辛い。


一応、付き合ってるんだよな?

自問する。

はぁー、駄目だ一人で居るとおかしな妄想に走りそうで

不健全極まりない。


裕乃が居ればそれは、それでまた不健全に転じてしまいそうではある。

本人の居ない所で、また今夜も悶々としながら

夜は早く眠りにつく事にした。
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