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第二章「魔法学園の劣等生 入学編」
第59話「学園での朝食」※イラストあり〼
しおりを挟む朝、食堂での朝食はまさしく戦争だ。
魔法学園にも様々な部活動……クラブが存在していた。
早朝の練習を終えた生徒たちが一斉に食堂になだれ込む。
食堂にはブロンズ、シルバー等のランク付けはない。しかし、それは表向きの話だ。
実際にはガラスと観賞用の植物で区切られた区画があり、そこから先はブロンズは入れない……そうブロンズ仲間から教えられた。
なんだそれは?
面倒くさいことこの上ない。
食事は各自セルフで取りに行く。そこに近い所がシルバー以上の生徒の食事場所だ。
プロンズはそこから離れた場所で食事をしろということらしい。
馬鹿じゃないのか?
場所は早いもの勝ちだろ?
オレは食事を受け取ると目の前の席に座る。
周囲の生徒たちがオレの腕輪を見て顔をしかめたが気にしない。
「おはようございます」
アンナが食事のトレイを持ってオレの隣りに座った。
「おはよう。お兄ちゃん!」
マヤがアープルと一緒にやって来た。
「おう、おはよう」
「お、おはようございます」
アープルはオレと目を合わせるなり真っ赤になってうつむいてしまった。
おやおや、どうしたのですかな?
昨晩の情景が思い出される。
その制服の下に隠された幼い胸の感触をオレは決して忘れないだろう。
そう思っているとアープルに無言でポカポカ殴られた。
「おや、その子は昨日の?」
「そうだよ。アープルは私と同室の子だよ」
マヤの説明にアンナとミーシャはハッとなった。
「ノ、ノゾミ様……つかぬことをお伺いしますが……昨晩はその……マヤとは……?」
マヤはそこで「昨晩は、お楽しみでしたわ♡」と答える。マヤとの関係はアンナに説明していた。最初はドン引きしていたアンナだがマヤとオレとの濃密な説得によって今では三人でも楽しめる関係になっている。
それはさておき、ミーシャとアンナはアープルの瞳を覗き込んだ。
「……こんな幼い女の子にまで……」
「妹のみならず、その友達にまで……!」
アンナとミーシャがドン引きしている。
待ってくれ!まあ、手は出したけど、不可抗力なんだ。
オレは助けを求めるようにアープルを見る。
「いっぱい可愛がっていただきました♡」
OH! NO!
何を嬉しそうに報告しとるんだこの娘っ子は!
(鬼畜……報告。個体名「アープル」を「白い稲妻」によって調査した結果が出ました)
マザーさんからの報告も追い打ちをかけてきます。
(解析結果。樹人族の固有能力「植物操作」「意思疎通」「光合成」「並列意思」を確認。身体能力最適化実行中……能力の獲得に成功しました)
植物操作とは植物を操る力。意思疎通とは自分の意思を相手に伝える能力。そして、光合成って?
(解説。光によってエネルギーを得ることができます)
今までもそうだったけど、いよいよ食事しなくても良くなってきた。
でも、食事は大切だよ。
みんなとのコミュニケーションを取る場だしね。味わいながら食べる料理も楽しいものです。
そう、なんでも味わってみないと分からないものなのだよ。
「いつもあなたの周りはにぎやかだな」
「あっ、システィーナ先生!」
金髪聖騎士のシスティーナ先生だ。もちろん講師もこの食堂を利用する。さすがに別に部屋があるみたいだけど。
「先生は別の部屋があるんじゃないですか?」
オレがそう言うとシスティーナは悲しそうな顔をした。
「嫌だ。みんなと一緒がいい」
いじける姿が可愛いぞ。みんながいなければ押し倒してしまうところだ。
「この子は昨日の子だな。どうだ。体調が悪いとかないか?」
システィーナはアープルに対して大人な対応だった。
アープルは小声で「大丈夫です」とだけ言った。彼女にはシスティーナが仲間だとはまだ伝えていない。
今はこのままでいいだろう。
「さて、食事をしながら聞いてくれ」
システィーナがアープルを気にしながら話し始める。
「私、ちょっとお水をとってきますね」
アープルが気を利かせて席を外してくれる。
「ラップ学園長は急に用事ができたとかで今日はいない」
そうか。本来なら昨日のうちに要件は聞けていたはずなのに、どこかのバカがいらぬ騒ぎを起こしてしまったせいで聞くことができなかったのだ。
ミーシャが遮音の魔法と認知阻害の魔法を使う。
「まずはこの学園に馴染んでくれということだった」
それはもう初日にクリアしていた。もう、嫌ってくらい目立ってるし。
「そのうえで、この学園にいるスパイを探し出して欲しい」
「スパイ?」
「ああ、細かな内容は秘密だそうだが、学園内で長年研究されたいることが外部に漏れているらしい」
「その犯人を見つけ出してほしいと?」
「そういうことだ」
システィーナは頷いた。
……と言われましても、あまりにも曖昧な内容にどこから手を出していいのか分からない。
「怪しいのは生徒と講師だな」
この学園にいるほぼ全員じゃねぇか!
「分かった。怪しいやつがいないか気をつけておこう」
とにかく不審者がいないかそれとなく探りを入れておこう。
男だったら、みんなに見えない場所で尋問して聞き出す。
女の子だったら、みんなに見えない場所に連れ込んでベッドの上で聞き出す。
ふむ。方針は決まった。
容疑者が女の子でありますように!
話がまとまった時にアープルが帰ってきた。
その後はみんなで昨日のことを報告し合った。
「さて、私は剣術の指導がある」
システィーナが立ち上がった。すぐに指導の時間というわけではないようだが、準備などがあるのだろう。
「私達もそろそろ行きますね」
マヤとアープルが立ち上がった。
「じゃあ、私達も行きますか」
初等部と中等部、高等部と建物はそれぞれ別だ。
「分かった。でも。オレはちょっと用事を済ませてから教室に行くよ」
アンナとミーシャを先に行かせオレは……システィーナを追った。
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