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36つかの間の……
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エミリアは、王に約束した通り、クレイスを診察するためにその部屋を訪れていた。エミリアの後ろには護衛としてイリスが控えている。
「さっそく始めさせていただきますわ。クレイス様、頭の中に声が聞こえるようになったのはいつ頃ですの?」
「お前が突然セリーナの傷口を洗ったり、屋敷にこもって何かやり始めた頃からだ」
(ということは、私が転生したのと、クレイス様の頭の中に声が聞こえ始めたのは同じ時期ってことか)
「その声は、どんな事を言っているんですの?」
「最初は、お前がセリーナにした数々の悪行を繰り返し説明してくるだけだった。最後は決まって、お前が考えている通り婚約破棄しろ、と言っていたな」
「だから私との婚約を破棄したと?」
「それは私の意志だ。おそらく、だが……」
「婚約破棄しておいて、随分曖昧ですわね」
「この頃から、私は自分の行動が自分の意志によるものなのか、声の意志によるものなのか分からなくなっていた」
「ならなぜ、誰にも相談しなかったのですの?」
「こんなこと、誰に相談すればいい? 相談したところで、気が触れたと思われて終わりだ」
「それは……そうかもしれませんわ」
「だろう? 今だって、私はお前が私の言うことを信じているとは思えない。もし私がお前の立場だったなら、都合のいい言い訳にしか聞こえないからな」
(確かに、クレイス様の言うことももっともね。わけのわからないことを言って、責任逃れをしているようにも見える。でも……)
「信じますわ。私の知っているクレイス様は、こんな愚かな方ではなかったはずです。婚約破棄の件にしても、今回の件にしても、私の知っているクレイス様なら、途中で思いとどまっていたはずですわ。自分が決めたことでも、間違いに気がつけば、それを撤回できる。クレイス様はそういう方ですわ」
「エミリア……」
「ふふっ、今さら私の魅力に気付きましたの? 残念ですが、もう一度クレイス様と婚約する気はありませんわ」
エミリアが冗談めかすと、クレイスそれを鼻で笑う。
「はっ、私も今さらお前と婚約し直そうとは思わない。だが…………」
クレイスはゆっくりとエミリアに向き直る。
「…………私の言葉を信じてくれたことは、感謝する。私がお前にしたことを考えれば、見捨てられて当然だろうに」
「本当ですわ。私の寛大さに感謝して欲しいですわ」
「ああ。ありがとう」
「…………そう素直にお礼を言われると、調子が狂いますわね……。まあいいですわ。診察は以上です。私を前にして、これだけ普通に話せているのであれば、私の知っている病の可能性はほとんど無いと思いますわ」
「では私の頭に聞こえていた声は何だったのだ?」
「わかりませんわ。病でないなら魔法ではないかと思いますが……あいにく私は魔法に明るくありませんわ」
「魔法……人の頭の中に声を響かせる魔法自体は存在する。しかし、その程度の魔法に操られるほど私の精神は弱くないと思うが」
「それこそ知りませんわ。このことは私から陛下にお伝えしておきますから、後は王宮魔道士にでも聞いて下さいまし」
エミリアはそれだけ告げて、クレイスの部屋を後にし、王に報告してから公爵邸へと戻った。
「お父様、戻りましたわ」
「クレイス殿下の様子は?」
「病ではありませんわ。魔法か何かの影響を受けていたのではないかと思いますが、魔法は私にはわかりませんから」
「そうか……陛下も心配だろうな……」
「お父様、今は陛下の心配をしている場合ではありませんわ」
エミリアは王からの手紙を公爵に渡す。
「イリス姉様、いいんですわよね?」
「ええ。覚悟はできたわ」
「そういうことですわ」
「いや、どういうことなんだ? 全く話が見えてこないのだが……」
「その手紙を開けてくださいまし」
「これは……陛下から私に、か」
公爵は封書を開き、中の手紙に目を通す。
「………………そういうことか。イリス、お前はこの話を受ける気なのだな?」
「はい、お父様。イヴァン王子殿下には色々とご恩もありますから。それに、イヴァン王子殿下が公爵家を継いでくだされば、エミリアがジュード様のところに嫁ぐことができますし」
「ちょっ、ちょっとっ!? イリス姉様、突然何を……」
「あら、嫌だったかしら? てっきりあなたは、ジュード様と結婚したいものだと思っていたのだけれど」
「それは………………その…………」
「ということで、お父様、私はこのお話をお受けするつもりです。後はお父様のお許しをいただければ」
