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第三章「魔法学園の劣等生 魔法技術大会編」
第132話「氷結演武 ④ 凱旋」
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「今のところ、他の競技会場での評価漏れはないようだな」
ダクール学園長がため息混じりに言葉を吐いた。
オレ達の目の前には凍りついた湖面が広かっている。
全面凍り付いた湖面は氷結演武全ての競技を台無しにしてしまっていた。
「はははは……」
乾いた笑いしか出てこない。
「おーい!」
湖面を渡ってこちらに駆けてくる少女の姿があった。タニアだ。
ぐわしゃぁぁ!
彼女は物凄いスピードでオレに体当りしてくる。オレはその勢いに飲まれたまま近くの林まで吹き飛ばされた。
「「ノゾミ!」」
セレスとマーリルが悲鳴を上げた。吹き飛ばれたオレを起こしながらタニアを睨みつけた。
彼女らにしてみればタニアは他の学園の生徒。見方によっては攻撃されたように見えなくもない。
「ちょっと、アンタ何なんだよ!」
一触即発の雰囲気。
「おろ? どうかしたのかな?」
タニアにはイマイチ状況が飲ま込めていないようだった。人に体当りしておいて何事もなかったかのように振る舞う彼女はツワモノだ。
だが――
「何をやっとるか馬鹿者がぁ!」
ダクール学園長の拳がタニアの頭に炸裂した。
ゴォォン!
「ぬがぁぁぁぁ!」
タニアが悲鳴を上げてうずくまる。
「すまぬ。うちの生徒が迷惑をかけた」
ダクール学園長が頭を下げる。
先に頭を下げられれば、セレス達としては出鼻をくじかれた形だ。
「え……あ……はい」
マーリルもなんと言っていいかわからずとりあえず返事する。被害者であるはずのオレは特に何も感じなかった。ダメージを受けたわけでもないし、彼女なりの愛情表現だと思っていたからだ。
まあ、いきなり吹き飛ばされれば普通は怒るだろうが、そんなものオレはなんとも思っていない。
「ノゾミ。アンタは怒らないのか?」
「いや、特に……タニアなりの愛情表現だと思っているからな」
「嗚呼、ボクの愛情が君に伝わっていて嬉しいよ」
タニアはどうやら本気だったらしい。これ他の人だったら完全に訴訟問題だからな!
しかも、タニアは裁判では負ける!
「タニア……取り合えすお前の愛情表現は分かったから、どこか遠くへ行ってくれ」
「アイアイサー!」
タニアは敬礼を一つすると、そのまま走り去っていった。一体彼女はどこへと向かっていったのかは謎だ。
「とにかく、採点は終わった。このまま中央会場へ戻るとしよう」
◆ ◆ ◆ ◆
オレはダクール学園長に連れられて中央会場へと帰った。
帰ると既に会場はお祭り騒ぎだった。
興奮気味にスクリーンを見つめて叫ぶ者。
「あの魔法はきっと……シルフの力によって空気を冷やしたに違いない」
などと自信満々に独自の理論を風潮する者。
羊皮紙に必死になって何事かを書き込む生徒。
「シルフといえど湖を凍らせるなどありえない!」
「では何故湖は凍ったのかね? 現に湖派凍りついているのだぞ!」
魔法使い、研究者皆が集まり興奮気味に議論しあっていた。
「あの生徒はまだここに来ていないのか!」
どうやらオレのことを探しているらしい。
「あっ、いたぞ!」
「あんな生気のない男があれ程の魔法を……?」
「見間違いじゃないか? きっと他の奴だ」
会場はざわついていた。騒然としているといっていい。誰も彼もがオレを指差し何事かを叫んでいる。
「ノゾミ君!」
アメリア先生がこちらに走り寄ってくる。
ザワザワと喧騒が支配している。
「先程の氷結演武の結果発表を行います。選手の方は中央の壇上へお上がりください」
アナウンスに言われた通りに中央の壇上に上がる。
オレたちが壇上に上がると歓声が上がった。
「き、緊張しますね」
マーリルが両手を合わせて泣きそうな顔をしている。選手なんだからもっと堂々としていればいいのに。
スクリーンに結果が表示される。
セービル魔法学園 4点
バストーク魔法学園 3点
ザーパト魔法学園 2点
ユーク魔法学園 1点
「おお!」と驚きの声が上がった。
「ノゾミ君! セービル魔法学園は今のところ一位ですよ!」
アメリアが嬉しそうに言う。彼女の笑顔を見ると頑張って良かったと心の底から思うことができた。
「凄いな……今回のの勝負……アタシの完敗だ」
悔しそうだがどこか晴れ晴れとした表情でセレスが言った。
「何言ってるんだ? 今回の結果はみんなで頑張ったから取れたんじゃないか」
「えっ……」
セレスはキョトンとなる。
「今回の競技では確かにノゾミは最高得点を叩き出した。だが、忘れてならないのはこれは団体競技だということだ」
ダクール学園長が諭すようにゆっくりと語った。
「つまり、オレ一人だけでも駄目って事さ。みんなで協力し合えたから勝てたんだ」
オレはセレスとマーリルに手を差し出す。
「改めて……みんなありがとう! これからもよろしく!」
セレスとマーリルが互いに顔を見合わせる。そして、くすりと笑うとオレの手を強く握ってきた。
「「これからもよろしく!」」
ダクール学園長がため息混じりに言葉を吐いた。
オレ達の目の前には凍りついた湖面が広かっている。
全面凍り付いた湖面は氷結演武全ての競技を台無しにしてしまっていた。
「はははは……」
乾いた笑いしか出てこない。
「おーい!」
湖面を渡ってこちらに駆けてくる少女の姿があった。タニアだ。
ぐわしゃぁぁ!
