屋敷でゴミのように扱われた私ですが、今日報われます

小烏 暁

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白髪の男

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    外は暗く、静寂に包まれた世界…まるで今の私の気持ちそのものだ。
    そんな暗い気持ちのまま、私はいつもの場所へ向かう事にした…あの場所は私が唯一体を休められる場所、いつの間にか私の足はその場所へ歩き出していた。

「……」

    私が着いた先は湖、月の光が湖に反射して、まるで双子の月が出迎えてくれているようだ。

「ここで…溺れて死ぬのも良いかもしれない…」

    死ぬ事しか考えられなくなった私の頭を横に振って邪念を払う。

「だめよ…溺れて死ぬなんて考えちゃ…!生きなくちゃいけないでしょ…お父様やお母様の為にも」

    私は落ち着くべく靴を脱いで湖に足をつける。
    冷たい水が私の足を優しく包み込むような感覚に包まれていく。

「気持ちいい…」

   そういえば前にもお父様とお母様の二人でこの湖に来たことを思い出した、あの頃は本当に楽しかった…今の私の姿を見たら、両親はどう思うのだろうか。

「……」

    まずいわ、また涙が溢れてきちゃう。
    必死に目頭を押さえて我慢する。
しかしこれまでの我慢がピークを迎えたのだろう。
    耐えられなくなった私はまた涙を流していた。

「う…ひぐ…」

    私が泣いている時、奥の茂みから『ガサガサッ』という草むらを掻き分けるような音が聞こえた。
    私は驚いて涙を止めてしまう。

「だ、誰かいるの?」

  目をゴシゴシと擦って涙を拭き取り、掠れた声で問いかける。

……返事はない。どうやらただの風の音で勘違いだったようだ。

    私は音がした方から目線を外し、水面に移る自分を見ようとした。

「…ひゃ!!」

   おもわず変な声が出てしまった彼女は後ろを振り返る。

   そこには白髪をなびかせた清楚な男が私の背後に立っていたのだ。

「…だれ!なの?」

「……」

   男からの返事はなかった。

「…もしかして、喋れないの?それとも言葉が通じない?」

    彼の髪色はこの地域の人間の色ではなかった、おそらく別の地域、もしくは遠い国から来た者だろう。
   

「喋れるぞ?」

    そんな考察をしている私に向かって白髪の男は呟いた。

「ひゃぁ!!急に声を出さないでください!」

   はっ!驚きのあまり声を荒らげてしまった…!

「む?すまない…もう喋らないようにする」

   そう言った彼は、無言で私を見つめる。

「え…と、驚いただけですから…喋ってもいいですよ…?」

「そうか?それなら喋る」

    彼は表情を変えずに真顔で私の問いに答える、まるで人形と話しているような気分になってきた…人形と話したことないけど。

「そんな所で立っているのもなんですし、座ったらどうですか?」

「む?分かった、座ろう」

   彼は従順な子犬のように命令には忠実だった。

「……」

「……」

    き、気まずい…
    それから数十分と時間が経つが、一向に話さない二人。

「あ、あの、」

私はそれに耐えられなくなって口を開いた。

「あなたは一体何者ですか?」

「しがない旅人だ、お前の方は?」

「……しがない家畜ですよ……」

    思わず口に出してしまっていた。
    いつも姉からは豚か家畜かゴミと言わされていたので、その紹介が私にとって当たり前になってしまっていた。
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