貴族の婚約とは通例、親同士行うものだ。王族であってもそれは例外ではない。王からの「貴殿の娘のイリスに私の息子イヴァンとの婚約を申し込む」という書状に、公爵が受け入れる旨の返事をしなければ、婚約は成立しないのだ。
通常であれば、王族からの婚約を断る貴族はいないため、形式的なものではあるのだが。
「お前が受け入れると言うのであれば、私が断る理由はない。しかしイリス、本当にイヴァン王子殿下と婚約することに反対ではないのだな?」
どうやら公爵は、エミリアがクレイスから婚約破棄されたことで、婚約の申し出を受けることに慎重になっているようだ。
「安心して下さい、お父様。しっかり考えて、その上での決断です。イヴァン王子殿下は、とても優しい殿方ですよ」
「お前がそう言うなら私から反対する理由は何もない。しかし、するとまた別の問題がある」
「別の問題? なんですの?」
「お前の護衛だ、エミリア。今までは、イリスが1人で行っていたが、イリスが正式に公爵家長女となるなら、そうもいくまい」
「別に私は構いませんよ?」
「イリス、お前が構わなくても周りが構うのだ。お前が怪我をしたら、共にいた者たちの責任になるのだぞ?」
「それは、確かに……」
「まあいい、その点は私の方でなにか手を打っておく。ひとまず今回は、暫定措置としてイリスがエミリアを護衛して領に戻れ。2人が公爵領に着いた頃を見計らって、諸々の発表を行う。こちらが発表を行うまでは、イリスはあくまで使用人のままだ。忘れるな」
「わかりましたわ」
「かしこまりました、旦那様」
アルコールの生産が禁止されたことから始まった一連の騒動は、ようやく幕を閉じた。これから領に戻り次第アルコールの生産を再開し、王の支援でのアルコールの増産の準備もしなければならない。コ◯ナまでにやることは山積みである。しかし、王の協力が取り付けられた事で、コ◯ナへ対抗する目処が立ったことは大きな収穫だ。
(これから大変ね……帰りの馬車の中でくらいゆっくりしたいわ……)
馬車に乗り込むなりエミリアは寝てしまった。
王都を出発してから4日目のこと。あと1日で公爵領に着くということで、エミリアの馬車に慌てた様子の兵士が手紙を持ってやってきた。
「お嬢様、起きてください。というか、よくもまあこう何日も何時間も寝れますね……」
「んんっ……ふぁあああ。どうしたのイリス、もう領都?」
「そんなわけ無いでしょう。後1回は宿に泊まらないと……ではなくてですね……。お嬢様の宛のお手紙です」
馬車に手紙というおかしな状況に、エミリアの意識は一気に覚醒する。
「私宛に? しかも馬車に?」
受け取った手紙を見て、エミリアは言葉を失った。
「さっそく始めさせていただきますわ。クレイス様、頭の中に声が聞こえるようになったのはいつ頃ですの?」
「お前が突然セリーナの傷口を洗ったり、屋敷にこもって何かやり始めた頃からだ」
(ということは、私が転生したのと、クレイス様の頭の中に声が聞こえ始めたのは同じ時期ってことか)
「その声は、どんな事を言っているんですの?」
「最初は、お前がセリーナにした数々の悪行を繰り返し説明してくるだけだった。最後は決まって、お前が考えている通り婚約破棄しろ、と言っていたな」
「だから私との婚約を破棄したと?」
「それは私の意志だ。おそらく、だが……」
「婚約破棄しておいて、随分曖昧ですわね」
「この頃から、私は自分の行動が自分の意志によるものなのか、声の意志によるものなのか分からなくなっていた」
「ならなぜ、誰にも相談しなかったのですの?」
「こんなこと、誰に相談すればいい? 相談したところで、気が触れたと思われて終わりだ」
「それは……そうかもしれませんわ」
「だろう? 今だって、私はお前が私の言うことを信じているとは思えない。もし私がお前の立場だったなら、都合のいい言い訳にしか聞こえないからな」
(確かに、クレイス様の言うことももっともね。わけのわからないことを言って、責任逃れをしているようにも見える。でも……)
「信じますわ。私の知っているクレイス様は、こんな愚かな方ではなかったはずです。婚約破棄の件にしても、今回の件にしても、私の知っているクレイス様なら、途中で思いとどまっていたはずですわ。自分が決めたことでも、間違いに気がつけば、それを撤回できる。クレイス様はそういう方ですわ」
「エミリア……」
「ふふっ、今さら私の魅力に気付きましたの? 残念ですが、もう一度クレイス様と婚約する気はありませんわ」
エミリアが冗談めかすと、クレイスそれを鼻で笑う。
「はっ、私も今さらお前と婚約し直そうとは思わない。だが…………」
クレイスはゆっくりとエミリアに向き直る。
「…………私の言葉を信じてくれたことは、感謝する。私がお前にしたことを考えれば、見捨てられて当然だろうに」
「本当ですわ。私の寛大さに感謝して欲しいですわ」
「ああ。ありがとう」