彼女は物凄いスピードでオレに体当りしてくる。オレはその勢いに飲まれたまま近くの林まで吹き飛ばされた。
「「ノゾミ!」」
セレスとマーリルが悲鳴を上げた。吹き飛ばれたオレを起こしながらタニアを睨みつけた。
彼女らにしてみればタニアは他の学園の生徒。見方によっては攻撃されたように見えなくもない。
「ちょっと、アンタ何なんだよ!」
一触即発の雰囲気。
「おろ? どうかしたのかな?」
タニアにはイマイチ状況が飲ま込めていないようだった。人に体当りしておいて何事もなかったかのように振る舞う彼女はツワモノだ。
だが――
「何をやっとるか馬鹿者がぁ!」
ダクール学園長の拳がタニアの頭に炸裂した。
ゴォォン!
「ぬがぁぁぁぁ!」
タニアが悲鳴を上げてうずくまる。
「すまぬ。うちの生徒が迷惑をかけた」
ダクール学園長が頭を下げる。
先に頭を下げられれば、セレス達としては出鼻をくじかれた形だ。
「え……あ……はい」
マーリルもなんと言っていいかわからずとりあえず返事する。被害者であるはずのオレは特に何も感じなかった。ダメージを受けたわけでもないし、彼女なりの愛情表現だと思っていたからだ。
まあ、いきなり吹き飛ばされれば普通は怒るだろうが、そんなものオレはなんとも思っていない。
「ノゾミ。アンタは怒らないのか?」
「いや、特に……タニアなりの愛情表現だと思っているからな」
「嗚呼、ボクの愛情が君に伝わっていて嬉しいよ」
タニアはどうやら本気だったらしい。これ他の人だったら完全に訴訟問題だからな!
しかも、タニアは裁判では負ける!
「タニア……取り合えすお前の愛情表現は分かったから、どこか遠くへ行ってくれ」
「アイアイサー!」
タニアは敬礼を一つすると、そのまま走り去っていった。一体彼女はどこへと向かっていったのかは謎だ。
「とにかく、採点は終わった。このまま中央会場へ戻るとしよう」
◆ ◆ ◆ ◆
オレはダクール学園長に連れられて中央会場へと帰った。
帰ると既に会場はお祭り騒ぎだった。
興奮気味にスクリーンを見つめて叫ぶ者。
「あの魔法はきっと……シルフの力によって空気を冷やしたに違いない」
などと自信満々に独自の理論を風潮する者。
羊皮紙に必死になって何事かを書き込む生徒。
「シルフといえど湖を凍らせるなどありえない!」
「では何故湖は凍ったのかね? 現に湖派凍りついているのだぞ!」
魔法使い、研究者皆が集まり興奮気味に議論しあっていた。
「あの生徒はまだここに来ていないのか!」
どうやらオレのことを探しているらしい。
「あっ、いたぞ!」
「あんな生気のない男があれ程の魔法を……?」
「見間違いじゃないか? きっと他の奴だ」
会場はざわついていた。騒然としているといっていい。誰も彼もがオレを指差し何事かを叫んでいる。
「ノゾミ君!」
アメリア先生がこちらに走り寄ってくる。
ザワザワと喧騒が支配している。
「先程の氷結演武の結果発表を行います。選手の方は中央の壇上へお上がりください」
アナウンスに言われた通りに中央の壇上に上がる。
オレたちが壇上に上がると歓声が上がった。
「き、緊張しますね」
マーリルが両手を合わせて泣きそうな顔をしている。選手なんだからもっと堂々としていればいいのに。
スクリーンに結果が表示される。
セービル魔法学園 4点
バストーク魔法学園 3点
ザーパト魔法学園 2点
ユーク魔法学園 1点
「おお!」と驚きの声が上がった。
「ノゾミ君! セービル魔法学園は今のところ一位ですよ!」
アメリアが嬉しそうに言う。彼女の笑顔を見ると頑張って良かったと心の底から思うことができた。
「凄いな……今回のの勝負……アタシの完敗だ」
悔しそうだがどこか晴れ晴れとした表情でセレスが言った。
「何言ってるんだ? 今回の結果はみんなで頑張ったから取れたんじゃないか」
「えっ……」
セレスはキョトンとなる。
「今回の競技では確かにノゾミは最高得点を叩き出した。だが、忘れてならないのはこれは団体競技だということだ」
ダクール学園長が諭すようにゆっくりと語った。
「つまり、オレ一人だけでも駄目って事さ。みんなで協力し合えたから勝てたんだ」
オレはセレスとマーリルに手を差し出す。
「改めて……みんなありがとう! これからもよろしく!」
セレスとマーリルが互いに顔を見合わせる。そして、くすりと笑うとオレの手を強く握ってきた。
「「これからもよろしく!」」
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