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第四章「カルネアデス編」
第183話「カルネアデスの世界 ③」
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「いったん中に隠れよう」
オレの言葉に全員が一も二もなく頷いた。
ファミレスはガラス張りの自動ドアだ。どうやら電源が落ちているらしく手動で閉めて鍵をかける。
「これでしばらくは大丈夫なの?」
「恐らく、無理だろうな……」
この程度で大丈夫なわけがない。数分かせめて数秒でも足止めができればという程度だろう。
「裏から逃げるぞ」
厨房を抜け裏側へと回る。食材搬入用の入り口があるはずだ。
思った通り搬入口らしき鉄製の扉が目に入った。
「あそこだ!」
背後でガラスの破砕音が響いた。ドアどころか窓から侵入する気らしい。扉を開け全員が出たのを確認してから扉を閉める。閉まる扉の向こうに迫る白髭のおじいさんが目に入った。チキン好きのおじいさんはそのおっとりとした顔に似合わず秀敏な動きで扉に向かってくる。
ゴン!
扉を閉めると同時に扉にぶち当たる鈍い音。扉がひしゃげその衝撃のすごさをまざまざと見せつけた。
扉は外開きだからそんなことをしなくても簡単に開けられる。正直、普通に開けられたならあっさりと捕まっていた可能性があった。がむしゃらに向かってくるだけの敵ならばうまくすれば逃げ切れる可能性もあるかもしれない。
ゴン! ゴン!
鉄製の扉がボコボコに形を変えていく。
とりあえずは裏側に逃げたが他の追っ手もいる可能性があった。この場所にとどまり続けるのは危険だった。
「ノゾミン!」
ガシャン!
剣の柄の部分で車の窓ガラスを叩き壊すタニア。そのままキー部分を叩き壊し慣れた手つきでエンジンを始動させる。
「ノゾミン、車の運転は?」
できるわけがない。オレは首を横に振った。
「それじゃ、ボクが運転するね」
颯爽と運転席に乗り込むタニア。
車はワゴンタイプの大型車。全員が飛び込むように乗り込む。
「お兄ちゃん。扉が!」
ガコン!
扉が破壊され白髭のおじさんたちがあふれ出てきた。
「こっちに向かってきてます」
ミーシャの悲鳴。
「お兄さん任せてください!」
アープルが腕をかざす。
地面から木の根が生え白髭のおじさんたちを拘束する。
それでも木の根を引きちぎりこちらへと肉迫する。
このままでは奴らから逃げられない。
「ダメ! 抑えきれない!」
アープルの悲鳴が響いた。
――このままでは!
オレの中で何かが弾けた。
――思い出せ!
肉体の奥――魂の中に宿る力。
――考えるな、感じろ!
体内に光を感じた。光は力――力を腕に集中させる。
――力を解き放つ!
「ファイアーボルト!」
目の前が白く輝いた。かつて魔法世界で見た、火魔法と風魔法の合成魔法「ファイアーボルト」
稲妻をまとった炎は白髭のおじさんたちを焼き尽くし、ファミリーレストランを飲み込んでいく。
次の瞬間。
爆炎と共にファミリーレストランが吹き飛んだ。
「今のは……魔法!?」
ミーシャが驚きの声を上げる。
「火と稲妻の合成魔法――ファイアーボルトです」
アープルも驚いているようだ。
「お兄ちゃんも、この世界で魔法が使えるのね」
カルネアデスの世界で魔法が使える。調査体であるはずのオレが魔法を使えたのだ。
だが、喜んでいる場合ではない。
見れば、炎に包まれたピエロと熊の人形がゆっくりとこちらへ近づいてきている。
「タニア!」
「大丈夫!」
オレの言葉に合わせるかのようにタニアがアクセルを踏み込んだ。
白髭のおじさん達とその後ろからあふれ出す黄色いピエロ。テディベアが赤い瞳で恨めしそうにこちらを凝視しし――やがて崩れおちていった。
どうやら追っ手は他にいないようだった。
しかし、安心はできない。
「お兄ちゃん大丈夫?」
オレは力なく首を振った。
先程の魔法でかなりの力を使ってしまったらしい。
力が急速に抜けていく。
これは……二発目はかなり難しそうだった。
「お客さんどちらまで?」
「安全なところまで!」
「了解!」
タニアは元気な声と共にアクセルをふみこんだ。
オレの言葉に全員が一も二もなく頷いた。
ファミレスはガラス張りの自動ドアだ。どうやら電源が落ちているらしく手動で閉めて鍵をかける。
「これでしばらくは大丈夫なの?」
「恐らく、無理だろうな……」
この程度で大丈夫なわけがない。数分かせめて数秒でも足止めができればという程度だろう。
「裏から逃げるぞ」
厨房を抜け裏側へと回る。食材搬入用の入り口があるはずだ。
思った通り搬入口らしき鉄製の扉が目に入った。
「あそこだ!」
背後でガラスの破砕音が響いた。ドアどころか窓から侵入する気らしい。扉を開け全員が出たのを確認してから扉を閉める。閉まる扉の向こうに迫る白髭のおじいさんが目に入った。チキン好きのおじいさんはそのおっとりとした顔に似合わず秀敏な動きで扉に向かってくる。
ゴン!