「…………そう素直にお礼を言われると、調子が狂いますわね……。まあいいですわ。診察は以上です。私を前にして、これだけ普通に話せているのであれば、私の知っている病の可能性はほとんど無いと思いますわ」
「では私の頭に聞こえていた声は何だったのだ?」
「わかりませんわ。病でないなら魔法ではないかと思いますが……あいにく私は魔法に明るくありませんわ」
「魔法……人の頭の中に声を響かせる魔法自体は存在する。しかし、その程度の魔法に操られるほど私の精神は弱くないと思うが」
「それこそ知りませんわ。このことは私から陛下にお伝えしておきますから、後は王宮魔道士にでも聞いて下さいまし」
エミリアはそれだけ告げて、クレイスの部屋を後にし、王に報告してから公爵邸へと戻った。
「お父様、戻りましたわ」
「クレイス殿下の様子は?」
「病ではありませんわ。魔法か何かの影響を受けていたのではないかと思いますが、魔法は私にはわかりませんから」
「そうか……陛下も心配だろうな……」
「お父様、今は陛下の心配をしている場合ではありませんわ」
エミリアは王からの手紙を公爵に渡す。
「イリス姉様、いいんですわよね?」
「ええ。覚悟はできたわ」
「そういうことですわ」
「いや、どういうことなんだ? 全く話が見えてこないのだが……」
「その手紙を開けてくださいまし」
「これは……陛下から私に、か」
公爵は封書を開き、中の手紙に目を通す。
「………………そういうことか。イリス、お前はこの話を受ける気なのだな?」
「はい、お父様。イヴァン王子殿下には色々とご恩もありますから。それに、イヴァン王子殿下が公爵家を継いでくだされば、エミリアがジュード様のところに嫁ぐことができますし」
「ちょっ、ちょっとっ!? イリス姉様、突然何を……」
「あら、嫌だったかしら? てっきりあなたは、ジュード様と結婚したいものだと思っていたのだけれど」
「それは………………その…………」
「ということで、お父様、私はこのお話をお受けするつもりです。後はお父様のお許しをいただければ」
貴族の婚約とは通例、親同士行うものだ。王族であってもそれは例外ではない。王からの「貴殿の娘のイリスに私の息子イヴァンとの婚約を申し込む」という書状に、公爵が受け入れる旨の返事をしなければ、婚約は成立しないのだ。
通常であれば、王族からの婚約を断る貴族はいないため、形式的なものではあるのだが。
「お前が受け入れると言うのであれば、私が断る理由はない。しかしイリス、本当にイヴァン王子殿下と婚約することに反対ではないのだな?」
どうやら公爵は、エミリアがクレイスから婚約破棄されたことで、婚約の申し出を受けることに慎重になっているようだ。
「安心して下さい、お父様。しっかり考えて、その上での決断です。イヴァン王子殿下は、とても優しい殿方ですよ」
「お前がそう言うなら私から反対する理由は何もない。しかし、するとまた別の問題がある」
「別の問題? なんですの?」
「お前の護衛だ、エミリア。今までは、イリスが1人で行っていたが、イリスが正式に公爵家長女となるなら、そうもいくまい」
「別に私は構いませんよ?」
「イリス、お前が構わなくても周りが構うのだ。お前が怪我をしたら、共にいた者たちの責任になるのだぞ?」
「それは、確かに……」
「まあいい、その点は私の方でなにか手を打っておく。ひとまず今回は、暫定措置としてイリスがエミリアを護衛して領に戻れ。2人が公爵領に着いた頃を見計らって、諸々の発表を行う。こちらが発表を行うまでは、イリスはあくまで使用人のままだ。忘れるな」
「わかりましたわ」
「かしこまりました、旦那様」
アルコールの生産が禁止されたことから始まった一連の騒動は、ようやく幕を閉じた。これから領に戻り次第アルコールの生産を再開し、王の支援でのアルコールの増産の準備もしなければならない。コ◯ナまでにやることは山積みである。しかし、王の協力が取り付けられた事で、コ◯ナへ対抗する目処が立ったことは大きな収穫だ。
(これから大変ね……帰りの馬車の中でくらいゆっくりしたいわ……)
馬車に乗り込むなりエミリアは寝てしまった。
王都を出発してから4日目のこと。あと1日で公爵領に着くということで、エミリアの馬車に慌てた様子の兵士が手紙を持ってやってきた。
「お嬢様、起きてください。というか、よくもまあこう何日も何時間も寝れますね……」
「んんっ……ふぁあああ。どうしたのイリス、もう領都?」
「そんなわけ無いでしょう。後1回は宿に泊まらないと……ではなくてですね……。お嬢様の宛のお手紙です」
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受け取った手紙を見て、エミリアは言葉を失った。
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