扉を閉めると同時に扉にぶち当たる鈍い音。扉がひしゃげその衝撃のすごさをまざまざと見せつけた。
扉は外開きだからそんなことをしなくても簡単に開けられる。正直、普通に開けられたならあっさりと捕まっていた可能性があった。がむしゃらに向かってくるだけの敵ならばうまくすれば逃げ切れる可能性もあるかもしれない。
ゴン! ゴン!
鉄製の扉がボコボコに形を変えていく。
とりあえずは裏側に逃げたが他の追っ手もいる可能性があった。この場所にとどまり続けるのは危険だった。
「ノゾミン!」
ガシャン!
剣の柄の部分で車の窓ガラスを叩き壊すタニア。そのままキー部分を叩き壊し慣れた手つきでエンジンを始動させる。
「ノゾミン、車の運転は?」
できるわけがない。オレは首を横に振った。
「それじゃ、ボクが運転するね」
颯爽と運転席に乗り込むタニア。
車はワゴンタイプの大型車。全員が飛び込むように乗り込む。
「お兄ちゃん。扉が!」
ガコン!
扉が破壊され白髭のおじさんたちがあふれ出てきた。
「こっちに向かってきてます」
ミーシャの悲鳴。
「お兄さん任せてください!」
アープルが腕をかざす。
地面から木の根が生え白髭のおじさんたちを拘束する。
それでも木の根を引きちぎりこちらへと肉迫する。
このままでは奴らから逃げられない。
「ダメ! 抑えきれない!」
アープルの悲鳴が響いた。
――このままでは!
オレの中で何かが弾けた。
――思い出せ!
肉体の奥――魂の中に宿る力。
――考えるな、感じろ!
体内に光を感じた。光は力――力を腕に集中させる。
――力を解き放つ!
「ファイアーボルト!」
目の前が白く輝いた。かつて魔法世界で見た、火魔法と風魔法の合成魔法「ファイアーボルト」
稲妻をまとった炎は白髭のおじさんたちを焼き尽くし、ファミリーレストランを飲み込んでいく。
次の瞬間。
爆炎と共にファミリーレストランが吹き飛んだ。
「今のは……魔法!?」
ミーシャが驚きの声を上げる。
「火と稲妻の合成魔法――ファイアーボルトです」
アープルも驚いているようだ。
「お兄ちゃんも、この世界で魔法が使えるのね」
カルネアデスの世界で魔法が使える。調査体であるはずのオレが魔法を使えたのだ。
だが、喜んでいる場合ではない。
見れば、炎に包まれたピエロと熊の人形がゆっくりとこちらへ近づいてきている。
「タニア!」
「大丈夫!」
オレの言葉に合わせるかのようにタニアがアクセルを踏み込んだ。
白髭のおじさん達とその後ろからあふれ出す黄色いピエロ。テディベアが赤い瞳で恨めしそうにこちらを凝視しし――やがて崩れおちていった。
どうやら追っ手は他にいないようだった。
しかし、安心はできない。
「お兄ちゃん大丈夫?」
オレは力なく首を振った。
先程の魔法でかなりの力を使ってしまったらしい。
力が急速に抜けていく。
これは……二発目はかなり難しそうだった。
「お客さんどちらまで?」
「安全なところまで!」
「了解!」
タニアは元気な声と共にアクセルをふみこんだ。
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